演繹法(えんえきほう):一般論を使って推測する
ここからはもう少し踏み込んで、複数の具体例をふまえて解説していきたいと思います。繰り返しの説明になっている箇所もあるので、軽く読み飛ばしつつ読み進めてください。
演繹法とは、
- 一般論を使って出来事の結果を推測する
思考法です。
英語では「Deductive Reasoning(ディダクティブ・リーズニング)」「Deductive Logic(ディダクティブ・ロジック)」「Logical Deduction(ロジカル・ディダクション)」などと呼ばれます。
図で表すと、下記のようになります。
演繹法では、
- AならばB
ということがわかっている時に、「A」が起これば「B」になることが予測できます。
まず簡単な例を挙げてみましょう。
あなたは「プロ野球チームの球団Aが負けた日の翌日は上司の機嫌が悪い」という「一般論」を知っていたとします。
これは上司自身も飲みの席で公言している内容であり、部署内の誰もが知っている一般常識に近い理論です。
そしてある日の晩、球団Aが試合に負けました。
あなたは、
- 一般論:球団Aが負けた日の翌日は上司の機嫌が悪い
- 出来事:球団Aが試合に負けた
- 仮説:明日は上司の機嫌が悪いかもしれない
と考えます。これが演繹法(えんえきほう)を使った典型的な考え方です。
もう一つビジネスでの具体例を挙げます。
もし、
- 一般論:自社店舗の近くに競合が出店すると売上が減る
- 出来事:自社店舗の近くに競合が出店した
となった場合、あなたはどのような仮説を立てるでしょうか?
この場合は、
- 仮説:自社店舗の売上が減るかもしれない
という仮説になると思います。
こういった仮説や予測は、日々のビジネスの場面でよく見かけると思います。
社内プレゼンテーションの場で「エビデンスは?(根拠は?)」などと聞かれそうな時には、過去の統計データなどを使って演繹法で説明すれば説得力が上がります。
三段論法
演繹法を発展させた手法に「三段論法」というものがあります。
三段論法は、
- 大前提
- 小前提
- 結論
で構成されています。
これは演繹法だと、
- 一般論 = 大前提
- 出来事 = 小前提
- 仮説 = 結論
にそれぞれが相当します。
例えばあなたが、社内報告で「円安の影響で原料のコストが上がっている」ことを伝えたいとします。
これを三段論法に当てはめると、
- 大前提:円安になると原料を輸入するコストが上がる
- 小前提:現在の為替は円安方向に振れている
- 結論:原料の調達コストが上がるだろう
となります。
このように、
- 「大前提」でお互いの前提条件や事前の知識をそろえる
- 「小前提」で出来事をシンプルに説明する
- 「結論」で相手に伝えたいことを簡潔に述べる
という手順を踏めば、ビジネスシーンで物事をすっきりとわかりやすく伝えることができます。
ロジカルシンキングについては、以下の記事も参考にしてください。