ロジカルシンキングの基本:因果関係と4つの推論
ロジカルシンキングでは、
- 因果関係:ある出来事が別の出来事を直接的に引き起こす関係
- 相関関係:別々の出来事が同じようなタイミングで起こる関係
の違いの理解と、
- 演繹法:一般論を使って出来事の結果を推測する
- 帰納法:複数の出来事とその結果から規則性を見つける
- アナロジー:別の似ている事例から結果を推測する
- アブダクション:結果と一般論から起こった出来事を推測する
という4つの推論の手法を身に付けることが重要になります。
因果関係と相関関係
まずビジネスの環境下で起こっていることを理解するためには、因果関係と相関関係の違いを知っておかなければなりません。
因果関係と相関関係を比較すると下記のようになります。
因果関係 | 相関関係 |
先に原因が起こる | 起こる順番は問わない |
原因が結果に直接影響する | 互いに影響が無い可能性あり |
出来事は必ず相関関係がある | 因果関係があるとは限らない |
因果関係は、直接的な影響と時間的な順序があることが特徴です。
そしてもう一つ重要なのは、
- 因果関係は相関関係の一種
だということです。
相関関係には、
- 直接原因:一方がもう一方の出来事の直接的な原因になる(=因果関係)
- 間接原因:複数の出来事に間接的に因果関係がある
- 相互作用:お互いに原因にも結果にもなる(=因果関係)
- 疑似相関:別の出来事が複数の出来事に影響を与える
- 偶然の相関:まったく関係ない出来事に相関関係が見つかる
の5つのタイプがありますが、その中の一部が「因果関係」も持っています。
例えば、あるお店で夏の暑い日に、
- 日中の気温が例年より高かった
- アイスクリームの売り上げが伸びた
- ビールの売り上げが伸びた
- 酒のつまみの売り上げが伸びた
ということが起こったとします。
これを因果関係と相関関係で考えてみると、
- 直接原因の相関(因果関係):ビールを飲みたい → 酒のつまみも欲しい
- 間接原因の相関:気温が高い → 暑くて喉が乾く人が多い → アイスやビールを買う
といったように、影響を関連づけることができます。
ロジカルシンキングでは、「根拠」と「結論」を結びつけるために因果関係と相関関係の違いの理解が必要になります。また、様々な情報を選別する場合にも、因果によって影響があるのか、それとも全く関係のない出来事なのかを区別することが重要です。
帰納法
帰納法とは、
- 複数の出来事とその結果から規則性を見つける
思考法です。
ロジカルシンキングでは、帰納法を事例が少ない出来事を説明するために使うことができます。
例えば、
- 競合A社は〇〇だったし、競合B社も〇〇だったので、同じ状況の自社も〇〇だろう。
というように根拠を示したり、結論づけたりできます。
演繹法
演繹法とは、
- 一般論を使って出来事の結果を推測する
思考法です。
ロジカルシンキングでは、一般的に知られている内容を根拠に出来事を説明するときなどに演繹法を使うことができます。
例えば、
- 一般的に〇〇が起きると原材料が高騰するので、今期は生産コストが上昇する可能性が高い。
といったように説明することができます。
また「三段論法」と呼ばれる手法も演繹法の一種であり、
- 一般論 = 大前提
- 出来事 = 小前提
- 仮説 = 結論
と置き換えて考えることができます。
アナロジー
アナロジーとは、
- 別の似ている事例から結果を推測する
思考法です。
ロジカルシンキングでは、前例のない出来事の説明にアナロジーを使うことができます。
例えば、
- 新製品Aの売り上げが急激に落ち込んでいるが、似たような顧客層を持つ既存製品Bも同じ時期に売り上げが急減したので、時間が経てば売り上げが回復する可能性がある。
といったような説明ができます。
アブダクション
アブダクションとは、
- 結果と一般論から起こった出来事を推測する
思考法です。
ロジカルシンキングでは、出来事の原因を探る場合などにアブダクションが役立ちます。
例えば、
- 過去にも複数の店舗でサービス品質の低下による客離れが起こったので、今回の店舗Aでみられる客離れもサービス品質の低下が原因なのかもしれない。
といった具合に仮説を立てることができます。