ビジネスモデルとは?具体例で図解の変遷もわかりやすく解説

だいぞう

ビジネスモデルとは、

  • 利害関係者との相互作用で価値を創造するための一連の仕組み

のことです。

実は、学術的に定まった「ビジネスモデル」の定義は存在していません。

つまり、論文に書かれている定義も、教科書に書かれている定義もてんでバラバラということ。冒頭の定義も、私自身の理解を言葉で表したものです。

学術的なビジネスモデル研究が進んだのは2000年代に入ってからと歴史が浅く、且つ、研究テーマも多岐に渡るため、いまだに世界共通の定義というものが存在していないのです。

ビジネスモデルとは、利害関係者と価値を共創する仕組み

それでもあえて、代表的な定義を挙げるとするなら、ビジネスモデル研究の先駆者であり、長年の研究による実績を残しているゾット教授&アミット教授のコンビの定義になります。

2人の学術論文(Zott & Amit, 2010, 2017)では、ビジネスモデルは以下の事柄を説明するものとされています。

  • コンテンツ:価値を創造するために何(WHAT)の活動を行うか
  • ストラクチャー:それらの活動がどのように(HOW)繋がっているか
  • ガバナンス:それらの活動を利害関係者の誰(WHO)が行うのか

ビジネスモデルの構成要素:コンテンツ・ストラクチャー・ガバナンス

ビジネスにおける活動がコンテンツ、活動の組み合わせがストラクチャー、利害関係者の調整がガバナンスであり、これらが複合的に組み合わさることで価値が生まれます。

例えば、顧客に即日で製品を届けることが価値となるビジネスモデルでは、即日配送がコンテンツ、在庫管理活動と物流活動をシステムなどでつなぐのがストラクチャー、複数の物流業者と円滑な関係を維持することがガバナンス、ということです。

ここでのポイントは、

  • 価値を創造する活動に焦点を置く
  • 活動は自社だけでなく顧客や取引先などの利害関係者も行う
  • 理念や戦略を踏まえた全体最適が求められる

ということ。

ビジネスモデルの中心は、顧客や取引先などと共に生み出す価値にあります。企業がどのように儲けるかといった「収益モデル(「ジレットの替刃モデル」「フリーミアム」「サブスクリプションモデル」など多数)」が注目されがちですが、収益構造はあくまで価値創造の活動を継続するための1つの手段でしかありません。

ビジネスモデルの定義を日本人的な感覚で表現すれば、いわゆる近江商人の「三方良し(売り手にも買い手にも世間にも良い)」を実現する活動の仕組みとも言い換えることができます。

ビジネスモデルと似ているけどちょっと違う概念

ちなみに「ビジネスモデル」で検索をすると、「誰に(WHO)何を(WHAT)どうやって(HOW)提供するか」みたいに説明されていることがあるのですが、それはビジネスモデルではなく「事業ドメイン」の定義です。

こちらは「WHO:誰に=どの顧客に」「WHAT:何を=どんな商品を」「HOW:どうやって=どんな方法で」提供するかという定義で、前述のビジネスモデルの要素と意味合いが違うことがわかります。

さらにこの事業ドメインの定義に「価値を提供し、利益を得るための仕組み」と付け加えたとしても、マーケティングの説明の域から出ることはありません。

  • 価値を提供する:マーケティングのProduct(商品)Promotion(広告宣伝)
  • 利益を得る:マーケティングのPrice(価格)Place(流通)

いずれにせよ、ゾット&アミット教授が示したようなビジネスモデル特有の概念を、説明することができないのです。

なぜ間違った定義が広まっているの?
ビジネスモデルという言葉が流行り始めた2000年前後は、研究の歴史も浅く、上記のような既知の概念の組み合わせでビジネスモデルを説明することがほとんどでした。しかも、その頃に作られた教科書は、いまだに内容がアップデートされていないものも少なくありません。さらに、中小企業診断士などの専門家もそのような古い情報で勉強するので、多くの解説が2000年代の古い知識のままなのです。

ビジネスモデルと関連するキーワード

…ということで、今回は「ビジネスモデル」とその研究について更に掘り下げて、わかりやすく説明したいと思います。

以降のページでは、

  • IESEビジネススクール のクリストフ・ゾット教授及びロレンソ・マッサ教授と、ペンシルバニア大学ウォートンスクール のラファエル・アミット教授による、ビジネスモデルに関する133本の学術論文及び103本のビジネス書籍をメタアナリシス(分析結果を分析)した論文「The Business Model: Recent Developments and Future Research(2011)」の解説
  • ビジネスモデルを図解しようとする取り組みについて、石井教授らの「Customer Value Chain Analysis(CVCA:顧客価値連鎖分析)」、CVCA(顧客価値連鎖分析)の派生系として板橋氏の「ピクト図解®︎」および近藤氏の「ビジネスモデル図解」、公的な事業計画書ではお馴染みの「ビジネスモデル俯瞰図(商流俯瞰図)」の解説
  • アレクサンダー・オスターワルダー教授らによる論文「An Ontology For E-Business Models(2004)」と「Clarifying Business Models: Origins, Present, and Future of the Concept(2005)」がベースとなっている「ビジネスモデル・キャンバス 」で紹介された9つのビジネスモデル構築ブロック「CS:顧客セグメント」「VP:価値提案」「CH:チャネル」「CR:顧客との関係」「RS:収益の流れ」「KR:リソース」「KA:主要活動」「KP:パートナー」「CS:コスト構造」についての解説
  • ハーバード大学ビジネススクールのクリステンセン教授(著書「イノベーションのジレンマ」 で有名)ら3名による論文「Reinventing Your Business Model(2008)」で紹介されたビジネスモデルを構成する4要素「顧客価値提案」「利益方程式」「主要な経営資源」「主要なプロセス」の解説
  • ゾット教授&アミット教授コンビによる論文「Value Creation In E-business(2001)」「Business Model Design: An Activity System
    Perspective(2010)」「Business Model Innovation: How to Create Value in a Digital World(2017)」より、4つのバリュードライバー(価値牽引要素)「新規性」「ロックイン」「補完性」「効率性」の解説

といったビジネスモデルに関連する概念やキーワードについて説明します。

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