MECEになっていない例
ここまではうまくMECEになっている例をご紹介しましたが、そうではない失敗してしまった例もご紹介します。
まずは顧客をMECEして失敗した例です。
- 顧客
- 学生
- 会社員
- 専業主婦(専業主夫)
このMECEは「類似性によるグループ化」が該当します。
しかし、
- 顧客全員がいずれかに分類できるならモレがない
- 複数の分類を同時に満たす顧客がいるのでダブりがある
ことになります。
例えば、
- 平日の夜に専門学校に通っている主婦
が存在していれば「学生」と「主婦」がダブってしまいます。
他にも「週末だけ大学に通う会社員」など、分類が重複してしまう組み合わせが存在しています。
この分け方を、ダブりの無いちゃんとしたMECEに直すには、すべての組み合わせを確認するしかありません。
- 学生で専業主婦(専業主夫):存在する
- 学生で会社員:存在する
- 会社員で専業主婦(専業主夫):存在しない
ということで、「会社員」「専業主婦(専業主夫)」はダブらないので残しても良いことがわかりました。
でも、今度は「会社員」でも「専業主婦(専業主夫)」でもない「学生」としか呼びようのない顧客の分類に困ります。
そういった時には、
- 残りの顧客を「その他の顧客」という分類にまとめてしまう
- 特徴に追加の条件を付ける
- 「類似性によるグループ化」をあきらめる
の、どれかを選ぶことになります。
もし「学生」という分類が、その会社のビジネスにおいてあまり重要でなければ、
- 残りの顧客を「その他の顧客」という分類にまとめてしまう
という方法はありだと思います。ちょっと雑ですが、一番簡単な対処法です。
しかしそうやって残りを一括りにできない場合には、「特徴に追加の条件を付ける」というのも有効です。
先ほどの例では、会社員や専業主婦していても、それ以外の時間を学生として過ごせる場合があるため、ダブりが生じていました。つまり「時間」がダブりの原因になっているということになります。
そうだとすれば「時間」の追加条件をつければ、ダブりが解消する可能性があります。
例えば、
- フルタイムの学生
- フルタイムの会社員
- 専業主婦(専業主夫)
という分け方ならMECEになるかもしれません。
「フルタイム」というのは、一般的に1日8時間、週40時間を何かに費やしている場合を指します。「パートタイム」の対になる表現でもあります。
つまり「フルタイムの学生」は、夜間の学生でもなく、通信の学生でもなく、週末通学の学生でもなく、基本的に週に5日、朝から夕方まで授業を受けている学生です。
そういった学生は、同じ時間帯に「フルタイムの会社員」になることは無理ですし、主婦(主夫)として朝から晩まで家事をすることもできないはずです。
このように、追加の条件を設定することでダブりが解消される可能性があります。
それでもダブりが解決できなければ…、別の切り口でMECEを考えることになります。
MECEの読み方と英語の意味
「MECE」の読み方・発音を調べてみたところ、
- ミント氏著書(日本語訳)では「メシー」
- 英語版ウィキペディアでは「ミース」
- 英語圏で一般的なのは「ミーシー」
- 日本でも「ミーシー」が多数派(な印象)
- 日本では「ミッシー」と呼ぶ人もいる
ということで「ミーシー」と発音するのが無難かもしれません。
英語の意味ですが、
- Mutually:互いに
- Exclusive:受け入れない
- Collectively:まとめると
- Exhaustive:完全
ということで正確には、
- ダブりなく(互いに受け入れない)
- モレなく(まとめると完全)
で、日本語と順番が逆になります。
おすすめの書籍
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