【書評】アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る – 藤井保文・尾原和啓 著

アフターデジタル

この本を読めば、デジタル情報が生活の隅々にまで溶け込んだ、驚くべき中国の実態を理解できるかもしれません。

今回はAmazon ビジネス・経済書ランキング(2019年5月20日) より、藤井保文氏・尾原和啓氏の「アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る 」の書評をお送りします。

この本を一言で表すと…

デジタルが生活に溶け込んだ中国の生活環境と、それを実現した中国企業のビジネス哲学をわかりやすく紹介した本です。

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

藤井 保文, 尾原 和啓
2,376円(08/23 18:16時点)
発売日: 2019/03/23
Amazonの情報を掲載しています

オンラインとオフラインを区別しなくなる世界

メインの著者である藤井保文氏は、株式会社ビービットというIT系コンサルティング会社の上海支店に勤められている方です。

本書は著者の藤井氏が中国現地での体験をベースに、最先端の中国企業の取り組みをわかりやすくまとめた内容になっています。

本書には、

  • オッフォ
  • モバイク
  • ディディ
  • フーマー
  • ラッキンコーヒー
  • 平安グッドドクター
  • ビットオート

などなど、日本では聞きなれないサービスが登場します。

いずれもOMO(Online Merges with Offline、オフラインと融合したオンライン)を実践するサービスであり、各企業の取り組みやビジネスモデルは目から鱗が落ちるようなものが多くありました。

ここでは一つ一つを紹介することはできませんが、それぞれの業界や業態も様々で、事例から多くの示唆が得られると思います。

独自フレームワークに営業ツール感あり

本書では「バリュージャーニー」と呼ばれるフレームワーク(概念の枠組み)の説明があります。

このバリュージャーニーという考え方は、

  • 行動データで顧客との接点を高速で改善するUXグロースハック
  • 新たな行動データを取得するために接点を生み出すUXイノベーション

という要素で構成されています。

この「UXグロースハック」や「UXイノベーション」というのは聞きなれない言葉ですが、ビービットの企業サイトの「ビービッドのサービス」というページに掲載されているサービスのラインナップに繋がるコンセプトです。

参考 ビービッドのサービス株式会社ビービット

そのため、この「バリュージャーニー」という考え方をベースにビジネスを改善したい場合は、ビービットの提供するサービスを利用するという流れになりそうです。

最終章である第4章からは、本書の内容を総括しながら「バリュージャーニー」のコンセプトに集約する流れが一気に強まります。

OMO(オフラインと融合したオンライン)の概念が独自フレームワークとして表現されているものの、複雑でわかりにくく、ビービットの得意分野と強引につなげたようにも感じました。

本質は顧客と向き合うためのテクノロジー活用

むしろ「バリュージャーニー」というフレームワークを使わなくても、本質的な考え方については、紹介されている中国企業の事例を読んで理解できると思います。

その本質とは、

  • 顧客と真摯に向き合うためにデジタルデータを駆使する

ということです。

具体的には、

  • 顧客の課題を適切な方法とタイミングで解決する
  • 顧客との接点で統計データを取得して高頻度の改善を行う
  • 顧客のロイヤルティを長期的に高めて維持する

などであり、その結果として「オンラインとオフラインを区別しない」という「バリュージャーニー型」と表現されたビジネスが生まれているのだと思います。

この原因(行動)結果(バリュージャーニー型)因果関係を、逆に捉えてしまわないよう十分に気をつける必要があると思います。

備忘録

この本で目に留まった内容を箇条書きしておきます(内容は意訳・省略されてます)。この中にピンとくるフレーズや興味深い内容があれば、ぜひ書籍を読んでみてください。

  • オンラインとオフラインの主従逆転が起きている
  • OMO(Online-Merge-Offline)
  • 善業を積むとメリットがある社会の実現
  • オンラインがオフラインを侵食して溶け込み、ユーザーのあらゆる行動データがひとつひとつ取得できる時代
  • 顧客はその時一番便利な方法で商品やサービスを利用したいだけであり、オンラインかオフラインかは関係ない。
  • リアル店舗もオンライン同様に高速改善し、個々の顧客に最適な対応をするにはどうすべきか
  • 決済という作業は商品を売る側と購入する側が仕方なくやらなければならない行為
  • リッツ・カールトンのミスティーク
  • モノから寄り添いへ
  • 状況志向(人や属性ではなく状況にターゲティングする)

誰が読むべき?

  • 中国のIT事情がどうなっているか気になる人
  • 日本のビジネスが将来どのように変化するかヒントを得たい人

本書は中国企業の様々な取り組みが詳細に説明されているため、中国のIT事情や人々の生活にどう溶け込んでいるのか垣間見ることができます。

また本書で紹介されたような光景は、すべてとは言わないものの一部は日本でも実現されるものかもしれません。

さらに今後は中国系の企業が日本でサービスを広げる可能性もあり、日本の将来のビジネス環境がどのように変化するのかのヒントになる一冊だと思います。

本を読む時間がない、という時は
なかなか読書の時間を取れない人には、要約サービスやオーディオブックがおすすめです。

要約サービスのflier(フライヤー)は、1冊の本が10分ほどで読める分量にまとめられているので、ひと駅移動する間に1冊読めちゃいます。さらに要約を音声で読み上げる昨日もあるので、オーディオブックとして使うこともできます。アマゾンのAudible(オーディブル)や audiobook.jp は、ビジネス書を一冊丸ごと朗読してくれます。クルマでの通勤時間が長い方や、徒歩での移動時間が多い方には、オーディオブックがおすすめです。自分で使ってみた感じでは、話題のビジネス書のラインナップは「flier(フライヤー)」が一番充実しているイメージです。いずれも無料のお試しキャンペーンなどをやっているので、気になる方は確認してみてください。
アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

藤井 保文, 尾原 和啓
2,376円(08/23 18:16時点)
発売日: 2019/03/23
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書籍の目次
  • 第1章知らずには生き残れない、デジタル化する世界の本質
    • 1-1 世界の状況、日本の状況
    • 1-2 モバイル決済は「すべての購買をIDデータ化する」
    • 1-3 シェアリング自転車は「生活拠点と移動をデータ化する」
    • 1-4 行動データでつなぐ、新たな信用・評価社会
    • 1-5 デジタル中国の本質データが市民の行動を変え、社会を変える
    • 1-6 大企業や既存型企業の変革好事例「平安保険グループ」
    • 1-7 エクスペリエンスと行動データのループを回す時代へ
  • 第2章 アフターデジタル時代のOMO型ビジネス~必要な視点転換~
    • 2-1 ビフォアデジタルとアフターデジタル
    • 2-2 OMO:リアルとデジタルを分ける時代の終焉
    • 2-3 ECはやがてなくなっていく
    • 2-4 転覆され続ける既存業態
    • 2-5 日本企業にありがちな思考の悪例
    • 2-6 企業同士がつながって当たり前OMOの行き着く先の姿
  • 第3章 アフターデジタル事例による思考訓練
  • 第4章 アフターデジタルを見据えた日本式ビジネス変革


タイトルアフターデジタル オフラインのない時代に生き残る
著者
出版社日経BP社
ISBN-13978-4296101627
発売日

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