【書評】FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 − ハンス・ロスリング 著

あなたは今の世界の本当の状況を、どれだけ正しく知っているでしょうか? 著者ハンス・ロスリング氏は、私たちは10の思い込みによって「ドラマチックすぎる世界の見方」をしているためだと説きます。この本を読めば、10の思い込みを払拭して世界の見え方が変わるかもしれません。

東洋経済オンラインのAmazon週間ビジネス・経済書ランキング(2019年1月6日〜12日)より、ハンス・ロスリング氏の「FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 」の書評をお送りします。

参考 アマゾン「売れているビジネス書」ランキング東洋経済オンライン

この本を一言で表すと…

皆が世界をドラマチックな見方をしていることを「チンパンジー以下」と煽りながら、ドラマチックに反論している本です。

具体的には?

医師で教授のハンス・ロスリング氏が世界の貧困や医療について、みんなの思い込みを覆すデータを紹介しながら「ファクトフルネス」という考え方を伝える内容になっています。

書籍の冒頭には13の三択問題があって、これらの質問の答えの解説がその後400ページに渡って書かれています。ここで事前のオンライン調査での平均正解率が、12問中2問と非常に低いことが強調されているのですが13問あるのに「12問中」??? なぜか特定の1問を除いた平均正解率です。

この正解率の引き合いには、チンパンジーが登場します。要するに適当に選んでも三択問題なので3分の1は正解するということなのですが、平均正答率33%以下の問題が出てくるとちょいちょい登場して煽られます。

この本は全体にわたって、人々の思い込みや心理的な偏りを指摘しながら様々な「ファクト」を伝える内容です。それらの「ファクト」は世界中の統計データが元なのですが、残念ながら時々データの使い方に恣意性を感じました。

読者の10の思い込みを否定するために、否定できるデータだけを「ドラマチック」に畳み掛けたりします。またグラフには時々「対数目盛(グラフが圧縮して見える)」が使われているのですが、なぜその統計データは「対数目盛」なのかの説明はありませんでした。

誰が読むべき?

  • アフリカやアジアには痩せこけた子供がたくさんいると思ってる人
  • 世界の貧困や医療衛生環境について興味がある人
  • 「〇〇が大絶賛!」という謳い文句に弱い人

全体を通してロスリング教授の様々な体験に、統計データを交えた面白いエピソードが語られています。特にアフリカやアジアの貧しいイメージを払拭するような内容が多いため、そのようなイメージがある人は読んでいて面白いと思います。

またロスリング教授は、長年世界中の貧困や公衆衛生に携わってきた人物なので、そのような分野を志している人にもおすすめです。

帯にはビル・ゲイツ氏が「大絶賛」したと書かれていて、手に取る人が「素晴らしい本に違いない」と考える「思い込み」をうまく利用しています。そのため、この謳い文句に反応した人は、「10の思い込み」に陥っている可能性が高いはずです。

書かれていること書かれていないこと

書かれてること
  • 思い込みの典型的なパターン

10章に渡って説明されている様々な思い込みの「本能」は、心理的な特性や一般的な思考の傾向を説明したものです。私たちが物事を思い込んでしまう理由と、その思い込みを避けるための方法が詳しく書かれています。

書かれてないこと
  • 統計データの解釈のしかた

一方、タイトルに「データを〜」とあるので、統計データの読み方も書かれていると思いきや、ほとんど書かれていません。第1章や第3章で「平均値」「対数目盛」「分布」について少し触れているものの、統計データを読み解くための本ではないため最低限の内容になっています。

この本には統計データが大量に参照されているものの、統計データを読み解くための力は付きません。そのため統計データの読み方に慣れていない読者は、ロスリング教授が挙げるデータを「そういうものだ」と信じて受け入れることしかできません。

思い込みを払拭することを目的としている本なのに、ロスリング教授の主張や根拠となるデータは思い込むしかないという、矛盾を抱えた1冊です。

書籍の目次
  • イントロダクション
  • 第1章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
  • 第2章 ネガティブ本能 「世界がどんどん悪くなっている」という思い込み
  • 第3章 直線本能 「世界の人口はひたすら増える」という思い込み
  • 第4章 恐怖本能 「実は危険でないことを恐ろしい」と考えてしまう思い込み
  • 第5章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要」という思い込み
  • 第6章 パターン化本能 「ひとつの例にすべてがあてはまる」という思い込み
  • 第7章 宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
  • 第8章 単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
  • 第9章 犯人捜し本能 「だれかを責めれば物事は解決する」という思い込み
  • 第10章 焦り本能 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
  • 第11章 ファクトフルネスを実践しよう
  • おわりに
  • 付録
  • 脚注
  • 出典


タイトルFACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
著者
出版社日経BP社
ISBN-13978-4822289607
発売日

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