【書評】お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する – ジム・ロジャーズ 著

あなたは「五年後のアジアで最も裕福な国になるのは朝鮮半島の統一国家だ」と言われて、にわかに信じることができるでしょうか? そう言い切るのは、世界の三大投資家の一人として称されるジム・ロジャーズ氏。この本を読めば、その根拠が手に取るようにわかるかもしれません。

東洋経済オンラインのAmazon週間ビジネス・経済書ランキング(2019年1月20日〜26日)より、ジム・ロジャーズ氏の「お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する 」の書評をお送りします。

参考 アマゾン「売れているビジネス書」ランキング東洋経済オンライン

この本を一言で表すと…

世界を俯瞰する投資家ジム・ロジャーズ氏の視点から、今後のアジアで予測される経済の変化を日本人に向けて語りかける本です。

具体的には?

この本ではジム・ロジャーズ氏がこれまでの歴史を踏まえて、日本を含むアジアにどのような経済の変化が起こるかを予測しています。話のテーマは「日本」「朝鮮半島」「中国」「アジアを取り巻く国々」の流れで、詳細に語られます。

冒頭に登場する「歴史は韻を踏む」という言葉は、単に歴史が繰り返すだけでなく、様々な変化を伴いながら形を変えるさまを上手く言い表しているのではないでしょうか。ロジャーズ氏はこれからの出来事も「韻を踏む」ことを示唆し、過去の経済データなどを踏まえて説明します。

今回のこの本は日本人に向けて書かれており、将来の経済状況を憂慮する様子はデービット・アトキンソン氏の著書「日本人の勝算」を彷彿とさせます。

【書評】日本人の勝算:人口減少×高齢化×資本主義 − デービッド・アトキンソン 著

ロジャーズ氏もアトキンソン氏も日本の人口減少を危惧しており、外国人の受け入れは必須と唱えます。しかしアトキンソン氏の主張は「生産性の向上」でしたが、対するロジャーズ氏は「品質の向上」ということが異なります。ロジャーズ氏は日本の過去の成功を根拠に、今一度原点回帰し「品質の向上」を武器とすることを主張しています。

この他にも今後起こることが予想される経済的な構造変化について、過去の似たような出来事を引き合いに出しながら、帰納的に納得感のある論が展開されます。

誰が読むべき?

  • これから日本で投資するべき分野は何かヒントが欲しい人
  • 将来アジアに生まれるビジネスチャンスを知りたい人
  • 歴史を踏まえて世界経済を理解したい人

この本では特に「日本」「朝鮮半島」「中国」を中心に、これからどのようなことが起こりどんなビジネスの需要が伸びるのか語られています。そのため投資や起業を考えている人には、大きなヒントになるかもしれません。

またロジャーズ氏の主張は、過去の統計データ、歴史的な事件、著者の経験などをベースにわかりやすく語られています。「歴史は韻を踏む」という言葉通り、過去の出来事を知ることで現在の世界経済への理解が深まるはずです。

備忘録

この本で目に留まった内容を箇条書きしておきます(内容は意訳・省略してます)。この中にピンとくるフレーズや興味深い内容があれば、ぜひ書籍を読んでみてください。

  • 日本で移民が増えれば農業と外国人向けの教育が伸びる
  • 北朝鮮はこれから二桁成長を遂げる
  • 世界を支配するのに最も近い位置にいるのは中国
  • 中国は環境・インフラ・ヘルスケアが伸びる
  • 国債を購入するのにふさわしい国はロシア
  • 買いなのは最高値の株より60%落ちている株
  • 米中貿易戦争が本格化すれば伸びるのはロシア農業
  • 不景気にはETFに含まれている株が下落する
  • これからは「ニッチなスキル」と「外国語の習得」が必要
  • 2010年代後半は「AIとブロックチェーンの時代」と呼ばれるかも

書かれていること書かれていないこと

書かれてること
  • ジム・ロジャーズ氏の視点での世界情勢と今後の変化
  • どのようなビジネスが今後伸びるか
書かれてないこと
  • 投資に関する細かなテクニック

この本にはロジャーズ氏の視点で、これまでどのような変化が世界に起こり、今後どうなるかが書かれています。またその変化に伴って、どのようなビジネスにチャンスが訪れるか予測されています。当然全てを鵜呑みにする読者はいないと思いますが、世界の捉え方として一つの視点を得るには最適な本です。

一方で投資の神様と言われるロジャーズ氏の、細かなテクニックなどは書かれてません。しかし著者の投資に対する哲学や、考え方に触れることができます。世界的な投資家が世界の変化とどのように向き合い、日本をはじめとするアジア地域のビジネスをどう見ているのかを知ることができる1冊です。

書籍の目次
  • 目次
  • 序章 風はアジアから吹いている―ただし、その風には「強弱」がある
  • 第1章 大いなる可能性を秘めた日本
  • 第2章 朝鮮半島はこれから「世界で最も刺激的な場所」になる
  • 第3章 中国―世界の覇権国に最も近い国
  • 第4章 アジアを取り囲む大国たち―アメリカ・ロシア・インド
  • 第5章 大変化の波に乗り遅れるな
  • 第6章 未来のお金と経済の形

  • タイトルお金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する
    著者
    出版社PHP研究所
    ISBN-13978-4569842219
    発売日

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