- わかりやすい報告書を書くためのフレームワーク
のことです。
ピラミッドストラクチャーを使うことで、誰でも効率的かつ論理的に情報の整理を行うことができるようになります。
図で表すと下記のようになり、複数のピラミッドが大きなピラミッドを構成しています。

それぞれのピラミッドは、下層の情報を上層の情報が要約する関係にあります。
小さなピラミッドごとに情報がグループ化されており、これらのピラミッドを順に説明するだけで、相手にわかりやすく情報を伝えることができます。
この手法はロジカルシンキング(論理的思考)の基本でもあり、社会人が身につけるべきフレームワークでもあります。
ここではピラミッドストラクチャーを使って、論理的に情報を整理する方法を説明します。
ピラミッドストラクチャーの作り方
ピラミッドストラクチャー(ピラミッド構造)の役割は、
- 情報を論理的に整理する
ことです。
情報を論理的に整理できれば、
- 自分自身の頭の中が整理される
- 情報を他人に伝えやすくなる
というメリットがあります。
このピラミッドストラクチャーを体系化して、世に広めたのはバーバラ・ミント氏というアメリカの経営コンサルタントです。
1960〜1970年代、コンサルタントの仕事をしていたミント氏は、誰もが毎日大量の報告書を書くにもかかわらす、報告書を書く手法が体系化されていないことに気づきました。
そこでミント氏は、報告書を書き方を体系化して「The Minto Pyramid Principle(ミントのピラミッド原則)」という一冊の本にまとめました。
その本が、こちらになります。
📖 書籍考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則Amazonで見る →
「The Minto Pyramid Principle」を日本語に翻訳した「考える技術・書く技術」という本は、多くの学生や社会人に長年愛され、ビジネスの基礎力を養うための必読書と言われています。
しかしなぜピラミッドストラクチャーは、情報を整理することができるのでしょうか?
冒頭で紹介したピラミッドを、もう一度見てみましょう。

ピラミッドストラクチャーの構造は、小さなピラミッドの集まりです。そしてもっとも典型的なパターンが上記の図です。
あなたが一番「伝えたいこと」を頂点として、なぜそれを伝える必要があるのかという「理由」がそれを支えます。またそれぞれの「理由」には、より具体的な情報に支えられています。
このピラミッドを順番に文章に落とし込むと、下図のようになります。報告書やビジネスメールを思い浮かべながら見てみてください。

まず、報告書のタイトルやメールの件名など、全体を総括した「タイトル」が最初に来ます。
その後から本文が始まりますが、「伝えたいこと」「理由」「具体的な内容(AとB)」そして最後にもう一度「伝えたいこと」という順番で文章を作れば簡潔にまとまります。
またプレゼンテーションに落とし込んでも、ピラミッドストラクチャーが役に立ちます。

ピラミッドを上から順番に「1スライド1トピック」で説明して、最後にもう一度「伝えたいこと」に戻れば、誰にでも伝わりやすいプレゼンテーションを作ることができます。
このように論理的に整理された情報は、
- 情報の受け手のストレスを減らす
- 間違った情報が伝わる可能性を減らす
という効果もあります。
ピラミッドストラクチャーで情報を整理すれば、「伝えたいこと」が伝わるだけでなく、情報伝達のミスなども防ぐことができます。
トップダウンとボトムアップの2タイプの作り方
ピラミッドストラクチャーの情報の洗い出し方には、
- トップダウン型アプローチ
- ボトムアップ型アプローチ
の2つがあります。
まず「トップダウン型アプローチ」では、伝えたいことをより細かく具体的に考えることで、ピラミッド構造を作ります。

この方法は、「伝えたいこと」が初めから明確になっている場合に使うことができます。
トップダウン型アプローチでは、はじめに伝えたいことを考えてから、その理由やもっと細かい内容を切り分けていきます。
例えば、会議の日程を伝える場合などはトップダウン型になります。
まず「伝えたいこと」として、会議が開催されることを伝え、それを支えるピラミッドの土台として、開催日時、開催場所、参加者、議題など、より細かい情報でピラミッドを構成します。
その他にも相手に自分の主張を伝えたい場合や、結論が明確な場合などではトップダウン型アプローチの思考になります。新しい企画の提案や、出来事の報告などもトップダウン型で行われることがほどんどです。
後ほど紹介する「Whyのピラミッド」や「Howのピラミッド」もトップダウン型のアプローチをとります。
逆に「ボトムアップ型アプローチ」では、「伝えたいこと」が明確じゃない場合に有効です。

