ビジネスモデル研究の4つの共通点
数々のビジネスモデル研究は全てバラバラだったかというと、実はそんなことはありません。
ゾット教授らはビジネスモデル研究における共通点を4つ発見しました。(Zott, Amit & Massa 2011)
- 要素の相互作用(橋渡し)を表現する新しい分析単位
- どのようにビジネスを行うかの全体論である
- ステークホルダーによる活動を明らかにしている
- 価値提案および価値の創造に焦点を置く
ビジネスモデルとは新たな分析単位である
これまでも、経営学では色々な単位で分析がなされてきました。
経営学でよくある分析単位としては、
- 産業
- 市場
- サプライチェーン
- 企業
- 事業
- 店舗
- チーム
- 個人
などがあります。
ゾット教授らの分析では、これらのような分析単位の一つとして「ビジネスモデル」を捉えているという共通点が明らかになりました。
ビジネスモデルは、中心となる企業だけでなく、取引先や顧客も全体を構成する要素となります。そして、企業と取引先を橋渡ししている仕組みもビジネスモデルの一部です。
逆に言えば、中心となっている企業だけしか分析しない場合は、ビジネスモデルを分析しているとは言い難いということになります。
ビジネスモデルはどのようにビジネスを行うかの全体論
前述のように、ビジネスモデルは1つの企業だけでなく、様々な利害関係者が相互に繋がっている状態を1つの分析単位としています。
そのため、特定の会社が儲かるかどうかという分析ではなく、ビジネスモデルの全体を体系化し、ビジネスとしてどのように仕組みが機能しているのかを知る必要があります。
ビジネスモデルには利害関係者との活動が含まれる
ビジネスモデルは、様々な利害関係者を内包していますが、それぞれが単純に繋がっているだけではありません。それぞれは、何かしらの活動を行い価値を生み出します。
そのような活動のことを「プロセス」と呼んだり、「アクティビティ」と呼んだりします。利害関係者同士がどのような活動をしているかを理解することが、ビジネスモデルの理解につながります。
ビジネスモデルは価値提案と創造に焦点を置く
ビジネスモデルの研究で必ず語られるものは、そのビジネスモデルが顧客に対してどのような価値提案(バリュー・プロポジション)を行い、その価値をどのように創造しているかという点です。
事業活動では、顧客に対して価値提案を行い、商品やサービスなどを通して価値の提供を行います。それらの価値は、顧客を含んだ利害関係者との活動(プロセスやアクティビティ)を通して生み出されます。