経験曲線効果(けいけん-きょくせん-こうか)

要するに…

経験曲線効果とは、経験値が増えてノウハウが蓄積されることで、製品1つあたりの平均費用が下がる状況のことです。製造業だけでなく、サービス業でも同様の効果が現れます。

経験曲線効果のグラフ

経験曲線効果(Experience Curve Effects)では作業の経験が2倍になるにつれて、製品1つあたりの平均費用が10〜30%ほど下がると言われています。この下がる割合を「習熟率」と呼びます。下の図は習熟率が20%の場合で、累積の生産量が Q1 から Q2 に倍増した時のグラフです。

ここで注意が必要なのは「累積」の生産量ということです。

同じ製品を作り続ければ「累積」になり、工場を増やしても経験曲線効果は引き継ぐことができます。しかし別の製品を作り始めると「累積」にならないため、経験曲線効果は引き継ぐことができません。

サービス業でも同じで、チェーン展開をすれば経験曲線効果が発揮されます。しかし全く違う業態で店舗を増やすと、経験曲線効果はほとんど現れません。

ちなみに「学習曲線」という言葉もありますが、学習曲線の考え方をベースに発展させたのが経験曲線です。

平均費用が減る理由

誰でも初の作業は、時間がかかるものです。しかし5回目の同じ作業と10回目の同じ作業では、10回目の作業の方が5回目の時より早く終わったりします。

さらに同じ作業を続ければ、作業を始めた時に比べて随分と早く作業ができるようになるかもしれません。また似たような作業であれば、以前の経験を生かすことが出来るので初めてでも早く作業ができます。

このような効果で、人件費が減ったり不良品の処分費用が減って、結果的に平均費用が下がっていきます。経験曲線効果で平均費用が減る理由は、労働者の効率向上以外にも次のようなものがあります。

  • 作業手順や方法が改善されて効率が上がる
  • 装置や器具が改良されて生産性が上がる
  • 製品設計の見直しで生産効率の向上や不良率の低下が実現する
  • トラブルの解決が早くできるようになる
  • トラブルそのものが減ってくる

例えば、工場である製品を生産していたとします。その工場では製品を作れば作るほど経験が蓄積され、効率的に生産できるようになります。

その後、同じ製品を作る同じ設備の工場を、もう一つ別の場所に作ったとします。そうすると作る製品もそのための設備も同じであるため、最初の工場の改善ノウハウをそのまま活かすことができます。2つ目の工場は改善後の効率が良い状態からスタートするので、最初から経験曲線効果が効いた状態で生産を始めることができます。

これをグラフで表してみましょう。

下の図は、平均費用と生産量のグラフです。最初の工場で生産量 Q を生産した時の平均費用を C1 とします。生産をすることで経験やノウハウが累積されて、平均費用のグラフは全体的に下がってきます(薄い曲線から濃い曲線に移動します)。

そして同じ製品を同じように作る2つ目の工場を稼働させた時には、最初の工場の経験曲線効果で平均費用が下がった状態でスタートできます。つまりすでにグラフが下にさがっているので(濃い曲線のある位置)、2つ目の工場で生産量 Q を生産すると最初から平均費用 C2 で生産することができます。これが経験曲線の効果です。

規模の経済との違い

似ている経済用語に「規模の経済」というものがあります。規模の経済は製品を作れば作るほど製品1つあたりの平均費用が下がっていく状況を表しています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

規模の経済・範囲の経済・経験曲線効果の違いを図解すると一目瞭然