AIDMAの法則とは?AISASやAIDAなどの広告反応モデルとの違い

AIDMA AISAS AIDA

AIDMA(アイドマ)の法則とは、

  1. Attention(注意):消費者が製品やサービスの存在に気づく
  2. Interest(関心):消費者が製品やサービスを気になりはじめる
  3. Desire(欲求):消費者が製品やサービスを欲しくなる
  4. Memory(記憶):消費者が製品やサービスのことを思い出す
  5. Action(行動):消費者が製品やサービスに対して行動する

の5つの段階で表現される、100年ほど前に生まれた広告の影響階層モデル(広告反応モデル)であり、

  • 広告という刺激に対して消費者がどう反応するか

を表したものになります。

AIDMAの法則

AIDMAに似たような用語としてAIDA(アイーダ)やAISAS(アイサス)などがありますが、

  • AIDA:1880年代後半から広告分野で発展した影響階層モデルの基本
  • AIDMA:1924年に生まれたMemoryを加えたAIDAモデルの派生
  • AISAS:2005年に電通が商標登録したインターネット時代AIDAモデルの派生

といった違いがあり、AIDMAもAISASもAIDAモデルの考え方がベースになっています。

AIDA・AIDMA・AISAS

ここではAIDMAの法則をはじめとして、AIDAモデルや電通のAISASについても、わかりやすく解説します。

AIDMAの法則とは?

AIDMA(アイドマ)の法則とは、

  1. Attention(注意):消費者が製品やサービスの存在に気づく
  2. Interest(関心):消費者が製品やサービスを気になりはじめる
  3. Desire(欲求):消費者が製品やサービスを欲しくなる
  4. Memory(記憶):消費者が製品やサービスのことを思い出す
  5. Action(行動):消費者が製品やサービスに対して行動する

という5つのフェーズで表現される、広告に対する消費者の反応を表した階層モデルのことです。

AIDMAの法則

このAIDMAの法則は、1924年にサミュエル・ローランド・ホール(Samuel Roland Hall)氏によって書かれた「Retail advertising and selling(小売の広告と販売)」で紹介された消費者の広告反応モデルです。

100年ほど前の書籍なので書店などで見つけることは困難ですが、学術情報ナビゲータ「CiNee(サイニィ)」によると複数の大学図書館に所蔵されているようです。

参考 CiNii 図書 - Retail advertising and sellingCiNii

ちなみにAIDMAの法則は、1880年代後半に発展したAIDA(アイーダ)モデルから派生したもので、AIDAに「Memory(記憶)」が加えられたものです。(AIDAモデルについては後述します。)

Attention(注意):消費者が製品やサービスの存在に気づく

Attention(アテンション、注意)のフェーズでは、

  • 状態の変化:知らない → 知っている
  • 広告の役割:製品やサービスを認知させる
  • アプローチ:消費者への露出回数を高める

ということが必要で、

  • 何も知らない消費者に製品やサービスの存在を知らせること

が広告の目的です。

Attention(注意):消費者が製品やサービスの存在に気づく

まず消費者は、どんな製品やサービスであっても「まったく何も知らない」という状態からスタートします。その状態から、売り手は広告を通して製品やサービスを認知させ「知っている」という状態に変化させる必要があります。

ここでの広告の役割は「製品やサービスを認知させるための手段」であり、消費者に対して製品やサービスの情報を数多く露出させることで実現します。

例えば、

  • 何度もテレビコマーシャルを流す
  • インターネット広告を何度も表示させる
  • イベントを開催して人目を引く
  • 商圏一帯にチラシを巻く
  • ダイレクトメールを送付する
  • プレスリリースを流す
  • メディアに取材を依頼する

