訪問者の増加は物流効率を高める
ここからは2つ目のループを一気に見てみましょう。
上記の色付きの矢印を順番に見ていくと、
- 訪問者数が増えれば売上が増える
- 売上が増えれば利益が増える
- 利益が増えれば事業投資も増える
- 事業投資が増えれば物流効率が改善する
という流れになります。
Amazonは利益を株主に配当しないことで有名ですが、得られた利益はすべて事業投資に回していました。
その初期の事業投資の一つが、物流効率の改善です。実際にAmazonはアメリカ国内外に大きな物流拠点を次々と作り、物流への投資を続けました。
しかし、なぜそうしたのでしょうか?
Amazonが出品者を惹きつけるのであれば、物流を出品者に任せてしまえば良いはずです。Amazonが物流のリスクを負う必要はありません。
では、その理由とは?…戦略ループを見ている皆さんには、すでにお分かりのはず。
そう。顧客体験の向上のためです。
物流効率が高まれば、配送スピードも向上します。その結果、顧客体験が改善します。
同様に、物流効率の改善は、商品1個あたりの配送コストを引き下げます。その結果、価格を下げることができ、こちらも顧客体験の改善につながります。
つまり物流効率の改善に資源を投入すれば、
- 物流効率が改善するほど配送スピードが上がる
- 物流効率が改善するほど商品の価格が下がる
という要素に枝分かれして、顧客体験の改善につながるのです。
さらに、Amazonは2000年にトイザらスと提携しただけでなく、同年12月に「Amazonマーケットプレイス」も立ち上げています。
これはAmazonの物流システムを外部の事業者に開放することで、
- 物流効率が改善するほどより多くの出品者を管理できる
というループが回るようになります。
その結果、
- 出品者が増えるほど品揃えが増える
という流れは、内側の第1のループ、および外側の第2のループの両方で強化されるのです。
これはAmazonのスローガンの「地球上で最も豊富な品揃え」とビジネス戦略がピッタリと一致していることを表しています。