- 広告掲載型
- 成功報酬型
の2つに分けることができます。
さらに成功報酬型は「応募課金型」「閲覧課金型」「採用課金型」の3つに分類されます。
今回は、バイトをしたことがある人にはお馴染みの、バイト求人広告媒体のビジネスモデルについて解説したいと思います。
なお、ここでのビジネスモデルの図表は、システム思考におけるループ図という手法をベースに、独自にアレンジした形式で表現しています。
以下の記事でループ図について詳しく解説していますが、このまま読み進めてもまったく問題ありません。
それでは順を追って、読み解いていきましょう。
広告掲載型のバイト求人情報媒体のビジネスモデル
もっとも歴史が古く、主流であり続けているのが「広告掲載型」のバイト求人媒体です。
始まりは新聞の求人欄に掲載される広告でした。その後、有料の求人情報誌やフリーペーパー、求人サイトなど労働者のニーズをとらえながら変化を続けています。
広告掲載型はその名の通り、媒体への広告掲載料として、求人広告を掲載したい利用者から料金を徴収するタイプのビジネスです。
毎月定額であることから、利用者の店舗側にとっては固定費として支出を予測しやすいことが好まれる理由の一つです。
また、媒体の運営側にとってもストック型のビジネスになるため、キャッシュフローが安定しやすいというメリットがあります。
2タイプの利用者:店舗と求職者
このビジネスモデルでは、
- 店舗(または法人)
- 求職者
の2つの異なる利用者が存在しています。
両者の存在は、
- 店舗の求人情報が増えるほど、媒体を閲覧する求職者が増える
- 媒体を閲覧する求職者が増えるほど、店舗の求人情報が増える
という作用を生み出します。
図で表すと以下のとおり。

これは「間接的ネットワーク効果」と呼ばれ、求人情報媒体は労働の需要と供給である「両面市場(two-sided marketplace)」を管理する「ツーサイド・プラットフォーム(two-sided platform)」と考えられます。
この媒体が機能を果たすためには、店舗と求職者の両方を集めなければいけませんが、どちらが先かといえば「店舗」です。
媒体としては、求人情報の掲載店舗数が、求職者にとっての品揃えに相当します。だからまずは仕入れ。つまり求人情報を集めなければなりません。
それを表したのが以下の図。

「労働需要」が存在している市場に対して「営業活動」を行い、「広告掲載店舗数」を増やします。
しかしそこで足枷になるのが「広告掲載料」の存在。採用できるかどうかもわからない段階で費用が発生するので、「広告掲載料」は「営業活動」に対して抑制の力(赤い点線)が働きます。
この抑制の力に抗うには、店舗側は「人が採用できるのか?」という心配を解消する必要があり、媒体の閲覧者数や広告掲載店舗の採用実績などの情報を提示することが求められます。
しかし媒体を初めて立ち上げる場合などには実績がないため、「初回掲載無料」「◯ヶ月間掲載料半額」といった施策で、まずは実績づくりをすることになるでしょう。
次に必要なのは、求職者を集めること。

「広告掲載店舗数」が増えれば「広告掲載料」が計上され、「利益・資金」としてビジネスを回すお金が集まります。そのお金を「広告宣伝費」に回すことで、求職者に対する媒体の認知度を高めます。
ここでいう広告宣伝費については、単純な広告だけでなく、媒体の制作・維持・管理も含みます。つまり、紙媒体であれば印刷費用や流通費用、デジタル媒体であればシステムのメンテナンス費用なども必要です。
また「広告掲載店舗数」が多いほど、求職者にとって閲覧する動機につながります。
求人情報の選択肢が多いほど、求職者のニーズを満たすことができるため、前述の「営業活動」による「広告掲載店舗数」の拡大は「媒体閲覧者数」の増加にもつながるのです。
求職者のマッチングと媒体としての提供価値
求人情報を載せた媒体と求職者がそろえば、求職者の応募という形でマッチングが成立します。

マッチングすることで、求職者を求める雇用主と、雇用を求める求職者のニーズが一致し「雇用主の利用体験」と「求職者の利用体験」が改善します。
この結果、店舗側も求職者も良い体験ができれば評判が向上し、「広告掲載店舗数」および「媒体閲覧者数」の増加につながります。
利用者の増加による弊害
しかし利用者が増えると良いことばかりではありません。
「あの媒体に広告を出せば人が集まる」「あの媒体なら仕事が探しやすい」という噂が広まれば、
- 労働環境の悪い店舗
- 勤務態度の悪い求職者
もマッチングを期待して登録が増加します。

この結果、「ハズレ店舗率」や「ハズレ労働者率」が高まります。
これらの上昇は「雇用主の利用体験」や「求職者の利用体験」にマイナスの影響を与えることになります。
広告掲載型のバイト求人情報媒体のまとめ
それでは全体を見てみましょう。

このビジネスモデルの要点は、成果が出る前に顧客を説得し、広告掲載料を徴収する必要があることです。
また「ハズレ店舗率」や「ハズレ労働者率」への対応はなかなか難しいところです。
成功報酬型のバイト求人情報媒体のビジネスモデル
成功報酬型のアルバイト求人媒体のビジネスモデルは、
- 応募課金型:求職者の応募があったときに手数料が発生
- 閲覧課金型:求職者の応募情報を閲覧するときに手数料が発生
- 採用課金型:求職者を採用したときに手数料が発生
の3つのタイプに分けることができます。
また最近ではインターネットの普及によって「クリック課金型」も登場しています。
いずれにも共通する特徴は、
- 求人広告を掲載しただけでは手数料が発生しない
ということ。
基本的な構造は、前述の広告掲載型と同じなので、ここからはビジネスモデルの違いについて説明します。
成果報酬型の手数料の発生ポイント
まずは応募課金型。マッチング、つまり求職者からの応募があれば手数料が発生します。手数料は比較的安く設定されています。