などなど、様々な方法を使って消費者に製品やサービスの認知を促します。

ここで気をつけなければならないのは、消費者の「選択的注意」です。

選択的注意とは、

  • 人はすべての情報を処理できないため特定の刺激にだけ選択的に注意を向ける

という知覚プロセスのことで、消費者は晒された情報のほんの一部にしか注意を向けないという事実があります。

例えば、消費者の目に四六時中入ってくるように闇雲に広告を打ったとしても、その広告を見る気がない消費者にはまったく気にも留めないかもしれません。

しかし、

  • 人は現在のニーズに関係のある刺激に反応する
  • 人は予想していた刺激に反応する
  • 人は通常よりも刺激の強いものに反応する

という研究結果が存在しています。

そのため、売り手が効率的に消費者の注意を惹くためには、

  • ターゲットを明確にする
  • 消費者のニーズに沿った形で広告を企画する
  • 他社の広告に埋もれないように工夫をする

といった必要があります。(ただし、ニーズに関しては次の「Interest(関心)」のフェーズが中心になります。)

選択的注意についてより詳しい情報は、下記の記事をご覧ください。

Interest(関心):消費者が製品やサービスを気になりはじめる

Interest(インタレスト、関心・興味)のフェーズでは、

  • 状態の変化:知っている → 気になる
  • 広告の役割:消費者のニーズを喚起させる
  • アプローチ:ニーズに関連する情報を提供する

ということが必要で、

  • 製品やサービスの存在を知った消費者に一層興味を持たせること

が広告の目的です。

Interest(関心):消費者が製品やサービスを気になりはじめる

消費者は製品やサービスを知ったからといって、興味を持つわけではありません。このフェーズでは消費者が単純に「知っている」「聞いたことがる」といった状態から、「気になる」「興味がある」といった状態に変化させることが必要です。

ここでの広告の役割は「消費者のニーズを喚起させる」ことであり、売り手は消費者のニーズにマッチした情報を提供します。

消費者のニーズとは、

  • 消費者が持つ課題の解決や目的を達成する必要性

のことであり、

  • 潜在ニーズ:必要性があることに消費者自身が気づいていないニーズ
  • 顕在ニーズ:必要性があると消費者自身が気づいているニーズ

の2つに大きく分けることができます。

ニーズ

特に消費者自身が認識している「顕在ニーズ」へのアプローチは、消費者がまだ気づいていない「潜在ニーズ」にアプローチするよりも簡単です。

例えば、ハウスダストのアレルギーのせいで目が痒かったりくしゃみが止まらないとわかっている消費者は「ハウスダストを部屋から取り除きたい」というニーズや「アレルギー症状を抑えたい」といった「顕在ニーズ」をもっています。そのような消費者には「この空気清浄機を使えばハウスダストを取り除けます!」「この薬を飲めばアレルギー症状が緩和されます!」といった広告を目にすることで、それらの商品への興味が高まります。

一方で、自宅で目が痒かったりくしゃみが止まらない原因がハウスダストだと認識していない消費者には、まず原因がハウスダストにあるということを知らせて「潜在ニーズ」を「顕在ニーズ」に変えなければいけません。そのため、アプローチの手間が増えて広告コストが上昇します。

しかし、なぜニーズを刺激すると興味が高まるのでしょうか?

それは製品やサービスに対する消費者の関与度が高まるからです。これをわかりやすく言い換えると、与えられた情報が自分のニーズを満たせることがわかれば、「これは自分のための情報だ」と「自分ゴト化」するためです。

ちなみに関与度とは、

  • 消費者と製品やサービスの結びつきの強さ

のことで消費者の「関心の高さ」や「こだわり」と表現されます。

関与度が高まれば、消費者はより多くの情報を自分から集めようとするので、売り手のマーケティング活動を円滑に進めやすくなります。

Desire(欲求):消費者が製品やサービスを欲しくなる

Desire(デザイア、欲求・欲望)のフェーズでは、

  • 状態の変化:気になる → 欲しい
  • 広告の役割:消費者のウォンツを満たす
  • アプローチ:顧客の声や商品の詳しい情報を提供

ということが必要で、

  • 消費者に特定の製品やサービスを「買いたい」「利用したい」と思わせること

が広告の目的です。

Desire(欲求):消費者が製品やサービスを欲しくなる

消費者はニーズとマッチした情報を手に入れると、製品やサービスが「気になって」興味を持ち始めます。しかしこれだけでは、消費者がライバルの製品やサービスにお金を払ってしまうかもしれません。そうならないためには、特定の自社の製品やサービスを「欲しい」と思わせる必要があります。

