【書評】直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN – 佐宗邦威 著

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN – 佐宗邦威 著

あなたは「誰も見たことのないようなアイデアを閃きたい」「世の中が変わるようなイノベーションを起こしたい」などと思ったことはないでしょうか?

職場で毎日繰り返されるルーティンや、自由な発想が抑制されるような会社の風土など、創造的な行動をしにくくなる原因はたくさんあります。

しかしそういった環境でも、誰がなんと言おうとも一つのビジョンに向かって、イノベーションを成し遂げる人だっています。もしかしたら、その人は「直感」と「論理」を繋ぐような、ビジョン思考を実践しているのかもしれません。

今回はAmazon ビジネス・経済書 売れ筋ランキング(2019年4月22日) より、佐宗邦威氏の「直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN 」の書評をお送りします。

この本を一言で表すと…

思考の世界を視覚的に表現し、ビジョン(妄想)思考を行うための手法を丁寧に説明した本です。

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

佐宗 邦威
1,728円(08/23 22:07時点)
発売日: 2019/03/07
Amazonの情報を掲載しています

思考の世界を1枚の絵に落とし込んだ

この本を読んで一番印象深かったのは、「はじめに」の章の最後に出てくる一枚の絵です。

戦略の荒野

佐宗邦威 著「直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN」よりイラストの一部を引用

上記の画像は本の一部を引用したものですが、本書では1ページ丸々使って人々の思考を「地上世界」と「地下世界」に分けて表現したイラストが載っています。

このイラストを眺めるだけでも結構楽しくて、自分自身が居心地が良さそうなエリアを探したり、業界あるあるなどを当てはめてみたりしていると、あっという間に時間が経ってしまいます。

地上世界には、

  • PDCAが支配する「カイゼンの農地
  • 「論理」を手に領土拡大を目指す「戦略の荒野
  • 目的の難民たちの新天地「デザインの平原
  • 「有用性」から解放された「人生芸術の山脈

があります。

そして地上世界に空いた大穴の下にある地下世界には、

  • 妄想の部屋
  • 知覚の部屋
  • 組替の部屋
  • 表現の部屋

があり、「ビジョンの北極星」が天に輝いている「人生芸術の山脈」を登る人々の姿が描かれています。

言葉だけで表現すると何のことだかわかりにくいですが、

  • 地上世界:4タイプの思考の違い
  • 地下世界:ビジョン思考の基本サイクル

についてイラストで表現されています。

この1枚のイラストを見れば、本書の全体像をつかめるはずなので、書店で見かけたらぜひ確認してみてください。

論理的な構成

この本がとても読みやすい理由の一つとしては、ビジョン思考を実践する手法が首尾一貫とした話の流れになっていることです。

それもそのはず、この本は京都造形芸術大学で「妄想を具現化する技法」という、2時間×5回のワークショップ型講義がベースになっているということです。

そのため読者に伝えようとしている内容は整理され、しっかりと体系化されている印象を受けました。

先ほどの世界観のイラストについてもそうですが、第1章でも細かく説明されているので、著者の世界観に置いていかれることはありません。

そしてメインコンテンツでもある「ビジョン思考の基本サイクル」については、

  • 妄想する:Drive
  • 知覚する:Input
  • 組替えする:Jump
  • 表現する:Output

という流れで、それぞれ1つの章を使って丁寧に説明されています。

さらに、説明にもわかりやすいイメージ図や写真が多用されています。

本書で説明されてる手法は「手を動かさないと身につかない」タイプのものですが、

  • 著者の佐宗氏が大学院で受けた授業の様子
  • アイデアをイラストで書き出したもの
  • 概念を図式化したもの

などが必要な場所に挟まれているので、実際に自分自身でやってみる場合のイメージも湧きやすいかもしれません。

備忘録

この本で目に留まった内容を箇条書きしておきます(内容は意訳・省略されてます)。この中にピンとくるフレーズや興味深い内容があれば、ぜひ書籍を読んでみてください。

  • 人も組織も「これがやりたい!」があれば強い
  • Build to Think(考えるためにつくる)
  • 10%のカイゼンよりも、10倍にすることを考えろ
  • 「個人」が自律的に戦略立案や意思決定を行う分散型組織
  • 「シンプルさ」や「わかりやすさ」を突き詰めるほど、僕たちの視野は狭まるようになっている。
  • アイデアは出してからどう磨き上げるかが勝負。そして、それには方法論が存在する。

誰が読むべき?

  • デザイン思考に変わる新しい考え方を探している人

ここ数年流行っている「デザイン思考」ですが、「ビジョン思考」はそれとはまた別の視点を持った考え方になります。

デザイン思考」は、マイナスをゼロにするような問題解決型のアプローチと言われています。

一方、本書で説明されている「ビジョン思考」は、「妄想(ビジョン)」をきっかけとしてゼロをプラスにするような創造プロセスであると説明されています。

これはどちらが良い悪いということではなく、読者にとって新しい視点を与えるものなのだと思います。

「カイゼン思考」「戦略思考」「デザイン思考」「ビジョン思考」のそれぞれが異なる目的を持っていて、いずれも役立つ場面が違うため、本書での学びや実践が読者の引き出しになるはずです。

本を読む時間がない、という時は
なかなか読書の時間を取れない人には、要約サービスやオーディオブックがおすすめです。

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直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

佐宗 邦威
1,728円(08/23 22:07時点)
発売日: 2019/03/07
Amazonの情報を掲載しています
書籍の目次
  • はじめに 僕らには「余白」が足りない
    • 「他者モード」で占められた僕たちの頭の中 …など
  • 序章 「感性と思考」をめぐる4つの世界
    • PDCAが支配する「カイゼンの農地」
    • 「論理」を手に領土拡大を目指す「戦略の荒野」
    • 目的の難民たちの新天地「デザインの平原」 …など
  • 第1章 最も人間らしく考える
    • なぜ僕たちは主観的に考えられなくなるのか
    • 考える作業には「終わり」がないほうがいい
    • 「頭」で考えていては淘汰される。「手」で考えよう …など
  • 第2章 すべては「妄想」からはじまる
    • 根拠なき大風呂敷を嫌う「前年比主義」
    • なぜ「10%成長」よりも「10倍成長」がラク?
    • 本当に価値あるものは「絵空事」から生まれる …など
  • 第3章 世界を複雑なまま「知覚」せよ
    • 「シンプルでわかりやすい世界」の罠
    • センスメイキング理論の最前線に学べ
    • 「R/Lのモード往復」を繰り返す …など
  • 第4章 凡庸さを克服する「組替」の技法
    • 「箇条書き」はアイデアを固定してしまう
    • 発想に「ゆらぎ」を与えたいときは「アナロジー思考」
    • 再統合パワーを生む「強制発想法」 …など
  • 第5章 「表現」しなきゃ思考じゃない!
    • 「私の仕事は『表現』じゃない」は本当か?
    • イテレーション(反復)が「手で考える」のカギ
    • 「早めの失敗」は儲けもの …など
  • 終章 「妄想」が世界を変える?
    • アーティストに見る「妄想を具体化する技術」の磨き方
    • 妄想が「社会の文脈」とつながるとき――真・善・美


タイトル直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN
著者
出版社ダイヤモンド社
ISBN-13978-4478102855
発売日

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