ボトムアップ型アプローチでは、バラバラの情報をグループ化して、その情報を「要約」することでピラミッドを作ります。文章を書く時には、この最下層にある一つのピラミッドが、一つの「段落」として扱われます。
このボトムアップ型アプローチが一番よく使われるのは、「分析」する場面です。
マーケティング調査の結果や経営指標など、得られた情報がそのままであれば経営の役に立ちません。しかし得られた情報をグループ化して、その情報が示す意味を要約すれば、何を伝えるべきかを考えることができます。
後ほど紹介する「演繹法のピラミッド」や「帰納法のピラミッド」も、ボトムアップ型のアプローチになります。
このように整理したい情報を洗い出したい場合には、「伝えたいこと」が明確かどうかによって、トップダウンとボトムアップのアプローチを使い分けることができます。
ピラミッドストラクチャーの情報の順序:4タイプ
ピラミッドストラクチャーでは、情報が意味のある順序で並んでいる方が、相手により情報伝わりやすくなります。
情報の順序は、
- 演繹の順序:演繹法、三段論法(大前提 → 小前提 → 結論)など
- 時間の順序:出来事が起きた順番など
- 比較の順序:重要な順番、大きさなど
- 構造の順序:北から南、東から西など
の4つのタイプがあります。
冒頭に登場したピラミッドを、もう一度見てみましょう。

このピラミッドでは情報の順序が、
- 理由1 → 理由2 → 理由3
- A → B
という順番になっています。
演繹の順序では、ピラミッドの土台部分を「演繹法」や演繹法を発展させた「三段論法」と同じ流れで情報を伝えます。この演繹の順序については、後述する「ピラミッドの横の構造:演繹法のピラミッド」で詳しく説明します。
時間の順序では、ピラミッドの土台部分を物事が起きた順番に並べます。最も一般的なのは、時系列を追って古い出来事から順番に説明する方法です。何かの手順を説明する場合や、起こった出来事の原因を順を追って説明する場合などが該当します。
比較の順序では、ピラミッドの土台部分を比較して、順番に並べ変える方法です。例えば、売上の大きい商品カテゴリから順番に説明したり、経営への影響が大きい順に経営課題を並び変えたりする時が該当します。
構造の順序では、ピラミッドの土台部分を何かしらのパターンなどに従って並べ変える方法です。ありがちなのは、50音順やアルファベット順などの文字の順番です。説明すべき内容が、どれも同じような重要度で順序をつけるのが難しい場合などに、もともと決められてる順番などで説明を行います。
情報を整理する時には、これらの4つのタイプに当てはめて考えると、より伝わりやすい文章を組み立てることができます。
ピラミッドストラクチャーの縦の関係性を意識した作り方
ピラミッド構造の縦の関係は、
- Why?(なぜ?)
- How?(どのように?)
という2つのタイプに分けることができる、トップダウン型のアプローチです。

ピラミッドストラクチャーの縦の構造が、正しいかどうか確認する時には「なぜ?」や「どのように?」といった質問に答える形になっているか確認しましょう。
Why のピラミッド
Whyのピラミッドは、
- なぜそうなのか?
を説明する「縦の関係」を持っています。

上記の例では、
- 工場を閉鎖するべきだ
という「伝えたいこと」に対して、
- なぜ工場を閉鎖すべきなのか?
という疑問への答えをピラミッドの土台で説明しています。
問いへの答えとしては、
- なぜならば貢献利益がマイナスだから
- なぜならば製品の市場が縮小しているから
などを挙げることができます。
(ちなみにここでは一例として時間の順序で並べています。すでに起きている「貢献利益のマイナス」という理由を先に伝えて、次に将来影響がある「市場の縮小」という理由を伝えています。)
このようにピラミッドの縦の関係が、
- なぜ?
- なぜならば〜
で構成されるものがWhyのピラミッドです。
How のピラミッド
Howのピラミッドは、
- どのように?
を説明する「縦の関係」を持っています。