そのためには、売り手は広告を通して「顧客の声」や「製品やサービスの詳細な情報」を提供して、数ある競合の中から自分たちの特定の製品やサービスを選んでもらうことが重要です。

ここで重要になるのが、消費者の中でニーズの次に生まれる「ウォンツ」です。

ウォンツとは、

  • 課題や目的を解決するための具体的な手段に対する欲求

ことであり、

  • 基本ウォンツ:具体的な解決の方向性に対する欲求
  • 条件ウォンツ:解決の方向性を選別するための条件
  • 期待ウォンツ:当然満たされるべきと思っている暗黙の事柄

の3つに分けることができます。

ウォンツ

消費者はこの3つのウォンツを使って、自分にマッチした製品やサービスを絞り込んでいきます。

例えば、

  • 自宅のハウスダストをどうにかしたい

という「顕在ニーズ」を持った消費者が、

  • 「この空気清浄機を使えばハウスダストを取り除けます!」

といった広告を目にすると関心が高まります。

その後、

  • 空気清浄機が欲しい

という「ウォンツ」が生まれた消費者は、空気清浄機について情報の収集を始めます。

そして、

  • 基本ウォンツ:ハウスダストを取り除いてくれる
  • 条件ウォンツ:消費電力が低くコンパクトなサイズで色は白色
  • 期待ウォンツ:動作音は気にならない程度で故障しにくい

といったように、ウォンツの具体性が高まります。

そして消費者は数ある似たような製品やサービスを評価して、具体的なウォンツに当てはまるものだけを絞り込んでいきます。

その絞り込みに必要なのが、前述した「顧客の声」や「製品やサービスの詳細な情報」といった情報です。

まず顧客の声などクチコミの情報については、その消費者が属する「準拠集団」から得られる情報を重視します。

準拠集団とは、

  • 消費者の行動や態度に影響を与えるグループ

のことで、

  • 第一次準拠集団:家族、友人(オンライン含む)、隣人、同僚など
  • 第二次準拠集団:職場団体、労働組合、宗教団体など
  • 願望集団:そこに属したいと思っているグループ
  • 分離集団:価値観や態度を受け入れられないグループ

の4つのグループに分けることができます。

例えば雑誌の記事広告で、消費者が憧れる歌手(願望集団のオピニオンリーダー)が「この空気清浄機を使い始めて、喉を痛めることが減りました。レコーディング室でも使っています。」などとコメントしているのを見かけたら、その消費者はその特定の空気清浄機を「欲しい」と感じるでしょう。

他にも様々な製品やサービスで見かける「お友達をご紹介いただくと1000円分の商品券をプレゼント!」や「ご家族も加入いただければ最初の3ヶ月は無料!」などといったキャンペーンも準拠集団を利用した広告の一種です。これらの場合は金銭的なリスクの低減効果の影響もありますが、家族や知人が同じものを使っていることを理由に、消費者の選択肢に残る可能性が高まります。

このように、情報が消費者の準拠集団を経由するほど、消費者に広告の影響を与えやすくなります。

また準拠集団経由ではなく、売り手が消費者に直接情報を与えて、自社の製品を選ぶように「説得」する場合には「精緻化見込みモデル」の考え方が参考になります。

精緻化見込みモデルとは、

  • 消費者を説得する手段を2種類のルートで表現した論理モデル

のことで、

  • 中心的ルート(論理的関与):消費者に論理的な情報を合理的に検討させる
  • 周辺的ルート(感情的関与):消費者に感情的な手がかりを与えて判断させる

という2種類のルートからの説得を説明したものです。

精緻化見込みモデル

もし売り手が中心的ルートを経由する広告を打つ場合には、

  • 得られる機能の詳細
  • 性能などの定量的情報
  • 実験結果などの科学的根拠

などといった論理的な情報を中心に置きます。

一方で、周辺的ルートを経由する広告を打つ場合には、

  • 好感度の高い有名人やタレントを広告に起用する
  • 視覚的な効果によってイメージを構成する
  • 感情に訴えかけるコピーやメッセージを利用する

などといった感情的な手がかりを広告に盛り込みます。

これらのルートのどちらを中心に広告を構成するかは、製品やサービスの特性、ブランドイメージなどによっても異なります。そのため、マーケティング活動全体との整合性も考えなければなりません。

