【書評】THE TEAM 5つの法則 – 麻野耕司 著

THE TEAM 5つの法則 - 麻野耕司 著

あなたも会社や学校で「なんで自分のチームは上手くいかないんだろう?」と感じたことが、1度や2度はあるんじゃないでしょうか。ひとりで作業を行う場合は気楽でいいのですが、複数人が集まったチームとなると、なかなか思い通りにいかないものですよね。でもこの本の「5つの法則」からヒントを得れば、上手くいくかもしれません。

今回はAmazon ビジネス・経済書 売れ筋ランキング(2019年4月15日) より、麻野耕司氏の「THE TEAM 5つの法則 」の書評をお送りします。

「THE TEAM(ザ・チーム)」を一言で表すと…

様々な組織マネジメント理論を独自の視点で5つのグループに分類した、法則性の無い本です。

THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)

THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)

麻野 耕司
1,620円(08/23 08:17時点)
発売日: 2019/04/03
Amazonの情報を掲載しています

組織変革の本質は最終章の裏にある

著者の麻野耕司氏は、株式会社リンクアンドモチベーションというコンサルティング会社の取締役をされている方です。

その麻野氏が社内で行なった組織変革の顛末をつづったのが、この本の最終章です。

この最終章では、リンクアンドモチベーションが経営コンサルティングとして外部に提供していたノウハウを、業績が落ちた自社に対して適用した結果が細かく書かれています。

内容としては成功したことしか書かれていませんが、おそらく失敗や試行錯誤も多くあったと想像します。

その成功体験を5つのグループに分けて整理したのが、本書のメインで説明されている「5つの法則」です。

しかし全体を読んで感じたのは、

  • チームづくりを含めた組織変革の本質は試行錯誤したプロセスにある

のではないか、ということです。

つまり成功体験だけをまとめた本書には、本当の価値があるように思えませんでした。

というのも、メインになっている「5つの法則」の内容が非常に薄く、そもそも「法則」にすらなっていなかったからです。

これをうがった見方をしてしまえば、リンクアンドモチベーションのコンサルティングの本当の価値が「5つの法則」ではなく「組織変革プロセス」にあるからなのかもしれません。

「法則」なのに「法則」じゃない

本書の構成は、「5つの法則」である「ABCDE」の順で説明されています。

ABCDEというのは、

  • Aim:目標設定の法則
  • Boarding:人員選定の法則
  • Communication:意思疎通の法則
  • Decision:意思決定の法則
  • Engagement:共感創造の法則

の頭文字から取ったものです。

この「5つの法則」は、各1章ずつ使って第1〜5章で説明されています。それぞれの「法則」で説明されている内容については、ほとんどが巻末にある「『チームの法則』の学術的背景」で理論的な裏付けもされています。

しかし残念だったのは、「法則」と言いつつも、法則性がないように感じられたことです。

各法則の説明では、

  • Aの場合もあればBという場合もある
  • 必ずしてもAとは限らない

というような曖昧な説明が多く見られました。

例えば、

「みんなで話し合って決めるのが良いチームだ」というのは、スピードが求められるような場面では十分に機能せず、「誰かが独断で決めるのが良いチームだ」ということも大いにあり得るのです。

第4章 p154 より引用

というような表現です。

理論がケースバイケースであるなら、それは「法則」とは言えないでしょう。

書かれている内容はもっともだと思うのですが、「法則」があるものだと思って読んでいる読者は違和感を感じるかもしれません。

5つの法則に欠ける一貫性

そして先ほどもお話しした、

  • Aim:目標設定の法則
  • Boarding:人員選定の法則
  • Communication:意思疎通の法則
  • Decision:意思決定の法則
  • Engagement:共感創造の法則

という「5つの法則」ですが、この順番には「語呂の良さ」以外の意味は無さそうです。

あえて順番をつけるとしたら、

  • Boarding → Aim → Engagement → Communication → Decision

でしょうか。

チームを組成し、目標や方針を定め、メンバー内での共感を生み出し、お互いを理解し合いながら、合理的な意思決定を行う。一連の流れで考えるなら、このような順序でも良いはずです。

しかし本書の情報の順序に、読者の理解を深めるような配慮は感じられませんでした。順序立てて読者の理解度を高めるという方法を放棄し、「ABCDE」という語呂の良さを優先させた結果のように思えます。

そのため各章の内容は、章が変わるごとに断ち切られ、全体的に断片的な印象です。

誰が読むべき?

  • 新社会人

まだ社会経験が短い読者であれば、本書に登場する様々な理論やエピソードも新鮮に感じると思います。

扱っている理論も幅広いため、チームという切り口で組織マネジメント論を俯瞰するには最適な本だと思います。

逆に、ある程度経験を積んでいるポジションの人や、リーダーシップ論や組織マネジメント論の専門書を読んでいる人にとっては、物足りない内容かもしれません。

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THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)

THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)

麻野 耕司
1,620円(08/23 08:17時点)
発売日: 2019/04/03
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書籍の目次
  • はじめに 売上、時価総額を10倍にした「チームの法則」
    • チームを科学する
    • 誰もがチームを誤解している
    • この国に必要なのは、チームという武器
    • チームの法則がもたらせた奇跡 他
  • 第1章 Aim(目標設定)の法則〜目指す旗を立てろ! 〜
    • 「共通の目的がない集団」は「チーム」ではなく「グループ」
    • 「目標を確実に達成するのが良いチームだ」 という誤解
    • 意義目標がなければ作業と数字の奴隷になる 他
  • 第2章 Boarding(人員選定)の法則〜 戦える仲間を選べ〜
    • チームで最も大切なメンバー選びとメンバー変え
    • チームは必ず4つのタイプに当てはまる
    • 人が入れ替わるチームは本当に駄目なのか?
    • チームには多様性が必要だという誤解
    • 「ゴットファーザー」より「オーシャンズ11」型のチームが強い 他
  • 第3章 Communication(意思疎通)の法則〜最高の空間をつくれ〜
    • 実はチームのコミュニケーションは少ない方がいい
    • ルール設定の4つのポイント
    • コミュニケーションを阻むのはいつだって感情
    • 「理解してから理解される」 という人間関係の真実
    • 「どうせ・しょせん・やっぱり」がアイデアを殺す
    • 己をさらして心理的安全をつくり出す 他
  • 第4章 Decision(意思決定)の法則〜進むべき道を示せ〜
    • 誰も教えてくれない意思決定の正しい方法
    • 「独裁」vs「多数決」vs「合議」
    • 「正しい独裁」はチームを幸せにする
    • 独裁者が持つべき「影響力の源泉」
  • 第5章 Engagement(共感創造)の法則 〜力を出しきれ〜
    • 超一流でもモチベーションに左右される
    • モチベーションを科学する〜気合いで人は動かない〜
    • チームのどこに共感させるか
    • エンゲージメントを生み出す方程式
  • [特別収録] チームの落とし穴~あなたのチームは足し算か、掛け算か、割り算か?~
  • [最終章] 私たちの運命を変えた「チームの法則」

タイトル:THE TEAM 5つの法則
著者:麻野 耕司(あさの こうじ)
出版社:幻冬舎
ISBN-13:978-4344034549
発売日:2019/4/3

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