上記の例では先ほどと同じ、
- 工場を閉鎖するべきだ
という「伝えたいこと」に対して、
- どのように工場を閉鎖するべきか?
という疑問への答えをピラミッドの土台で説明しています。
問いへの答えとしては、
- 国内工場を中心に
- 貢献利益が低い製品から徐々に
という理由などを挙げることができます。
(ちなみにここでは一例として構造の順序で並べています。まず大きな国内/海外というくくりで工場の絞り込みを行い、次に製品というより小さい単位での説明をしています。)
このようにピラミッドの縦の関係が、
- どのように?
- 〜というように
で構成されるものがHowのピラミッドです。
ピラミッドストラクチャーの横の関係性を意識した作り方
ピラミッド構造の横の関係は、
- 演繹法(えんえきほう):一般論を使って出来事の結果を推測する
- 帰納法(きのうほう):複数の出来事とその結果から規則性を見つける
という2つのタイプに分けることができ、いずれも基本的にはボトムアップ型アプローチになります。
演繹法と帰納法はそれぞれ、
- 演繹法:一般論、出来事、仮説
- 演繹法の三段論法:大前提、小前提、結論
- 帰納法:出来事、仮説
で情報が構成されています。
この中でピラミッドの横の部分(土台、理由)を構成するのは、
- 一般論(大前提)
- 出来事(小前提)
の2つになります。「仮説(結論)」は「伝えたいこと」であり、伝える側の主張であるためです。

このようにそれぞれのピラミッドの各グループの横並びが、演繹法または帰納法の「一般論」や「出来事」に該当します。
また「伝えたいこと」のすぐ下に位置する各ピラミッドの頂点の段を、
- キーライン
と呼びます。

キーラインとは、「伝えたいこと」を直接的に支える情報であり、ピラミッド全体の中でも「伝えたいこと」の次に重要な情報です。
このキーラインを構成する各ピラミッド(上図では、理由、A、Bの塊)については、帰納法がわかりやすいとされています。
特にロジカルシンキングに慣れていないうちは、全てのピラミッドを帰納法で考えると綺麗にまとまりやすくなります。
ここからは、演繹法と帰納法のピラミッドについて、もう少し詳しく説明します。
- 一つの小さなピラミッドに演繹法と帰納法を混ぜない
ということです。
もしピラミッドの土台に演繹法と帰納法が混ざってしまうと、小さなピラミッドで伝えたいことがわかりにくくなってしまいます。
演繹法のピラミッドストラクチャー
演繹法(えんえきほう)のピラミッドは、
- 伝えたいこと:結論
- ピラミッドの土台:大前提、小前提
で構成されます。
厳密に言えば演繹法を発展させた「三段論法」であり、三段論法の結論以外の部分をピラミッドの土台として並べるようになります。

上記の例では、
- 結論:ABC工場を閉鎖するべきだ
という「伝えたいこと」に対して、
- 大前提:貢献利益がマイナスの工場は閉鎖を検討する
- 小前提:ABC工場の貢献利益がマイナスだ
という理由づけで結論づけた理由を伝えています。
これはその会社の一般論として、
- 貢献利益がマイナスの工場は閉鎖を検討する
という方針がすでにあり、実際に起きた出来事として、
- ABC工場の貢献利益がマイナス
という事実が結論の根拠となっています。
この「小前提(または出来事)」の部分は、大前提の内容に沿っていれば複数挙げることもできます。
帰納法のピラミッドストラクチャー
帰納法(きのうほう)のピラミッドは、
- 伝えたいこと:仮説
- ピラミッドの土台:複数の出来事
で構成されます。
複数の出来事から共通する考え方を抜き出し、仮説として組み立てる方法が帰納法のピラミッドです。

上記の例では、
- 仮説:同業他社の東南アジア進出が加速している
という「伝えたいこと」の根拠として、
- 競合A社が東南アジアに進出した
- 競合B社が東南アジアに進出した
などの複数の出来事をあげています。
この帰納法のピラミッドでは、先ほどの演繹法のピラミッドのように「大前提」や「一般論」を考える必要はありません。
目の前で起こっている事実や、観測することができた出来事をグループ化して、共通のパターンを発見することで仮説を立てることができます。
そのため、分析や調査結果をまとめて仮説を立てる時や、初めて挑戦する施策や一般論が確立されていない取り組みに対して、「気づき」を伝える場合に役立つ手法です。
ミントのピラミッド三原則
ここまで、ピラミッドをどのように組み立てるのかを説明しました。
ここからは、完成したピラミッドが上手くできているかをチェックする方法として、「ミントのピラミッド三原則」ご紹介します。
ミントのピラミッド三原則とは、
- メッセージはその下位グループ群を要約していること
- 各グループ内のメッセージは常に同じ種類のものであること
- 各グループ内のメッセージは常に論理的に順序づけられていること
の3つのルールのことです。
ピラミッド三原則では、各グループの縦と横のつながりを一つづずチェックします。ちなみにここでの「グループ」とは、ここまでの説明で「小さなピラミッド」と呼んでいた塊のことです。

