ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違い
クリティカルシンキング(批判的思考)とは、物事を多面的にとらえて観察や分析を行う思考法のことです。
ロジカルシンキングと比較されることも多い用語ですが、違いは以下の通りです。
ロジカルシンキング | クリティカルシンキング |
より主観的 | より客観的 |
筋の通った考え方 | 多面的な考え方 |
情報を分解・再構成する | 情報を観察・分析する |
問いを設定する | 問いや前提を疑う |
仮説を生み出す | 仮説を検証する |
結論を導く | 結論に疑問を持つ |
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングをざっくりと表現すれば、
- ロジカル・シンキング:筋の通った結論を考えること
- クリティカル・シンキング:結論に筋が通ってるか疑うこと
と考えることができます。
これを図で表すと下記のようなイメージになります。
先ほど挙げた例の、
- 前提:不採算店舗は閉鎖する会社の方針
- 情報:店舗Aは直近一年の利益が赤字
- 問い:店舗Aは閉鎖するべきか?
- 結論:店舗Aは閉鎖するべきだ。
- 根拠:店舗Aは不採算店舗の撤退条件を満たしている
というロジカルシンキングによる主張があった場合に、クリティカルシンキングでは、
- 不採算店舗を閉鎖する会社の方針に例外はないのか?
- 店舗Aの直近一年だけの財務状況で十分に判断できるか?
- 経営判断として「閉鎖」以外の選択肢はないのか?
- 店舗Aは本当に閉鎖すべきなのか?
- 不採算店舗の撤退条件はどんな経緯で決まったのか?
などのことを考えます。
その結果、前提や結論が間違っていることがわかったり、集めるべき情報が不十分であることがわかったり、新たな課題が見つかったりと、大きな収穫が得られることもあります。
そしてクリティカルシンキングの結果を活かして、再びロジカルシンキングで結論を組み立てれば、より強固で信頼性の高い考えを主張することができるようになります。
そのためロジカルシンキングとクリティカルシンキングはセットで使うことが望ましく、2つの思考を相互に行き来することが思考を深めることにつながります。
またクリティカルシンキングは、多面的に物事を捉えることで質が高まるため、自分とは異なる視点を持った仲間や同僚に協力してもらえば効率的です。
世の中にはクリティカルシンキングによって「自分を否定された」とか「個人を攻撃された」と感じてしまう人も少なからずいるようです。
クリティカルシンキングを身に付けた人は他人の主張に対して、ついつい別の視点で疑問を投げかけてしまいますが、クリティカルシンキングに慣れていない人にとっては「ただの否定」として受け取られかねません。
そうならないためには、クリティカルシンキングを行う適切な議論の場を設けたり、主張する本人自らが疑問を抱くように情報を提供するなどの配慮が必要です。