パイプライン型とプラットフォーム型ビジネスモデルの違い:具体例と転換の4つのシナリオ

プラットフォーム転換シナリオ2:顧客をつなぐ

2つ目のシナリオは、

  • 顧客同士の接点を作る

ことです。

前述の4つの役割で説明すると、

  • 生産者:自社の顧客A
  • 消費者:自社の顧客B
  • 提供者:マッチングさせる仕組み
  • 所有者:自社

という形で、顧客を生産者と消費者に分けて、新たにプラットフォームを作るということです。

これは自社のパイプライン型ビジネスの顧客の増加が、プラットフォームの生産者と消費者の増加につながることで相乗効果を生みます。

具体例としては、日本ではクラウド会計ソフトの「freee(フリー)」や「MoneyFoward(マネーフォワード)」が行なっている、

  • 事業者に対する税理士紹介サービス

が挙げられます。

中小の事業者も税理士も、パイプライン型ビジネスのクラウド会計ソフトを利用する顧客ですが、

  • 生産者:税理士
  • 消費者:中小事業者
  • 提供者:税理士検索・紹介サービス
  • 所有者:自社

という形でプラットフォームを構築しています。

中小事業者の顧客はクラウド会計ソフトに強い税理士を探すことができ、税理士も登録することで新規顧客を獲得する機会を得ることができます。

このシナリオの注意点としては、

  • 生産者に対する不満が既存事業に悪影響を与える可能性がある
  • 生産者の提供価値が既存事業の売り上げを奪う可能性がある

などが挙げられます。そのため、プラットフォーム上で行われる取引の品質を担保する仕組みを取り入れることや、自社の売上を奪わないサービス設計を心がける必要があります。

プラットフォーム転換シナリオ3:製品をつないで顧客をつなぐ

3つ目のシナリオは、

  • 異なる製品やサービスを利用する顧客の接点を作る

ことです。

このシナリオでは、

  • 顧客が自社の外で接点を持っている

ということが前提条件になります。

これは、複数の異なるビジネスを展開する事業者に適したシナリオです。

具体例を挙げると、

  • マイクロソフトやアップルのソフトウェア販売プラットフォーム

などがあります。

マイクロソフトやアップルはパソコンのOS(オペレーティングシステム、基本ソフト)を提供しており、そのOS上で作動するソフトウェアを開発する仕組みを開発者向けに提供しています。

ソフトウェア開発者は開発したソフトウェアを、小売店やオンラインショップを通じて消費者に直接販売していました。

つまり、

  • ソフトウェア開発者と消費者は同じOSを使っている
  • ソフトウェア開発者と消費者は自社の外で取引を行なっている

ということで、シナリオの条件を満たしています。

そのため、OSを提供する事業者は、

  • ソフトウェア販売プラットフォーム

を自社で運営することで、自社のビジネスにプラットフォーム型ビジネスを加えることが可能になります。

1 2 3 4 5 6