MECEの7つの切り口:因数分解・因果関係・類似性・二項対立・分割・尺度・プロセス

MECEの切り口

因数分解によるMECEの切り口

因数分解によるMECEは、

  • 出来事を掛け算の数式に変換する

ことで、MECEを実現することができます。

MECEの因数分解

因数分解とは、数学的には「足し算や引き算で表現された式を掛け算に直す」ことを指します。

ビジネスではその意味が転じて「ある物事を説明するために必要な要素を列挙する」場合に「因数分解する」という表現を使います。

この因数分解の切り口は、

  • 全てを掛けたものが全体になるためモレがない
  • 同じものを2回掛けない限りはダブらない

ことになります。

コンビニを例として「売上」を因数分解の切り口でMECEすると、

  • 売上 = 客数 × 客単価 × 来店頻度

というように表現できます。

「もっと売上をあげたい」という時に、単純に「売上」をそのままの状態で考えるのではなく、

  • 客数
  • 客単価
  • 来店頻度

の3つに分解して考えることで、対策をより具体的に考えることができます。

さらに「客数」を掘り下げる場合には、

  • 客数 = 立地 × 天候 × 曜日

などとも表現できるかもしれません。

もちろんこのような式は、すべてを数値で表わせないので厳密には正しい数式ではありません。しかし、ビジネスで起こる出来事を、納得できる形で説明できていれば情報は伝わります。

MECEの切り口まとめ

ここまでの内容をまとめると、MECEの代表的なパターンとして、

  1. 因果関係:同じ結果をもたらす複数の原因を探す
  2. 類似性:共通の特徴を見つけてグループ化する
  3. 二項対立:互いに反する概念で2つに分ける
  4. 分割:全体を境界線で3つ以上に分割する
  5. 尺度:直線上に並んでいるものを任意の点で区切る
  6. プロセス:物事が起きる一連の流れを見つける
  7. 因数分解:出来事を掛け算の数式に変換する

の7つがあることがわかりました。

シンプルな事柄であれば、上記の7つのパターンのどれかにピッタリはまるものが見つかりやすいかもしれません。

しかし物事が複雑になってくると、1つのパターンに綺麗にはまるというのも少なくなります。そんな時には、より小さな出来事に分解して、それぞれに対して別々のMECEの切り口を考えてみましょう。

そして常に忘れてはいけないのは、

  • 情報を整理して相手に伝わりやすくする

ためにMECEの切り口で考えている、という事です。

もしモレやダブりを無くすために、情報がちゃんと伝わらなくなってしまうなら本末転倒です。

むしろ言いたいことがちゃんと伝われば、多少のモレやダブりは問題になりません。このことを頭の隅に置きながら、MECEの7つの切り口を活用してみてください。

別の記事で、今回の7つの切り口が当てはまる経営フレームワークについてもまとめています。こちらも是非ご覧ください。

因果関係によるMECEとは?

因果関係を使ったMECEとは、

  • 共通の結果をもたらす複数の原因

によって構成されたMECEのことです。

例えば、「店舗の人手不足」という結果に対して、「近隣人口の減少」「競合他社の出店」「バイト時給の競争力低下」といった異なる出来事が原因として挙げられる場合などが該当します。

類似性によるMECEとは?

類似性を使ったMECEとは、

  • 共通の特徴によるグループ化

で構成されたMECEのことです。

例えば「カゴに入っている農作物」を、「果物と野菜に分ける」「色で分ける」「形状で分ける」といった共通する特徴でいくつかのグループに分ける場合などが該当します。

二項対立のMECEとは?

二項対立のMECEとは、

  • 互いに反する2つの概念

で構成されたMECEのことです。

例えば「顧客」を「新規顧客(初めての客)」と「リピート客(初めてじゃない客)」に分けたり、「ブランドに好意的な顧客」と「ブランドに好意的ではない顧客」に分ける場合などが該当します。

分割によるMECEとは?

分割によるMECEとは、

  • 全体を境界線で3つ以上に分割された要素

によって構成されたMECEのことです。

例えば、「日本」を都道府県で分割したり、「事務所」を「来客対応スペース」「執務エリア」「交流ラウンジ」などのエリアで分割したりする場合などが該当します。

尺度を使ったMECEとは?

尺度を使ったMECEとは、

  • 任意の点で区切られた直線状の要素

によって構成されたMECEのことです。

例えば「金額」によって「5000円未満、5000円以上1万円未満、1万円以上」と区切る場合や、「来店回数」によって「1回だけ、2回、3回以上」と区切る場合などが該当します。

プロセスによるMECEとは?

プロセスによるMECEとは、

  • プロセスを構成する一連の出来事

で形作られたMECEのことです。

例えば「作業手順」をステップごとに分割したり、何度も繰り返す「サイクル」をサイクルの状態ごとに分割する場合などが該当します。

因数分解によるMECEとは?

因数分解によるMECEとは、

  • 出来事を掛け算で分解した場合の要素

で構成されたMECEのことです。

例えば「売上」を「客数 × 客単価 × 来店頻度」に分解する場合などが該当します。

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