疑似相関
疑似相関(ぎじそうかん)とは、
- 別の出来事が複数の出来事に影響を与える
という相関関係です。
図で表すと、下記のような関係になります。
この「疑似相関」のパターンは、2番目に紹介した「間接原因」の相関関係に似ていますが、違いは別の出来事が相関している出来事の「原因」になっていることです。
つまり、
- 出来事X(原因)と出来事A(結果)に因果関係がある
- 出来事X(原因)と出来事B(結果)に因果関係がある
- 出来事Aと出来事Bには相関関係がある
ような状態です。
例えばあるお店で、
- アイスクリームの販売量
- ビールの販売量
の2つの要素に「相関関係」が見つかったとします。
しかし「アイスクリームを食べたらビールを飲みたくなる人」や「ビールを飲んだらアイスクリームを食べたくなる人」がたくさんいる、と考えるのは少し難しいかもしれません。
これは2つの要素に「因果関係」があるわけではなく、
- 気温
という別の要素が存在しているからです。
この「気温」を直接的な「原因」として考えると、
- 気温が上がるとアイスクリームが売れる(気温が下がると売れない)
- 気温が上がるとビールが売れる(気温が下がると売れない)
という2つの「因果関係」が成立します。この状態を「疑似相関」と呼びます。
上記の例では「アイスクリームが売れる」ことと「ビールが売れる」ことには、何か別の要因があることが想像しやすいかもしれません。
しかしビジネスをやっていると、意外なことが「共通の原因」として浮上することがあります。
例えば、
- 製品の不良率
- 工場スタッフの離職率
の2つに相関関係があった場合でも、
- 生産プロセスのトラブル(原因) → 製品の不良率(結果)
- 福利厚生の充実度(原因) → 工場スタッフの離職率(結果)
という、別々の因果関係を考えてしまいがちです。
しかし視点を変えることで、
- 工場スタッフの研修頻度(原因) → 製品の不良率(結果)
- 工場スタッフの研修頻度(原因) → 工場スタッフの離職率(結果)
という、共通の原因を見つけることができるかもしれません。
このように一見別々の出来事に相関が見られた場合には、単純にそれぞれの原因を見つけるのではなく、共通の原因を持つ「疑似相関」の可能性も疑ってみることは大切です。