戦略ループの拡張:アマゾンの打ち手と戦略整合性
戦略ループは、描かれたものを見て終わり、ではありません。
組み上がったループに、戦略の打ち手を書き加えることで、
- ビジネス戦略の妥当性を検証する
- ビジネス戦略全体との整合性を確認する
ことが可能です。
1996年の打ち手:Amazonアソシエイト・プログラム
Amazonは、創業間もない1996年に「Amazonアソシエイト・プログラム」を立ち上げました。
Amazonアソシエイト・プログラムとは、Amazonが提供するアフィリエイトプログラムのことで、
- 自分のホームページにAmazonのリンクを設置し、そのリンクから商品が売れた場合は、売上の一部を「販売手数料」としてAmazonから受け取れる
といったサービスです。
現在では、ブログ記事を書いて商品のリンクを貼り、その売上の一部を受け取ることで生計を立てている「アフィリエイター」と呼ばれる人たちも珍しくはありません。
そういったアフィリエイターを生み出す仕組みの先駆けとなったのが、この「Amazonアソシエイト・プログラム」です。
これを戦略ループに書き加えると、以下のようになります。
アソシエイトプログラムの流れは、
- ネット普及率が上がればアフィリエイターの数も増える
- アフィリエイターが増えれば広告記事も増える
- 広告記事が増えれば訪問者数が増える
となります。
この打ち手は、外部環境の波の起こりを上手につかんで「訪問者数」を増やす、見事な戦略のように思えます。
さらにアフィリエイターに支払う手数料は「利益」のほんの一部を支払うだけ。まったく腹を痛めることはありません。
1996年といえば、Windows95が登場して一般家庭に少しずつインターネットが普及し始めた頃ですから、思い切って事業化したベゾス氏の先見性は凄まじいと言えます。(最初はAmazonの利用者がベゾス氏に「自分のホームページでも本を売りたい」と持ちかけたのがキッカケのようです。)
Amazonアソシエイトプログラムは、現在でも多くの人(当ブログも含みます)が利用しており、世界中で莫大な量の商品が販売されたことは想像にかたくありません。