演繹法と帰納法の違いとは?図解と具体例でわかりやすく解説

演繹法と帰納法

4つの推論の注意点

今回は、

  • 演繹法:一般論を使って出来事の結果を推測する
  • 帰納法:複数の出来事とその結果から規則性を見つける
  • アナロジー:別の似ている事例から結果を推測する
  • アブダクション:結果と一般論から起こった出来事を推測する

という4タイプの推論をご紹介しました。

これらの推論は、上手く使えば精度の高い推測をすることができます。その一方で、洞察力に欠けていたり、一般論の選び方を間違うと、役に立たない精度の低い推測になってしまうこともあります。

一般論を使う「演繹法」「アナロジー」「アブダクション」の注意点としては、

  • 最初に思いついた一般論に固執しすぎない
  • 常識と思っていた一般論も覆されることがある
  • 一般論が変われば仮説も大きく変わってしまう

などです。

特に「一般論」が「業界の常識」のような凝り固まったものである場合は、他社の常識破りの戦略に足元をすくわれてしまうかもしれません。そのため、根拠となる一般論を考える時には、より広い視野を持った上で根拠を選ぶ必要があります。

また「帰納法」の注意点としては、

  • 新しい事例で仮説が簡単に書き換わってしまう

ことです。

帰納法の考え方では、これまでに起こったことや、自分で観察している範囲でしか仮説を立てることができません。そのため、新しい情報や新しい視点には非常に弱い推論です。

このような帰納的な考え方の弱点を補うためには、別の事例に共通点を探す「アナロジー」などが役に立つかもしれません。自分の業界で前例がなくても、別の業界で前例が作られている可能性があります。

ここまでご紹介した4タイプの推論は、それぞれに上記で挙げたような注意点が存在しています。ビジネスシーンではそれぞれの特徴を理解した上で、複数を組み合わせて使うことで、より精度の高い推論ができるようになります。

演繹法と帰納法のまとめ

以下は、ここまで説明した内容を簡単にまとめたものです。

演繹法を一言で説明すると…

一般論を使って出来事を想像するのが演繹法です。

例えば「太陽は東から昇る」という一般的な知識から、「東の空が明るいからもうすぐ陽が登るだろう」と想像するのが演繹法の考え方です。

帰納法を一言で説明すると…

出来事のパターンから一般論を見つけるのが帰納法です。

例えば、毎朝太陽が東の方角から登っているというパターンから、「太陽は東から昇る」と結論づけるのが帰納法の考え方です。

アナロジーを一言で説明すると…

似ている別の出来事から結果を想像するのがアナロジーです。

例えば「太陽は東から昇る」という知識から、「空を横切る」という共通点を持つ「月」も「東から昇るだろう」と想像するのがアナロジーの考え方です。

アブダクションを一言で説明すると…

起こった結果と一般論からその前の出来事を推測するのがアブダクションです。

例えば「つい先ほど太陽が昇ったばかり」という事実と「太陽が出ていない時間は暗い」という知識から、「数時間前はまだ暗かっただろう」と推測するのがアブダクションの考え方です。

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