ポイント3:特許を取得して模倣困難性を高める
上手くいっているビジネスモデルは、競合他社によって真似されることもしばしば起こります。
ボスマートにおいても、自動販売機を扱う競合が同じように真似をすることは技術的に可能です。しかし、これを防ぐ方法の1つが、特許の取得です。
サントリーの公式サイトにあるボスマートのページにも「特許取得済」とあるとおり、ボスマートの仕組みは特許として登録(第6831893号)がされています。
ということで、実際の特許情報を見てみましょう。手順は以下の通り。
- 特許情報プラットフォームJ-PaltPat にアクセスする
- 「簡易検索」の「特許・実用新案」を選択して「第6831893号」で検索する
- 検索結果から「特開2021-077148」をクリックする
リンク先の情報については、専門的な内容になるため詳細を割愛しますが、今回インタビューをさせていただいた森さんが「発明者」として記載されていますね。
このように特許を取得するということによって、競合他社はまったく同じ方法では真似することができなくなります。
これを経営学では「直接的複製に対する模倣困難性が高い」と表現します。
「直接的複製」というのは「同じやり方をコピーする」という意味で、模倣(真似すること)が困難な(難しい)性質があると言えます。
この模倣困難性の高さが、ライバルとの競争では有利に働くのです。
自販機の決済機能を利用することでオペレーションはそのまま
なお、ボスマートのビジネスモデルでは、上記の特許の通り、自動販売機の余剰ボタンを使用して商品の販売を行います。
これは自動販売機に在庫できる商品スペースの数と、ボタンの数が異なるからです。
機種によって異なるものの、自販機内の商品スぺースは30あるのに対し「購入ボタン」は36個と、余剰ボタンがある。この余剰分を軽食用のレジボタンとして活用することで、商品を減らさずに食品の展開が可能となった。
ITmediaビジネスオンライン より引用2022年4月
こちらの写真の枠で囲っている部分が、余剰の6つのボタンになります。
このような仕組みにすることによって、食品用の什器が追加されること以外は通常のオペレーションで行うことが可能です。つまり現場のオペレーターの負担が少ないということ。
前回の「社長のおごり自販機」もそうでしたが、新しいビジネスモデルを実行に移すには現場レベルの協力が不可欠です。そのため、現場のオペレーションの負担が最小限になっていることも、このビジネスモデルの美しさの一つです。