Memory(記憶):消費者が製品やサービスのことを思い出す

Memory(メモリー、記憶)のフェーズでは、

  • 状態の変化:忘れている → 思い出す
  • 広告の役割:製品やサービスを思い出させる
  • アプローチ:消費者に忘れられる前に念押しする

ということが必要で、

  • 製品やサービスを消費者に思い出させて記憶に定着させる

が広告の目的です。

Memory(記憶):消費者が製品やサービスのことを思い出す

消費者は広告によって刺激を与えた時には、「気になる」「欲しい」といった感情が生まれます。しかし時間が経てばその感情もなくなってしまいます。そしてそのまま製品やサービスのことを完全に忘れ去ってしまえば、それまでに打った広告が無駄になってしまいます。

そうならないためにも、製品やサービスのことを「忘れている」「忘れかけている」といった状態の消費者に広告で刺激を与えることで、「思い出させ」て完全に忘れてしまうことを防ぐことが必要です。

ここでは知覚プロセスの、

  • 選択的記憶:人は自分の態度や信念を裏付ける情報を記憶する傾向がある

という考え方が重要になります。

消費者は広告などで情報を与えても、消費者自身にとって不要な情報は忘れ去ります

では逆に消費者に必要な情報は何なのかというと、

  • 消費者自身の「信念」「態度」「価値観」などに沿った情報

です。

わかりやすく言えば、消費者の、

  • 信念:物事に対して正しいと信じている心
  • 態度:物事に対する外面に現れた振る舞いや反応
  • 価値観:物事の価値の有無を判断する基準や見方

一致するような広告内容であれば、記憶に残りやすいということです。

例えば、ある消費者が空気清浄機を検討しているときに、

  • 信念:家電製品は国内メーカーが間違いない
  • 態度:インターネットの追跡広告は嫌い
  • 価値観:空気清浄機は加湿機能がなければ意味がない

と考えていれば、

  • 空気清浄機が国内工場で生産されていること
  • インターネット広告以外の広告手段を利用すること
  • 空気清浄機に加湿機能がついていること

を満たす広告は、その消費者の記憶に残りやすいと言えます。

もちろん「信念」「態度」「価値観」は消費者ごとに様々であり、全ての消費者を満足させる広告を打つことはできません。しかしメインのターゲット層のマーケティングリサーチを行うことで、ある程度の範囲まではカバーすることが可能になります。