このグループ(ピラミッドを構成するそれぞれの三角形)に対して、三原則がひとつずつ当てはまるか確認しましょう。
「メッセージはその下位グループ群を要約していること」というのは、ピラミッドの中の縦の構造のチェックになります。トップダウン型アプローチで作った「Why」や「How」のピラミッドであれば問題ないと思いますが、ボトムアップ型アプローチで作った「演繹法」や「帰納法」のピラミッド場合は「要約」になっていない可能性があります。上から下に分解しても下から上に要約しても不自然じゃないように、グループ内の要素を確認します。
「各グループ内のメッセージは常に同じ種類のものであること」というのは、ピラミッドの中の横の構造のチェックになります。先ほどとは逆にボトムアップ型アプローチの「演繹法」や「帰納法」のピラミッドでは共通の「前提」や同じような出来事・物事でまとまっているはずなので、問題ないと思います。しかしトップダウン型アプローチで作った「Why」や「How」のピラミッドは、あまり重要ではない情報も紛れ込むことが多々あります。不要なものや重要ではないものを取り除くことで、本当に伝えたいことが簡潔にすっきりと伝わるようになります。
「各グループ内のメッセージは常に論理的に順序づけられていること」というのは、こちらもピラミッドの中の横の構造のチェックです。「情報の順序:4タイプ」で説明した、
- 演繹の順序:演繹法、三段論法(大前提 → 小前提 → 結論)など
- 時間の順序:出来事が起きた順番など
- 比較の順序:重要な順番、大きさなど
- 構造の順序:北から南、東から西など
という順序に従っているか、確認をしてみてください。
ピラミッドストラクチャーとMECEの関係
MECE(ミーシー)とは、
- 個々に見て「ダブリ」がなく(Mutually Exclusive)
- 全体的に見て「モレ」がない(Collectively Exhaustive)
バーバラ・ミント著「新版 考える技術・書く技術 」第6章 p115 より引用
という意味の言葉です。
ピラミッドを構成する情報が「MECE(モレなくダブりなく)」になっていれば、情報に過不足がなくなり、伝えたい情報が相手により伝わりやすくなります。
例えば、会議の日程をトップダウン型のアプローチで伝えるとします。
もし「日時」と「場所」のどちらかの1つの情報が欠けていれば(モレていれば)、誰も会議に辿りつくことができなくなってしまいます。
また「開催日時」と「開催時間」というように、一部の情報が重複していれば(ダブりがあれば)、情報を受け取る側は読むのが面倒に感じるかもしれません。
このようにピラミッドの情報に「モレ」や「ダブり」があると、伝えたいことがスムーズに伝わらなくなる可能性があります。そのため「MECE(モレなくダブりなく)」を意識することが大切になります。
この「MECE(モレなくダブりなく)」でのグループ化については、
- 因果関係によるグループ化
- 類似性によるグループ化
- 構造によるグループ化
の3つがあり、さらに「構造によるグループ化」については、
- 二項対立
- 分割
- 尺度
- プロセス
- 因数分解
の5つのタイプに分けることができます。
ピラミッドストラクチャーとして情報をグループ化できたら、MECEの視点で最終チェックをすることで、情報をさらにわかりやすい状態に磨き上げることができます。
ピラミッドストラクチャーとロジックツリーの違い
ピラミッドストラクチャーと混同されやすいのが「ロジックツリー」です。
ロジックツリーとは、
- ピラミッドストラクチャーを応用して問題解決に特化させたもの
です。

構造はピラミッドストラクチャーほとんど同じですが、
- 横向きになっていること
- 問題解決のためだけに使われること
が大きな違いです。
おすすめの書籍
ここまでご紹介した内容は、ミント氏の著書「考える技術・書く技術」の内容をベースに、筆者がアレンジを加えています。
ロジカルシンキングの基礎についてより詳しく学びたい方には、こちらの書籍をおすすめします。
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また、この「新版 考える技術・書く技術」と併せて、入門書や練習問題をまとめた書籍も販売されています。
社会人として「情報を整理して伝える」という基本的な技術を身につけるために最適な本なので、ぜひ書店で見つけたら手にとってみてください。
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