【書評】行動経済学まんが ヘンテコノミクス – 佐藤雅彦/菅俊一/高橋秀明 著

日常の中に潜んでいる合理的に思えて実は非合理な行動、その謎を解き明かしてくれるのが行動経済学です。「行動経済学ってなんだか難しそう」と思っているあなたも、マンガでわかりやすく読み進められるこの本なら気軽に楽しめるんじゃないでしょうか。

今回は友人から勧められて購入した「行動経済学まんが ヘンテコノミクス 」の書評をお送りします。

この本を一言で表すと…

行動経済学の考え方を、マンガでわかりやすく学べる入門書です。

具体的には?

雑誌「BRUTUS」で連載されていた行動経済学のマンガを、23話収録した本です。

マンガは各話4ページですぐに読める分量。またそれぞれに解説文も添えてあり、理解を深めることができます。ちなみにAmazonでは第1話の「塀のらくがき」の巻が、サンプルとして読めます。

この第1話で紹介されている「アンダーマイニング効果」ですが、筆者も後日その効果を感じる体験をしました。

筆者の行きつけの食品スーパーは、ダンボールなどの古紙をいつでも捨てられるようになっています。しかもそこで古紙を捨てると、ポイントまで貰えてしまいます。近所のゴミ捨て場にダンボールを捨てるなら、資源ごみの日まで待たなければいけません。Amazonで買い物をすることが多く、すぐにダンボールゴミが溜まってしまう筆者にとっては、とても助かるサービスでした。そのため結構な頻度で、そのスーパーにダンボールを捨てに行っています。

ある日いつものようにダンボールを持ち込むと、ポイントを発行する機械がメンテナンス中で動いていませんでした。ダンボール自体は捨てられるのですが、ポイントはもらえません。その時なんだか勿体無い気分になって「ダンボールを家まで持ち帰ろう」と考えたのです。しかしよく考えてみると「ダンボールがいつでも捨てられる」だけでも十分に助かるはずです。なのに損した気分。

そこで急にこの本の「塀のらくがき」の話を思い出しました。これが「アンダーマイニング効果」なのか、と。いつの間にか動機が「いつでも捨てられる」から「ポイントが貰える」に変わっていたのです。まさか本で読んだことが、こんなにすぐに実感できるとは思ってませんでした。

誰が読むべき?

  • 行動経済学についてまったくの初心者
  • 行動経済学が気になるけど専門書を読む気力がない人
  • 行動経済学を自分のビジネスに活かしたいと思っている人

この本は行動経済学の入門書です。さらにマンガでわかりやすく書かれており、理論の解説も半ページ程度で簡潔に書かれています。そのため行動経済学の初心者の、初めの1冊としておすすめです。

また「行動経済学」というキーワードが気になっているものの、専門書を買って読むのは億劫に感じる人にも適しています。マンガなのであっという間にさらっと読めてしまいます。もしヘンテコノミクスを読んでみて興味がわけば、話題になったダン・アリエリー著「予想どおりに不合理 」 などに手を出しても良いかもしれません。

もちろん行動経済学は、ビジネスに活かすことができます。この本に出てくる事例も、立場を変えてみたり別のビジネスに置き換えて考えてみると色々なヒントが得られるはずです。

書かれていること書かれていないこと

書かれてること
  • 行動経済学の理論とその日常的な事例
書かれてないこと
  • 行動経済学の理論の詳細

この本は入門書に位置する内容なので、ある程度デフォルメされた形で事例が書かれています。解説も短く簡潔に、読みやすく編集されています。書かれている理論を応用することで、マーケティングなどに活かせそうな部分がたくさんあります。

そのため行動経済学に触れるための最初の一冊としては、手に取りやすい本です。行動経済学の楽しさを他の人にも伝えたい場合にも、気軽にプレゼントできる本だと思います。

書籍の目次
  1. 「塀のらくがき」の巻―アンダーマイニング効果 報酬が動機を阻害する
  2. 「安売り合戦」の巻―感応度逓減性 母数によって変わる価値
  3. 「スーパーおしの」の巻―フレーミング効果 枠組みを変えると価値が変わる
  4. 「保母さんの名案」の巻―社会を成立されているのは、モラルかお金か 罰金による罪の意識の軽減
  5. 「心の会計」の巻―メンタル・アカウンティング 心の中で、お金の価値を計算する
  6. 「はじめての背徳」の巻―アンカリング効果 基準が判断に影響を及ぼす
  7. 「 」の巻―代表性ヒューリスティック 私たちはイメージに囚われる
  8. 「欲しいけど買えない」の巻―おとり効果 選択肢を生み出すことで、市民権を得る
  9. 「占い師のアドバイス」の巻―新近効果 終わり良ければすべて良し
  10. 「れんが亭の新メニュー」の巻―極端回避性 ついつい真ん中を選んでしまう〔ほか〕


タイトル行動経済学まんが ヘンテコノミクス
著者
出版社マガジンハウス
ISBN-13978-4838729722
発売日

(Amazon 登録情報より Reviewed by  4 out of 5