採用時の手数料で稼ぐ収益モデル
まずは転職エージェントの収益モデルとその仕組みを説明します。
転職エージェントの顧客は、
- 求人企業
- 転職希望者
の2者であり、間接的ネットワーク効果を利用した両面市場のプラットフォーマーです。
この間接的ネットワークを図で表すと以下のとおり。
Aを「求人企業(求人情報)」、Bを「転職希望者」とすると、
- 求人企業(求人情報)が増えるほど、転職希望者は喜ぶ
- 転職希望者が増えるほど、求人企業は喜ぶ
という関係性になります。そして、この関係を取り持つのが転職エージェントであり、そこに所属するキャリアアドバイザーの役割になります。
しかし、転職エージェントは、両者から手数料を受け取るわけではありません。受け取るのは「求人企業」からだけ。
そしてその手数料は、
- 成功報酬型の紹介手数料
が一般的です。この紹介手数料は、求人企業からの採用が成立した時のみ発生するため、求人企業にとってはリスクがありません。
ということで、ここまでの流れを図にしてみます。
上図では、
- 新規法人顧客数が増えるほど、求人情報登録数が増える
- 広告宣伝活動をするほど、転職希望者登録数が増える
- 求人情報登録数と転職希望者登録数が増えれば、採用件数が増える
- 採用件数が増えれば、手数料による売上が増える
という流れを表しています。
なお、手数料の相場としては、届出制手数料による年収の30〜35%あたりが多いようです。つまり、理論年収(=月収+手当+賞与等)500万円の人材の雇用契約が成立すれば、175万円(35%)の紹介手数料が売り上げとして入ってくることになります。
ちなみに、手数料は厚生労働省令に基づく上限手数料である6ヶ月の賃金の10.8%、または事業者が自由に設定して届出をする届出制手数料の2種類があります。しかしほとんどの転職エージェントは上記の相場による届出制手数料になっています。
キャリアアドバイザーは求人企業に寄り添う傾向
求人企業と求職者をマッチングさせて得た資金がどこに行くかというと、まずはキャリアアドバイザーの採用と育成です。
キャリアアドバイザーは、求人企業や求職者に対して、ヒアリングやカウセリングという形でコミュニケーションをとることで、双方のニーズを拾い上げます。
しかし、どちらかというと求人企業側のニーズを拾うことを優先します。
なぜなら、
- 企業側から報酬をもらう
- 企業側とは長期的な繰り返しの取引になる
から。
アドバイザーとしては、企業から気持ちよくお金を出してもらわなければならないですし、一度きりではなく、長期にわたって贔屓にしてもらえる方が良いですよね。
なので、求人企業に対する価値提供の方が優先されます。
上図では、
- 求人企業へのヒアリング時間を割くほど、採用人材の定着率が高まりやすく、求人企業に対するニーズ対応力も高まる
ことを表しています。
結果、求人企業の利用体験が良ければ、継続顧客数の増加へとつながるのです。
…と、ここまではよくありがちなビジネスモデル図解の内容です。しかし次のページからは、あまり図解されない内容について解説していきます。