プラットフォーム型に転換する4つのシナリオ
ここからは、パイプライン型ビジネスをプラットフォーム型に転換するシナリオについて、マサチューセッツ工科大学(MIT)のハギウ客員准教授とマサチューセッツ大学のアルトマン助教授の論文「Finding the Platform in Your Product(2017) 」で示されている内容を参考にしながら解説します。
なお、前のページでご紹介した論文「Pipelines, Platforms, and the New Rules of Strategy(2016) 」と併せて、下記の書籍では日本語訳されたものも読むことができるので、興味のある方はぜひお手に取ってみてください。
プラットフォーム型への転換シナリオは、
- 他社に門戸を開く
- 顧客をつなぐ
- 製品をつないで顧客をつなぐ
- プラットフォーマーに製品・サービスを供給する
の4つです。
プラットフォーム転換シナリオ1:他社に門戸を開く
1つ目のシナリオは、他者に門戸を開くことです。
具体的には、
- 自社の顧客を他社に開放する
ということ。
前述の4つの役割で説明すると、
- 生産者:自社
- 消費者:自社の顧客
- 提供者:自社の店舗や販売網
- 所有者:自社
という状況から、
- 生産者:自社と他社
- 消費者:自社の顧客
- 提供者:自社の店舗や販売網
- 所有者:自社
に転換するということです。
論文に掲載されている例の1つとして、日本のコンビニの転換の例が挙げられています。日本のコンビニエンスストアは、パイプライン型ビジネスである小売業でしたが、
- インフラ事業者の窓口として水道光熱費の支払いができるようになる
- 宅配事業者の窓口として宅配物を預けたり受け取ったりできるようになる
- 銀行の窓口としてお金を預けたり引き出したりできるようになる
という形で、店舗をプラットフォーム化することに成功しました。
世界的に有名な例であれば、
- アマゾンが自社のネットショップに商品を掲載できるように販売業社に開放した(アマゾン・マーケットプレイス)
- グーグルが自社の検索エンジンの検索結果を広告枠として他社に開放した(グーグル・アドワーズ広告)
というシナリオも同様です。
このシナリオでは、
- 自社で満たせていないニーズを満たす
- 顧客との接触回数や接点が増加する
といった条件を満たすことが自社の事業の拡大に重要であるとされています。