だいぞう
戦略ループとは、
- 1枚の図でビジネス戦略全体を俯瞰できる独自フレームワーク
のことです。
- システム思考の文脈で用いられる「ループ図」がベース
となっていて、ビジネス戦略を表現することに特化した様式を指します。
これを読んでいるあなたも「戦略ループ」の描き方をマスターすれば、
- ビジネスがうまく回っていない原因がわかる
- ビジネスのどの部分を強化すべきか判断できる
- ループを足し引きしてライバルを出し抜く一手が見つかる
ようになります。…さらに、
- 新規事業の企画書を簡潔に書けるようになる
- スタートアップの戦略を1枚の紙で仲間と共有できる
- 優れた戦略ループを組み合わせてイノベーションのヒントを探す
といったことも可能になります。
このページでは、戦略ループの仕組みを事例を交えてわかりやすく説明しますので、ぜひ最後まで読んでいってください!
ビジネス戦略の魅力に取り憑かれた筆者が、院生時代に出会ったのが「システム思考(システム・シンキング)」で使われる「ループ図」と呼ばれる分析手法です。
この「ループ図」を、中小企業のリアルなコンサルティングを通して戦略表現に特化させたものが筆者の「VXR(ヴィクサ)モデル」であり「戦略ループ」なのです。
戦略ループって、そもそも何?
戦略ループは、誰でも簡単にビジネス戦略の全体像を把握するためのフレームワークです。
戦略ループをながめるだけで、その戦略の「なぜ(Why)」「何を(What)」「どうやって(How)」についても理解が深まります。
戦略ループは、上記のような1枚のカードにまとまっています。
描くのに必要なのは、
- 文字
- 矢印
のみ!
アイコンや記号を描く必要も、覚える必要も一切ありません。だから、絵が苦手な人でも、すぐに戦略ループを描けるようになります。
戦略ループのカードに書かれていること
戦略ループのカードの構成を、もう少し詳しく見てみましょう。
戦略ループのカードは、3つのエリアに分かれています。
①基本情報
まず一番上にあるのは、企業名、戦略の時期(年や年代)、事業概要で構成された「基本情報」です。
戦略は時間の経過とともに変化するものですし、外部環境も刻一刻と変化します。そのため「いつ(When)」「どの範囲(Where)」で適用されたビジネス戦略なのかを特定しておく必要があります。
②戦略ループ
中央にあるのが、「戦略ループ」です。
戦略ループは、
- Value(バリュー、提供価値)
- eXchange(エクスチェンジ、価値交換)
- Resources(リソース、資源)
の3つのエリアで構成され、これらの文字をとって「VXR(ヴィクサ)モデル」と名付けました。
ビジネス戦略の「なぜ(Why)」「何を(What)」「どうやって(How)」を説明します。
③コンセプト
一番下の段にあるのが「コンセプト」です。
ビジネス戦略の考えや方向性を表すキーワードやフレーズが入ります。「誰に(Who)」というターゲット層に関する情報も含まれていれば理想的です。
因果関係を表現する2種類のやじるし
戦略ループを読み解くには、もう一つだけ知っておいていただきたいことがあります。
それが、
- 普通の矢印
- 点線の矢印
という2種類の矢印です。
これらの矢印で繋がれた2つの要素は、因果関係を持っています。つまり、原因と結果の関係にあります。
普通の矢印は正の相関関係
普通の矢印は、物事の因果関係の「正の相関」を表しています。
正の相関というのは、一方が増えると、もう一方も増える、という関係です(その逆もあります)。
上の図では矢印が「販売個数」と「売上」の因果関係を表していて、
- 販売個数が増えると、売上も増える
- 販売個数が減ると、売上も減る
ということになります。
点線の矢印は負の相関関係
点線の矢印は、物事の因果関係の「負の相関」を表しています。
負の相関というのは、一方が増えると、もう一方が減る、という関係です(その逆もあります)。
上の図では矢印が「生産効率」と「原価」の因果関係を表していて、
- 生産効率が上がると、原価が下がる
- 生産効率が下がると、原価が上がる
ということになります。
こちらは先程の普通の矢印と結果が逆になっていることがわかると思います。
…ということで、ここまで知っていれば戦略ループを読む準備は万端です!
次のページからは、誰でも知っている世界最大のネット小売企業「Amazon(アマゾン)」を例に戦略ループを読んでいきましょう。