次に閲覧課金型。こちらはマッチングしただけでは手数料が発生せず、店舗側が求職者の情報を閲覧した場合に手数料が発生します。
先ほどの応募課金型よりは高い料金が設定されます。

最後に、採用課金型。成果報酬型と言えば、こちらのイメージを持っている方も多いかもしれません。求職者が採用された場合に仲介手数料が発生します。
仲介手数料は3つの中で最も高くなります。

営業活動は楽だが採用後のケアが必要
最初に説明した広告掲載型では「広告掲載料」が営業活動のハードルになっていました。
しかし成功報酬型では、求人広告掲載の段階では費用が発生しないため、営業活動の妨げになることはありません。
しかし「仲介手数料」の発生は「雇用主の利用体験」の低下の1つの要因となります。

さらに求人媒体の利用者が増加すれば、広告掲載型と同様に「ハズレ店舗率」や「ハズレ労働者率」が高まります。

採用して仲介手数料を支払っても、もしバイトがすぐにお店を辞めてしまったら「店舗側の利用体験」はかなり悪くなります。
採用したバイトが早期に辞めてしまった場合は、仲介手数料が減額される仕組みもあったりしますが、辞めてしまうことには違いがありません。
しかしここには、多少の対応の余地があります。
入社祝い金の存在
成果報酬型のバイト求人情報媒体には「入社祝い金」というシステムが存在します。

「入社祝い金」は店舗側から得た仲介手数料を原資として、採用された求職者に対して支払われます。
この入社祝い金は、採用されてから一定期間が経過しないと支払われない場合が多く、労働者が長く勤務する動機につながります。
結果、バイトがすぐに辞めてしまうケースが多少なりとも減少することで「ハズレ労働者率」の低減につながり、「雇用主の利用体験」の改善につながります。
また「入社祝い金」が多ければ、求職者の閲覧にもつながるため「媒体閲覧数」の増加も見込めます。
しかし残念ながら「入社祝い金」は多くの媒体が採用しているので、差別化要因にはなりません。現状では必要コストと考える方が妥当でしょう。
成功報酬型のバイト求人情報媒体のまとめ
最後に成功報酬型の全体像を見てみましょう。ここでは採用課金型を例に挙げます。

広告掲載型との大きな違いは、
- 「仲介手数料」が営業活動のハードルにならない
- 「入社祝い金」が「ハズレ労働者率」を引き下げる
といったところかと思います。
一方で、
- 店舗からお金をもらうため「ハズレ店舗率」を引き下げることが難しい
というのはビジネスモデルの構造上のデメリットです。
次のページでは、採用課金型である人材紹介会社のビジネスモデルをご紹介します。
人材紹介会社のビジネスモデル
転職などを斡旋する、人材紹介会社のビジネスモデルは採用課金型が主流です。
しかし正社員の採用は、アルバイトやパートタイムの採用よりも給与が高くなる分、仲介手数料も高くなります。
またバイトの採用よりも回転率は低いことや、求人広告を載せる企業のビジネスへの影響が大きいことも仲介手数料の高さにつながっています。
人材紹介会社の転職エージェントの役割
この「仲介手数料」の高さから生まれるビジネスモデル違いは、営業担当者、つまり転職エージェントの稼働時間の長さです。
そのため、バイト求人は薄利多売ですが、人材紹介は「求人依頼企業」および「求職者」の双方に高付加価値のサービスを提供することが基本になります。

上図のように転職エージェントの活動によって、
- 企業の特性を見極めることで適正な人材を紹介し「ハズレ企業率」を引き下げる
- 労働者の特性を見極めることで最適な求人枠を紹介し「ハズレ労働者率」を引き下げる
といった効果が生まれます。
一方で、顧客企業や労働者の情報が属人的になりやすいため、優秀なエージェントが辞めてしまうことに対するリスクも存在します。
そのため、付加価値の源泉が属人的にならないような工夫が必要になります。
人材紹介会社のビジネスモデルの全体像
採用課金型の人材紹介会社の全体像は以下の通り。

最初に説明した広告掲載型と比較すると、ビジネスモデルがかなり複雑になっていることがわかりますね。
また「営業活動」からは、「求人依頼企業数」の方向に伸びる矢印によって「マッチング件数」の増加に寄与しているだけでなく、「ハズレ企業数」や「ハズレ労働者数」を低減させる矢印が伸びていることで、双方の利用体験(UX、顧客体験)の改善にも寄与していることがわかります。
バイト求人情報媒体のビジネスモデルまとめ
今回はバイト求人媒体のビジネスモデルについて、
- 広告掲載型
- 成果報酬型
- 応募課金型
- 閲覧課金型
- 採用課金型
の違いを紹介しました。
またおまけとして人材紹介会社についても解説しました。
それぞれ、
- 手数料発生のタイミングがビジネスの成長サイクルに影響を与える
- 手数料の金額の大きさによって付加価値向上の手数が増える
ということがわかりました。
他の業界のマッチング型の事業についても、手数料を徴収するタイミングや提供する付加価値の大きさを変えてみると、新しいビジネスモデルが生まれるかもしれません。

