MECEの7つの切り口:因数分解・因果関係・類似性・二項対立・分割・尺度・プロセス

MECEの切り口

尺度によるMECEの切り口

尺度の切り口では、

  • 直線上に並んでいるものを任意の点で区切る

ことで、MECEを実現することができます。

MECEの尺度

この尺度の切り口は、先ほどの「分割」という切り口の直線バージョンと考えると、イメージしやすいかもしれません。主に数字を使って尺度を表しているものに使いやすい方法です。

例えば、

  • 年数
  • 金額
  • 距離
  • 回数
  • パーセンテージ

などで、このMECEがよく使われます。

この尺度の切り口は、

  • 区切ったものを全て挙げればモレがない
  • 基準になる点の前後で要素が分かれるためダブらない

ことになります。

コンビニを例として「最寄り駅からの距離」を尺度の切り口でMECEすると、

  • 駅改札内、駅構内、500m未満、500m以上1km未満、1km以上3km未満、3km以上

のような分け方が考えられます。

また「来店客の年齢層」でMECEすれば、

  • 10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代以上

のようになるかもしれません。

ここで少し気になるのが、

  • 区切りは等間隔である必要があるのか?
  • 必ず全てを含めなければならないのか?

という点です。

まず「区切りは等間隔である必要があるのか?」という疑問に対しては、「必ずしも等間隔である必要がない」というのが答えです。

これは等間隔で区切ることに意味がある場合と、意味がない場合が存在しているためです。

等間隔で区切ることに意味があるのは、

  • 区切りごとに中身を集計して比較する

ことが必要な場合などです。

先ほどの例の「来店客の年齢層」であれば、等間隔に区切ることで、それぞれの年齢層の来店客数を数値で比較することができます。

一方、等間隔で区切ることに意味がないのは、

  • ビジネス上で意味のある区切りが存在している

場合などです。

例えば先ほどの例の「最寄り駅からの距離」については、仮に「500m以上1km未満」の店舗を同じグループとして扱う方が、ビジネス上の意思決定がしやすいと判断すれば、等間隔で区切る必要がありません。

いずれせよMECEを行う目的は、あくまで情報を整理して伝えやすくするためです。等間隔に区切ることで逆に伝わりにくくなるのであれば、それは避けなければなりません。

次に「必ず全てを含めなければならないのか?」という疑問ですが、こちらも「必ずしも含める必要はない」というのが答えです。

先ほどの「来店客の年齢層」では「10歳未満」の客層は存在していません。

これは一見「モレ」が生じているようにも見えますが、本当に「モレ」なのかどうかは、ビジネス上の意味で考えます。

もし仮にそのコンビニが、ファミリー層を攻略するために「10歳未満」の顧客の行動も重視する必要があれば、モレになります。

逆に、そのコンビニの主要顧客の年齢が高めで、「10歳未満」の顧客が滅多に来店しないのであれば、わざわざ区分けとして分類する必要がないかもしれません。

このように「なんのためにMECEをしようとしているか」を考えることで、抜け漏れに対する考え方も変わってきます。

補足

尺度の切り口では「以下」と「未満」の使い分けに注意してください。

  • 以上・以下:その数字を含む
  • 未満:その数字を含まない

ということなので、

  • 100個以下:0〜100個
  • 100個未満:0〜99個

になります。

例えば、0〜299個まで分布しているものを尺度で切り分けると、

  • 0個以上99個以下、100個以上199個以下、200個以上
  • 0個以上100個未満、100個以上200個未満、200個以上

が同じ切り方になります。

プロセスによるMECEの切り口

プロセスの切り口では、

  • 物事が起きる一連の流れを見つける

ことで、MECEを実現することができます。

MECEのプロセス

このプロセスによるMECEの切り口は、先ほどの尺度のように直線的に並んでいるものを区切っていますが、その「区切り」が最初から存在している場合になります。また直線だけでなく、循環して戻ってくるような流れも含んでいます。

例えば、

  • 直線的なプロセス(開始:A → B → C → D:完了)
  • 循環的なプロセス(A → B → C → D → Aに戻る)

というような一連の流れです。

このプロセスの切り口は、

  • 工程を全て挙げることができればモレがない
  • 同時に2つの工程を通ることがなければダブらない

ことになります。

コンビニであれば、様々な作業手順がプロセスとして存在していますよね。

作業をプロセスごとにMECEで分ければ、各手順ごとに作業ミスが起こった場合の対処法をまとめることもできますし、過去のトラブルなどをわかりやすくまとめることができるかもしれません。

また、1つの作業と考えていたものを細い手順として分解すれば、それが「小さなプロセス」として認識できるようになります。そうすれば新しいスタッフを教育する場合に役立つかもしれません。

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