採用難易度で調整される手数料
前のページでは、内部資源であるキャリアアドバイザーの作用について説明しました。しかし、内部だけでなく外部環境における「採用の難易度」の影響についてもビジネスモデルで考慮する必要があります。
ご存知のとおり、求人を出せば欲しい人材がいつでも確保できる、というわけではありません。人が集まりやすい求人もあれば、なかなか採用できない求人もあります。
求人企業の採用の難易度が上がる要因としては、
- 希少な人材を募集している(労働市場の流動性が低い)
- 提示している給与が低い
といったことが考えられます。
採用の難易度が高ければ、採用件数も少なくなります。その結果、転職エージェントの売上が減るかといえばそうでもなく、手数料単価によって調整されます。
これを表したのが以下の図。
上の図では、
- 採用の難易度が上がるほど、採用件数は減り、手数料による売上も減る
- 採用の難易度が上がるほど、手数料単価は上がり、手数料による売上が減る
という2つの効果が現れることを示しています。
例えば、医療従事者やIT技術者などの引く手数多な職種を募集する場合は、
- 転職エージェントは成功報酬の料率を引き上げる
- 求人会社は競合に負けないように年収を引き上げる
ということが起こり、その結果、転職エージェントの手数料による売上は増加します。(ただし、件数は減るので均衡します。)これは、転職する人が少ない(=労働市場の流動性が低い)業界でも同様です。
しかし、手数料が高いということは、求人企業のコストが嵩み、利用体験が低下するということにもなります。しかし、実際はそこまで利用体験が低下することはありません。
単価調整は需給の一致で相殺される
採用の難易度が高く、採用にかかるコスト(=手数料による売上)が高くなったとしても、難易度が高いほど採用できた時には嬉しいものです。
これを表したのが以下の図。
採用コスト(=手数料による売上)の上昇は、求人企業の利用体験にとってマイナスですが、難易度が高いほど採用できた時の求人企業の利用体験は良いものになります。
結果、需要と供給が一致することによって、利用体験の良さと悪さが相殺されるのです。
もちろん、求人企業側は「人が集まりにくい時に足元を見やがって…」とグチグチ言ったりもしますけど。それが市場の原理ですし、背に腹は変えられないですよね。