Action(行動):消費者が製品やサービスに対して行動する

Action(アクション、行動)のフェーズでは、

  • 状態の変化:買っていない → 買った
  • 広告の役割:具体的な行動のキッカケをつくる
  • アプローチ:消費者が行動に移せる環境づくり

ということが必要で、

  • 製品やサービスに対する消費者の行動を促す

が広告の目的です。

Action(行動):消費者が製品やサービスに対して行動する

消費者が特定の製品やサービスを「欲しい」と感じ、存在を忘れずに記憶していれば、条件が揃うことで消費者は購入という行動を起こします。

購買行動を促す広告でわかりやすいものは、

  • セール期間の告知
  • 商品入荷のお知らせ
  • 期間限定クーポンの発行

などです。

しかし消費者が起こす行動は、購入だけではありません。購入を決定づけるための経験的情報の取得も、消費者の行動のうちの一つです。

経験的情報とは、

  • 試供品
  • 試乗
  • 試用
  • 体験
  • デモンストレーション

などの、消費者本人の経験による情報のことです。

失敗した場合のリスクが高いものや、実際に利用して見なければ評価のできない製品やサービスは、消費者に経験的情報を与えることで購入のハードルを下げることができます。

そのため、

  • 体験イベントの告知
  • 試食会・試乗会などの告知
  • 店頭でのデモンストレーション

なども消費者の行動を促す広告になります。

このように広告で直接購買を促すだけでなく、購買のハードルを下げる行動を促すことも重要になります。

…と、ここまでくれば消費者は買ってくれるのかと思いきや、そうなるとは限りません。なぜなら「支払い能力の壁」が存在しているからです。

支払能力の壁とは、

  • 消費者が商品やサービスに支払わなければいけない対価

のことで、消費者がこの「支払能力の壁」を超えてくれない限り、購入に至ることはありません。

もっと簡単に表現すれば「払えないものは買えない」ということです。

支払能力の壁

売り手としては「欲しい」「買いたい」と思っている消費者を目の前にして、

  • 「お金がないんですか?じゃあサヨウナラ。」

というわけにはいきません。

そのため多くの企業が消費者の「支払能力の壁」を取り払う工夫をしています。

  • 分割支払手数料の免除
  • ツケ払い
  • ローンの案内
  • 下取りによる値引き

など、消費者の金銭的な負担を減らすことで、支払能力の壁を下げています。

広告ではこのような「支払能力の壁を越えるサポート」をしていることを消費者に伝えることで、消費者の購買行動を促すことができます。

AIDMAの法則と購買意思決定プロセス

AIDMAの法則は「マーケターの視点」から「広告に限定」して、消費者を理解しようとするモデルです。そのため視野が狭くなってしまい、マーケティング全体との整合性を取るためには不十分です。

そこで役に立つのが「消費者の視点」から購買の意思決定に至るまでの流れを説明した「購買意思決定プロセス」です。

購買意思決定プロセスとは、

  1. 問題認識:問題やニーズを認識する
  2. 情報探索:問題解決のために情報収集する
  3. 代替品の評価:複数の選択肢を評価する
  4. 購買決定:購買のために最終決定する
  5. 購買後の行動:購買決定そのものを評価する

といったプロセスで、消費者の購買決定を説明するモデルです。

購買意思決定プロセス

詳しい内容は、上記の記事を参照いただきたいのですが、この「購買意思決定プロセス」をAIDMAの法則などの「広告反応モデル」と重ね合わせてみると、下図のようになります。

AIDMAの法則と購買意思決定プロセス

この図を見ると、購買決定プロセス(購買意思決定プロセス)は広告反応モデルの間に位置していて、お互いに関係が深いことがわかります。

また「AIDMAの法則」は、

  • 購買後の行動

をカバーできていないこともわかります。

このように、購買意思決定プロセスと照らし合わせることで、AIDMAの法則の弱い部分がわかったり、それぞれの広告が促す消費者の行動を理解することができます。

AIDMAのベース「AIDAモデル」

AIDA(アイーダ)モデルとは、

  1. Attention(注意):消費者が製品やサービスの存在に気づく
  2. Interest(関心):消費者が製品やサービスを気になりはじめる
  3. Desire(欲求):消費者が製品やサービスを欲しくなる
  4. Action(行動):消費者が製品やサービスに対して行動する

という4つのプロセスで説明した広告反応モデルのことです。

AIDAモデル

参考 AIDAWikipedia

AIDAモデルの原型が世に現れたのは、1880年代の後半にまで遡ります。

The mission of an advertisement is to sell goods. To do this, it must attract attention, of course; but attracting attention is only an auxiliary detail. The announcement should contain matter which will interest and convince

広告の使命は商品を売ることだ。そのためには、もちろん注意(Attention)を引かなければならない。しかし注意を引くことは、些細な補助にすぎない。広告の声明は、興味(Interest)を持たせる要素と納得(Convince)させる要素を含む必要がある。

Printers’ Ink(1889年2月9日発行)p50 より引用・筆者翻訳

上記の文献には「Attraction」と「Interest」という要素が登場し、消費者を「Convince(納得させる)」という表現になっています。

その後、1900年にアメリカの経営者であるフレッド・メーシー(Fred Macey)氏が、彼が審査を務めた広告のコンテストで以下のような言葉を残しています。

1st The advertisement must receive “Attention,” 2d. Having attention it must create “Interest,” 3d. Having the reader’s interest it must create “Desire to Buy,” 4th. Having created the desire to buy it should help “Decision”.

