ハーズバーグの二要因理論とは?具体例で論文をわかりやすく図解

動機付け要因と衛生要因の違い

動機付け要因(Motivator、モチベーター)は、仕事に対するポジティブな感情を引き出し、やる気を高める要因です。一方、衛生要因(Hygiene、ハイジーン)は、不満を防ぐための要因であり、これが整っていないと仕事に対するネガティブな感情が生まれます。

例えば、給与が低いと不満が募りますが、給与が高いからといって必ずしもやる気が出るわけではありません。逆に、興味深い仕事や挑戦的な課題があると、自然とやる気が湧いてくるのです。

このように、動機付け要因と衛生要因のバランスを取ることが、効果的なモチベーション管理の鍵となります。

動機付け要因:仕事の満足度を高める要素

ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因

動機付け要因(Motivator、モチベーター)は、仕事に対するやる気や満足感を高める要因です。主な動機付け要因には以下のようなものがあります。

  • 達成: 目標を達成したときに感じる満足感。プロジェクトの成功や難しい課題のクリアなどが該当します。
  • 達成の承認: 上司や同僚からの評価や表彰。自分の努力が認められることで、さらなるモチベーションにつながります。
  • 仕事そのもの: 興味深く、やりがいのある仕事。創造性や問題解決能力を発揮できる仕事は、日々の業務を楽しくします。
  • 責任: 仕事に対する責任を持つこと。自己成長の機会を提供し、達成感や満足感を得られます。
  • 成長と昇進: 新しいスキルを学んだり、キャリアアップのチャンスがあること。長期的なモチベーションの維持に役立ちます。

これらの要因は、私たちの内発的なモチベーションを高め、仕事への意欲を引き出す力を持っています。

衛生要因:仕事の不満を防ぐ要素

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因

衛生要因(Hygiene、ハイジーン)は、仕事に対する不満足感を引き起こす要因です。主な衛生要因には以下のようなものがあります。

  1. 企業方針と管理: 不明確または不公平な方針や管理方法は、従業員の不満を招きます。
  2. 監督: 上司の監督方法。過度な監視や不適切なフィードバックは、従業員のストレスを増加させます。
  3. 人間関係: 職場での上司や同僚との関係。良好な関係は職場の雰囲気を良くし、仕事の効率を上げます。
  4. 労働条件: オフィスの設備や作業環境。快適な環境は、仕事への意欲を維持するのに役立ちます。
  5. 給与: 適正な給与の支払い。不満足感を引き起こす大きな要因の一つです。
  6. 地位: 職場での役割や地位。明確な役割分担と評価が重要です。
  7. 保証: 雇用の安定性や福利厚生。将来の不安を軽減し、安心して働ける環境を作ります。

これらの要因がうまく管理されていないと、仕事に対する不満が募り、やる気を失ってしまいます。

二要因理論の論文の図について

ちなみに、ハーバード・ビジネス・レビュー誌(Sep-Oct 1987号)に投稿された論文には、以下のような図によって表現されています。(1959年論文にも同様の図が掲載されています。)

ハーズバーグの二要因理論のHBR誌に掲載された統計データ

図の右側に行くほど動機付け要因としての傾向が強く、左側に行くほど衛生要因としての傾向が強いということです。

次のページでは、従業員のモチベーションを高めるための「職務拡大(ジョブ・エンラージメント、Job Enlargement)」と「職務充実(ジョブ・エンリッチメント、Job Enrichment)」について説明します。

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