戦略と戦術は区別不要!戦術の定義とその構造

ビジネス書などでは「戦略」と「戦術」を区別することが多いですが、実際のビジネスでは違いを意識する必要なんてありません。なぜなら、戦術は誰かにとっての戦略とも言えるからです。

一般的な「戦術」の定義

まずは辞書をみてみましょう。

せんじゅつ【戦術】

  1. 個々の具体的な戦闘における戦闘力の使用法。普通、長期・広範の展望をもつ戦略の下位に属する。
  2. 一定の目的を達成するためにとられる手段・方法。 「牛歩-」

大辞林 第三版 より

1に書かれていることは、軍事的な意味合いでの戦術です。ビジネスで「戦闘」や「戦闘力」を定義するのは難しいため、ここでは割愛。

2に書かれている内容は、ビジネスなどの軍事以外で使われる場合の意味なので、こちらを中心に話を進めます。

戦略の定義については、

戦略とは?戦略を構成する4つの要素と具体例

上記の記事で説明しましたが、先ほどの「一定の目的を達成するためにとられる手段・方法」という意味では、全く同じです。戦略も戦術も目的があって、状況を見ながら最適な手段や方法を選ぶことを指しています。

戦略と戦術の構造

それでも戦略と戦術は区別されるのは、先ほどの辞書に書かれてた意味の「(戦術は)長期・広範の展望をもつ戦略の下位に属する」という部分が意識されるからです。

簡単に言えば、戦略の下に戦術がぶら下っているイメージです。

また、戦術より戦略の方が、

  • より長期的な視点
  • より広範囲な視点

であると言われています。

以前例に挙げた「晩ごはん戦略」を例に、戦術を加えて考えてみましょう。

  • 戦略
    • 会社帰りに駅前のスーパーで、おにぎり2つと、鶏のササミ、大きめのサラダを買って帰る。
  • 戦術
    • サラダに値引きシールが貼られるのを待つ
    • 大きくて安くて新鮮なサラダを選ぶ

時間軸でみてみると、

  • 戦略(長期的):コンビニより安いスーパーで買う → その日の節約
  • 戦術(短期的):値引きシールが貼られるのを待つ → その時の節約

範囲の軸でみてみると、

  • 戦略(広範囲):仕事帰りの複数の店からスーパーを選ぶ → 通勤経路
  • 戦術(狭い範囲):サラダコーナーの中から商品を選ぶ → スーパー店内

となります。「晩ごはん戦略」は戦略と言って問題なさそうです。

しかし「晩ごはん戦略」は「晩ごはん戦術」であるとも言えます。

ここに上位の戦略を加えて、同じように当てはめてみましょう。

  • 上位戦略
    • 旅行の費用を捻出するため、家計の中でも特に支出の多い外食を控える。
  • 戦略(上位戦略にとっての戦術)
    • 会社帰りに駅前のスーパーで、おにぎり2つと、鶏のササミ、大きめのサラダを買って帰る。

時間軸でみてみると、

  • 戦略(長期的):外食を避ける → 旅行費用が捻出できるまでの期間の節約
  • 戦術(短期的):コンビニより安いスーパーで買う → その日の節約

範囲の軸でみてみると、

  • 戦略(広範囲):外食より自炊 or スーパーの惣菜 → 外出した場合全て
  • 戦術(狭い範囲):仕事帰りの複数の店からスーパーを選ぶ → 通勤経路

となります。こちらの例でも戦略と戦術の関係が当てはまりますね。

戦略イコール戦術

戦略は、より上位の戦略が存在すれば、相対的に戦術になります。一方で、戦略もさらに短期的で狭い範囲に分解できれば、それらが戦術になります。

この図のように、誰かにとっての戦術は、別の誰かにとっての戦略にもなります。そのため、戦略イコール戦術とも言えます。

「戦略の失敗は、戦術でカバーできない」の真意

よく引用される言葉に「戦略の失敗は、戦術でカバーできない」というものがあります。

ここまで読んでいただいた方はすでにお判りかと思いますが、戦略であれ戦術であれ、上位の戦略が存在していれば、その下で対応できることは限られます。下位の戦略は、上位戦略が定めた制限の範囲内でしか戦略を実行することができません。

その結果、下位の戦略がどれほど頑張っても、上位の戦略が間違っていれば成果が出ないのです。

例えば、マーケティング戦略(上位の戦略)で設定したターゲット層が間違っていたために、プロモーション戦略(下位の戦略)でいくら広告を頑張っても、集客が売り上げにつながらない場合などが該当します。

このように、重要なのは戦略と戦術を区別することではなく、戦略と下位の戦略(あるいは戦術)の構造や関係性を理解することなのです。