第1に、広告は「注意(Attention)」を引かねばならない。第2に、注意は「興味(Interest)」を生み出さなければならない。第3に、読み手の興味が「購入への欲求(Desire to Buy)」を生まなければならない。第4に、生み出された欲求は購買の「意思決定(Decision)」を手助けしなければならない。

“The Bissell Prize Advertisement Contest,” Hardware, March 1900, p. 44.より引用・筆者翻訳

この頃には「Attention」「Interest」「Desire」まで、3つが揃いました。

そして1904年に「Salesmanship(セールスマンシップ)」という書籍に掲載されたフランク・ハッチンソン・デュークスミス(Frank Hutchinson Dukesmith)氏の記事で、「Attention」「Interest」「Desire」「Action」の4つが揃います。

しかし「AIDA(アイーダ)」という呼び方が登場したのはさらに後になります。

「AIDA」という頭字語が明確に登場したのは、1921年に書かれたラッセル(C. P. Russell)氏による以下の一文です。

An easy way to remember this formula is to call in the “law of association,” which is the old reliable among memory aids. It is to be noted that, reading downward, the first letters of these words spell the opera “Aida.”

(広告の反応に対する)公式を簡単に思い出すために役立つのが「連想の法則」だ。公式を上から下へと頭文字だけ読んでいけば、オペラの演目「アイーダ(Aida)」の綴りになることがわかる。

Printers’ Ink(1921年6月2日発行)より引用・筆者翻訳

ラッセル氏は、18世紀の作曲家ジュゼッペ・フォルトゥニーノ・フランチェスコ・ヴェルディ(Giuseppe Fortunino Francesco Verdi)氏による有名なオペラ「アイーダ」を引用して、「Attention」「Interest」「Desire」「Action」の4つを覚えることを提案しました。

参考 アイーダウィキペディア

広告反応モデルの「AIDA」という略称は、オペラの「アイーダ」に由来していたのは意外ですよね。

そしてその3年後、1924年にサミュエル・ローランド・ホール(Samuel Roland Hall)氏が「AIDMAの法則」と呼ばれる派生モデルを発表し、その後もAIDAモデルをベースにした様々な広告反応モデルが生まれました。

AISASはインターネット時代のAIDAモデル

AISAS(アイサス)とは、

  1. Attention(注意):消費者が製品やサービスの存在に気づく
  2. Interest(関心):消費者が製品やサービスを気になりはじめる
  3. Search(検索):消費者が製品やサービスの情報を検索する
  4. Action(行動):消費者が製品やサービスに対して行動する
  5. Share(共有):消費者が製品やサービスの情報を共有する

という広告反応の影響モデルであり、

  • 広告代理店最大手の電通の登録商標

です。

参考 商標登録 第4874525号 AISASJ-PlatPat 特許情報プラットフォーム

この広告反応モデルは、AIDAをベースにした電通独自の派生モデルです。

AISAS(アイサス)

購買意思決定プロセスと照らし合わせてみると、

  • 情報探索
  • 購買後の行動

をしっかりとカバーしたモデルであることがわかります。

このAISASは、インターネットの普及によって2005年に登場しました。

2000年代はインターネットの登場によって、多くの業種でビジネスモデルの変化が起こりました。その変化に伴って、広告の手法も大きく変化することが求められました。

そこで登場したのが、インターネット時代に合わせてAIDAモデルを再定義した「AISAS(アイサス)」です。(以降の説明は、前述した「AIDMAの法則」の解説内容と整合性が取れるように、筆者の解釈を含めて編集しています。

Search(検索):消費者が製品やサービスの情報を検索する

Search(サーチ、検索)のフェーズでは、

  • 状態の変化:情報が不足している → 十分な情報がある
  • 広告の役割:消費者が欲している情報に導く
  • アプローチ:検索広告への出稿

ということが必要で、

  • 消費者の能動的な情報収集を手助けする

が広告の目的です。

インターネットが普及したことで、消費者は「情報が欲しい」と感じた時に、その場で情報を「検索」することができるようになりました。このことによって「情報が不足している」という状態から、「十分な状態がある」といった状態になるために、消費者が自ら行動を起こしやすくなりました。

