マズローの欲求段階説とは?階層ごとの意味と具体例を解説

マズローの欲求段階説とは、

  1. 生理的欲求
  2. 安全欲求
  3. 所属と愛の欲求(社会的欲求)
  4. 尊重欲求
  5. 自己実現欲求
  6. 自己超越欲求

の順で、人は欲求を満たしたいと考えるという、マズロー教授のモチベーション理論です。

マズローの欲求段階説

「マズローの欲求5段階説」と呼ばれますが、実際は5段階ではなく6段階あります。

マズローの欲求段階説とは?

マズロー教授は利己的な欲求の階層を「生理的(Physiological)」「安全(Safety)」「所属と愛(Belongingness and Love、社会的欲求)」「尊重(Esteem)」「自己実現(Self-actualization)」の5つの言葉で表現しました。

この5つを階層として、下から(生理的欲求から)順に満たしていくものと考えました。

例えば「会社勤め」に関する欲求であれば、

  • 生理的欲求:「昼食の時間が欲しい」「帰宅して睡眠をとりたい」
  • 安全欲求:「危険な業務は避けたい」「電車で安全に通勤したい」
  • 所属と愛の欲求:「飲み会に誘われたい」「社内サークルに参加したい」
  • 尊重欲求:「仕事で評価されたい」「上司に認められたい」
  • 自己実現欲求:「営業成績でトップをとりたい」「資格をとりたい」

という順番で、生理的欲求から順番に満たしたいと考えます。

さらに1971年には、自己を超えた利他的で精神的な欲求である「自己超越(Self-transcendence)」も加えました。

例えば「社会に貢献したい」「他人を助けたい」「世の中を平和にしたい」というような、他人に対して利益を与えるような欲求です。

このように、初期の5つの段階に自己超越欲求を加えて、6つの階層で構成された理論になっています。

マズローの欲求段階説の図

後のモチベーション理論の発展の礎となった理論で、アルダファーのERG理論もマズローの理論がベースになっています。

アルダファーのERG理論とは?マズローの欲求5段階説との違いを図解
補足

マズローの欲求段階(Maslow’s hierarchy of needs)とは、1943年に学術誌「サイコロジカル・レビュー」に掲載された「A Theory of Human Motivation(人間動機理論)」という論文の中で、心理学者のマズロー教授によって発表された理論です。

マズローの欲求段階説:利己的欲求

階層の下から4つの「生理的欲求」「安全欲求」「所属と愛の欲求(社会的欲求)」「尊重欲求」は、他者しか満たすことが出来ない欲求で、「欠乏欲求」と呼ばれます。

一方で「自己実現欲求」は、自分で満たすことができます。これらすべてをまとめて利己的欲求」、つまり自分の利益を中心に考える欲求と言われます。

生理的欲求(Physiological)

生理的欲求とは、食欲、性欲、睡眠欲など三大欲求に代表されるような、人間の生存に関わる原始的・本能的な欲求です。

例としては「腹が減ったから何か食べたい」などです。

安全欲求(Safety)

安全欲求とは、生命の危機を避けるための安全性を求め、安定した状況を確保するような欲求のことです。

例としては「路上で寝るのは嫌だから宿に泊まりたい」など。

物理的・肉体的な安全性については、アルダファーのERG理論の「存在欲求(Existence)」に相当し、対人的な安全性については「関係欲求(Relatedness)」に相当しています。

所属と愛の欲求(Belongingness and Love)

所属と愛の欲求は「社会的欲求」とも表現されます。集団や社会に所属し、他者によって愛情を満たすことを求める欲求です。

例としては「ひとりでは寂しいので社会人サークルに属したい」などです。

尊重欲求(Esteem)

尊重欲求は、「自尊欲求」や「評価欲求」などとも表現されます。他者から尊重されたり、敬意を表されたりすることを求める欲求と言えます。

例としては「仕事において自分の実力を認められることで尊敬されたい」などです。

対人的な尊重欲求は、アルダファーのERG理論の「関係欲求(Relatedness)」に相当し、自己成長に対する尊重欲求は「成長欲求(Growth)」に相当しています。

自己実現欲求(Self-actualization)

自己実現欲求とは、自分の持っている能力を最大限に発揮して、自分自身が理想とする状態になろうとする欲求のことです。そのため4つの欠乏欲求と違って、自己努力で満たすことが可能です。

また満たされることで、より一層欲求が強化される性質を持っています。

例としては「歌手になってたくさんの人に自分の曲を聴いて欲しい。」などです。

マズローの欲求段階説:自己超越欲求(Self-transcendence)

1971年にマズロー教授自身によって追加された、6段階目の欲求が「自己超越欲求」です。

自己超越欲求は利他的(他人のため)で、

  • 自分の利益を超えて他者のために何かを成したい

というような欲求です。

自己の領域の外にあるゴールを実現することで、自分自身を見つけることが出来ると考えられています。

マズロー教授自身が自己実現欲求について批評し、晩年に追加された高次概念として知られています。宗教学や哲学において共通点が多く見られる概念です。

経営戦略に現れる自己超越欲求

企業では経営者が抱く社会的使命感などが、6段階目の自己超越欲求に該当します。

大企業の経営者や創業者は、私財や経営資源を投じて社会貢献を行うことがあります。また、市場が全く存在していない発展途上国で、赤字のビジネスを何年も行うこともあります。

こういった行為は、従来の欲求5段階説では説明がつきません。しかし経営者の情熱や志によって、企業の戦略に組み込まれ、長期にわたって実行されます。

単純に利益だけでは測ることのできない意思決定も、戦略に含まれることがあるのです。

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