【書評】嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え – 岸見一郎 著

他人から嫌われてしまうこと、これは誰にとっても嬉しいことではありませんよね。

でも家から一歩出れば、社会との関わりは避けることができないもの。「同僚から嫌われたらどうしよう」「変な人だと思われたら嫌だな…」「恥をかきたくない」などなど、悩みが尽きないものです。

できることなら、そんなことなど気にせず自由に過ごしたい…でも、どうしたらいいかわからない。そんなふうに悩んでいる人も多いと思います。

でもそんな悩みは「アドラー心理学」の考え方を知れば、スッキリと解決するかもしれません。

「アドラー心理学」の考え方は、過去に起こったことが今の状況を作っていると考える「原因論」ではなく、自分が望んでいることが自分自身を縛っている「目的論」で考えること。そして「自分の課題」と「他人の課題」を切り離すことが重要だと言われています。

あなたもこの「嫌われる勇気」を読んで「アドラー心理学」の視点を手に入れれば、世界の見え方が変わって、悩みから解放されるかもしれません。

今回はAmazon ビジネス・経済書 売れ筋ランキング(2019年3月18日) より、岸見一郎氏の「嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え 」の書評をお送りします。

この本を一言で表すと…

過去と決別して、自分自身が変わる手助けをしてくれる本です。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

岸見 一郎, 古賀 史健
1,571円(06/22 04:44時点)
発売日: 2013/12/13
Amazonの情報を掲載しています

具体的には?

この「嫌われる勇気」は、アドラー心理学をベースとした自己啓発本です。初版は2013年で、現在でも常にベストセラーの上位を維持している人気の書籍です。

内容は哲学者の「哲人」と人生に思い悩む「青年」との対話形式で、「青年」と一緒に読者がアドラー心理学の考え方を学んでいく形になっています。

「青年」は内に様々な悩みを抱えていて、「哲人」との対話しながら徐々にそれらが明らかになります。

「青年」は「哲人」に対して数々の疑問をぶつけながら自分自身と向き合い、葛藤しながらも少しずつ考え方が変化していきます。そして最終的には、自分自身が変わることを決心したところで物語が終わります。

人は「目的」に沿って生きている

「嫌われる勇気」では300ページ弱に渡って、アドラー心理学の特徴が説明されています。しかしすべてをここで説明するわけにもいかないので、特徴的な考え方を一つご紹介します。

その考え方とは、人の行動は過去の出来事を「原因」としているのではなく、現在の「目的」を実現するために行動している、ということです。

例えば、ひきこもりが家から出ないのは、過去のトラウマが原因なのではなく、家に籠ることで他人から傷つけらられないように自分を守る「目的」や、両親から心配してもらうという「目的」を果たすためだと考えます。

そのため「目的」が変われば、その人が持つ課題も変わり、自分自身で現在と未来を変えることができると言います。

他にも様々な例を挙げて、アドラー心理学の考え方が説明されますが、どれも目から鱗で新しい発見があると思います。

私自身はこの本を読んで「…そうは言っても目的が生まれる原因はあるでしょ。」と思ったので、本に書かれているような「過去の出来事を原因としない」という考え方には完全に同意できませんでした。

それでも「人は目的に沿って生きている」という考え方は、原因論だけでは説明しにくい出来事を理解するのに役立つ視点だと感じました。

「青年」のキャラが濃すぎる

「嫌われる勇気」では「青年」と「哲人」の対話によって、話が進んでいきます。しかしこの「青年」が良くも悪くもキャラが濃すぎるのが、本書が少し読みにくく感じる原因のように思いました。

「青年」は読者に代わって、「哲人」に数々の疑問を投げかけます。

しかしこの「青年」は、口が悪く、やたら喧嘩腰で、終始優しい「哲人」に対して罵詈雑言を躊躇なく叩きつけるような酷い人物です。

例えば「ええい!このサディストめ!」とか「この人でなしめ!」とか。最初から最後まで暴言を吐き続けます。口調もほとんどのセリフの語尾に「!」が付いていて、読んでいて疲れてきます。

ということで、この本の唯一のネックを挙げるとすれば、「青年」が「哲人」に対して無礼すぎて、心穏やかに読むことができない点でしょうか。

それさえ我慢して読めば、この本から得られる視点は大きいと思います。

ビジネスに役立てるとしたら

「嫌われる勇気」では、先ほどの「目的論」や「自分と他人の課題を切り分ける」という考え方などが説明されていますが、これらはマーケティングなどビジネスの場面でも役立ちそうだと思いました。

例えば「原因論」や「目的論」については、顧客ニーズとウォンツの関係に近いと思います。

  • 特定の困りごとを解決したい = ニーズ = 原因論
  • 特定の商品・サービスが欲しい = ウォンツ = 目的論

のような感じです。

顧客が困りごとを解決したいために商品を求めている、と思い込むのではなく、その商品を手に入れることで「目的」が達成される、と考えることができるかもしれません。その逆もしかりです。

またこの本には「馬を水飲場まで連れて行くことはできるが、呑ませることはできない」という表現が出てきます。

これはマーケティングにも言えることで、

  • 顧客が商品やサービスに興味を持つように施策をすること(売り手の課題)
  • 顧客が購入を決意すること(買い手の課題)

の2つのことは、別々のこととして考えることは重要です。

このように読み方によっては、ビジネスのヒントになる部分も多く見つけられると思います。

備忘録

この本で目に留まった内容を箇条書きしておきます(内容は意訳・省略されてます)。この中にピンとくるフレーズや興味深い内容があれば、ぜひ書籍を読んでみてください。

  • 怒りとは出し入れ可能な「道具」
  • 大切なのはなにが与えられたのではなく、与えられたものをどう使うかである
  • 過去など存在しない
  • 人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである
  • 健全な劣等感とは、他社との比較の中で生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれる
  • 競争の図式から解放されれば他人は「仲間」になる
  • 行動面の目標「自立すること」「社会と調和して暮らせること」
  • 行動を支える心理面の目標「わたしには能力がある、という意識」「人々はわたしの仲間である、という意識」
  • 賞罰教育は「褒めてくれる人がいなければ適切な行動を取らない人」「罰する人がいなければ不適切な行動をとる人」を育てる
  • あらゆる対人関係のトラブルは他者の課題に土足で踏み込むこと(自分の課題に踏み込まれること)

誰が読むべき?

  • 人間関係の悩みを抱えている人
  • 世界を理解する上で新しい視点を手に入れたい人
  • マーケティングを別の視点から考えたい人

本書では「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と書かれてあるように、アドラー心理学では悩みを突き詰めると、すべて対人関係の悩みにたどり着くと言います。そう言った意味では、悩みを持つ全ての人に参考になる考え方だと思います。

また、マーケティングに関わる仕事をしている人にとっても、マーケティングの常識とは別の角度から顧客の購買行動について見直すキッカケにもなるはずです。

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嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

岸見 一郎, 古賀 史健
1,571円(06/22 04:44時点)
発売日: 2013/12/13
Amazonの情報を掲載しています
書籍の目次
  • 第1夜 トラウマを否定せよ
  • 第2夜 対人関係がすべてである
  • 第3夜 他者の課題を切り捨てる
  • 第4夜 あなたの居場所はどこにあるか
  • 第5夜 幸福に生きる条件とは
  • あとがき


タイトル嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
著者
出版社ダイヤモンド社
ISBN-13978-4478025819
発売日

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