しかし売り手が何も対策をしてなければ、消費者が信頼性の低い情報ウソの情報を信じてしまうかもしれません。

そのようなことを防ぐためにも、

  • 消費者が必要とする情報をインターネット上に用意する
  • 検索を行った消費者を広告で正しい情報に誘導する

といったことが売り手に求められます。

ここで必要なアプローチは、Googleなどに代表される検索エンジンへの広告出稿です。

検索エンジンに出稿すると、検索結果の目立つ場所に任意のページへのリンクが現れます。そのリンクを消費者が辿ることで、売り手側が提供したい情報へ導くことができます。

Share(共有):消費者が製品やサービスの情報を共有する

Share(シェア、共有)のフェーズでは、

  • 状態の変化:自分だけの出来事 → 他人と共有した出来事
  • 広告の役割:消費者の情報発信を促す
  • アプローチ:SNS広告への出稿

ということが必要で、

  • 消費者に製品やサービスの情報発信をさせる

が広告の目的です。

インターネットが普及するにつてれ、ソーシャルネットワークサービス(SNS)というサービスが登場し、インターネット人口の増加とともに利用する人も増えました。SNSの利用者が増えれば、SNSの運営者の負担が増えます。そのためSNSを運営する事業者は、広告による収益化によってSNSというプラットフォームの維持・成長を試みました。そこで生まれたのが「SNS広告」です。

SNS広告は、SNSの運営で得た利用者の様々な情報を組み合わせ、利用者の属性ごとに配信できる広告のことです。多くのSNSでは、利用者が自分や他人の投稿を「共有する」機能が備わっています。そしてSNS広告も利用者が「共有する」ことが可能です。

売り手は、SNS広告として消費者が「共有したくなる」情報を提供することができれば、消費者の情報発信を促すことができます。そして結果的に消費者によって広告が共有されれば、SNSを利用している他の消費者の「Attention(注意)」「Interest(関心・興味)」などに繋がっていくのです。

AIDMAは古いのか?

結論から言えば、

  • 消費者の普遍的な反応であるため普遍的である(=古くならない)

と考えます。

特にAIDAとAIDMAに共通する、

  • Attention(注意):消費者が製品やサービスの存在に気づく
  • Interest(関心):消費者が製品やサービスを気になりはじめる
  • Desire(欲求):消費者が製品やサービスを欲しくなる
  • Action(行動):消費者が製品やサービスに対して行動する

という要素は、現代であろうと数百年前であろうと変わりません。

人はニーズを解決するものがあれば、意図的に注意が向けられ、関心を持ち、欲しくなったら手に入れようとします。これらの反応はいつの時代も普遍的です。

技術に依存するAISASは古くなる

一方で、「検索する」「共有する」といったインターネット特有の消費者の反応を含んでいる「AISAS(アイサス)」は、次の時代が到来したら陳腐化するかもしれません。

例えば、次の時代に消費者は検索することなく、自身の行動から推測された必要な情報を手に入れることができるようになれば「検索する」という行為は消えるでしょう。

また情報を共有することなく、自身の行動が他者の受け取る情報に影響を与えることができるなら、「共有する」という行為は無くなってしまうかもしれません。

このように「検索する」や「共有する」といった技術に依存した行為は、技術が廃れることで世の中から消えていきます。

逆にAIDAやAIDMAのように、各項目が消費者自身で完結するものについては、人間の普遍的な行為なので古くなってしまう心配は少ないはずです。

だからこそ、18世紀末に生まれたAIDAモデルの考え方が現代でも通用するのです。

補足

ちなみに2005年に登場した「AISAS(アイサス)」は、インターネットの発展とともに消費者行動が変化して時代にそぐわなくなってきました。

そのため2015年には、アタラ合同会社の「Dual AISAS(デュアル・アイサス)モデル」というものも登場しています。(こちらも商標登録されています。)

おそらくこの「Dual AISAS(デュアル・アイサス)」も一時的には使えても、また消費者行動が変化すれば役に立たなくなってしまうでしょう。

企業を担うマーケターとしては、広告代理店やコンサルティング会社が提唱するフレームワークが、

  • 普遍的な人の行動に則した考え方であるか?
  • 時代の変化にも対応できるか?

ということも考えながら、「流行り言葉」や「バズワード」に振り回されないように注意することが必要です。

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