範囲の経済(はんい-の-けいざい)

要するに…

範囲の経済とは、複数の事業を別々の企業がやるより、1つの企業がまとめてやる方が効率的になる状況のことです。反対の状況は「規模の不経済」と呼ばれます。

範囲の経済のグラフ

範囲の経済(Economies of scope)はミクロ経済学の考え方で、個別の企業が個別の事業を行うより、1つの企業が様々な事業を行った方が効率がよくなる状況のことです。

例えば次の2つの別々の会社があるとします。

  • 製品Aを毎日100作れるA社
  • 製品Bを毎日100作れるB社

下のグラフの縦軸を製品Aの生産量とすると、A社だけでは毎日100しか生産できません。それはB社も同様です。

ある時、A社とB社は合併することになりました。ここで驚くべきことが起こります。2つの会社が合併した後は、

  • 元A社社員は製品Aを毎日120も作れる
  • 元B社社員は製品Bを毎日120も作れる

ようになりました。

その理由は、

  • 社員がお互いの工場のノウハウを教えあって作業効率が上がった
  • 総務・人事・経理などの機能が1つになったためコスト削減できた
  • お互いの取引先に製品を紹介することで営業効率が向上した

などなど。

つまりお互いの良いところを共有したり、重複している機能をまとめて無駄を排除したことで、経営資源を効率的に使えるようになったわけです。その結果、別々の会社でやっていた時より多く生産できるようになりました。これが「範囲の経済」の効果になります。

1つの会社が経営の多角化を行った時にも、同じように範囲の経済が見られることがあります。

範囲の不経済のグラフ

事業の統合や経営の多角化を行っても、必ずしも経営効率が高まるわけではありません。別の事業を1つの組織が行うことで、お互いの事業が足を引っ張ることもあります。そのような状態を「範囲の不経済」と呼びます。

先ほどの図とほとんど同じですが、A社とB社が合併したことで、

  • 元A社社員は製品Aを毎日90しか作れない
  • 元B社社員は製品Bを毎日90しか作れない

ようになってしまいました。

その理由は、

  • 元A社社員と元B社社員で派閥争いになり工場の雰囲気が悪くなった
  • 物流システムの統合が上手くいかずトラブルが増えた
  • 合併によって社風が変わって辞めてしまう社員が続出した

などなど。

つまり合併したことによって、社内がゴタついて悪い影響の方が強く出てしまったわけです。その結果、別々の会社でやっていた時より生産性が落ちてしまいました。これを「範囲の不経済」と呼びます。

規模の経済との違い

似ている経済用語に「規模の経済」というものがあります。規模の経済は製品を作れば作るほど製品1つあたりの平均費用が下がっていく状況を表しています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

規模の経済・範囲の経済・経験曲線効果の違いを図解すると一目瞭然