コアコンピタンスとケイパビリティの違いとは?強みの構造を理解する方法

ビジネス書を読んでいると、たまに出てくる「コアコンピタンス」と「ケイパビリティ」という謎の横文字。この2つの似たような言葉は、似たような文脈で登場します。「どっちも『能力』とか『強み』みたいな意味なんでしょ?」って思ってる、そこのあなた。…惜しい! 「そんな言葉聞いたことないよ。」という、そこのあなた。先に予習しておくチャンスです。今回は「コアコンピタンス」と「ケイパビリティ」についてお伝えします。

メチャクチャわかりやすく例えると

早速ですが、わかりやすくスポーツ選手で例えてみます。

  • 「どんなスポーツもこなせる圧倒的な身体能力」が「コアコンピタンス」
  • 「日頃の鍛錬で鍛え上げられた肉体」が「ケイパビリティ」
  • 「プレッシャーにも打ち勝つ精神力」も「ケイパビリティ」
  • 「信頼できるトレーナーによるサポート」も「ケイパビリティ」

なんとなくイメージが、つかめたでしょうか?

スポーツ選手にとっては身体能力が「コアコンピタンス」、つまり中心(コア)となる特質(コンピタンス)なんです。そしてその元になっているのが複数の「ケイパビリティ」、つまり実行力です。トップクラスのスポーツ選手にとっては、どのケイパビリティが欠けてもコアコンピタンスを維持することはできません。

そして「どんなスポーツもこなせる圧倒的な身体能力」があれば、野球選手としてもサッカー選手としても、その他様々なスポーツでも結果を残すことができるはずです。この「様々な分野に適用できる」というのも「コアコンピタンス」の特徴です。

企業に当てはめて考えてみる

先ほどの例えを、企業に当てはめてみると下記のようになります。

  • 事業の核になっている特質=コアコンピタンス
  • コアコンピタンスを維持するための実行力=ケイパビリティ

そしてコアコンピタンスには、3つの特徴があります。

  • 様々な市場に対して適用することが出来る
  • 最終商品から顧客が得る利益に大きく寄与する
  • 競合他社にとって模倣が困難である

家電メーカーを例に挙げて考えてみましょう。

  • 「超高性能小型モーターの量産能力」が「コアコンピタンス」
  • 「長年の研究開発で培われた技術力」が「ケイパビリティ」
  • 「効率的な生産を実現するオペレーション」も「ケイパビリティ」
  • 「特殊部品を安定調達するネットワーク」も「ケイパビリティ」

この「超高性能小型モーターの量産能力」というコアコンピタンスは、様々な家電製品の開発に活かすことができます。ドライヤー、掃除機、エアコンなどなどモーターを使う製品に適用することで、競合との差別化が図れます。

戦略に深く関わる「強み」の表現

この「コアコンピタンス」と「ケイパビリティ」の違いを理解することは、戦略を描くことにも役立ちます。

複数のケイパビリティが強みとして顕在化したのがコアコンピタンスとも言えます。ケイパビリティの維持や強化が、コアコンピタンスの進化を促します。また既存のケイパビリティの組み合わせ方を変えることで、新しいコアコンピタンスが作ることができます。そしてそのコアコンピタンスを活用することで、様々な戦略が生まれます。

一方で技術革新などで、当時は珍しかったケイパビリティも誰でも利用できるものに変化することもあります。そうなればコアコンピタンスの価値も低下するかもしれません。そして初めは有効だった戦略も、徐々に力を失っていきます。

コアコンピタンスもケイパビリティも、何もせずに維持することはできません。時代の変化に合わせて新しいケイパビリティを増やし、コアコンピタンスを維持・強化することが戦略の広がりにつながるのです。

戦略を考える上でのコツは下記の2つ。

  • 戦略を組み立てる時に考えるのが「コアコンピタンス」
  • 戦略を実行する時に考えるのが「ケイパビリティ」

強みを戦略に活かすフレームワーク「クロスSWOT分析」の記事もおすすめです。強みである「コアコンピタンス」は、複数の「ケイパビリティ」から構成されています。戦略を考えるときには、2つを区別して書き出すことで理解が深まります。

クロスSWOT分析のやり方:4タイプの戦略立案とその手順

もっと詳しく理解するためのオススメ書籍

さらに詳しく勉強したくなった方には、こちらの書籍をオススメします。

戦略論 1957-1993 (HARVARD BUSINESS PRESS)

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こちらの第8章には、1990年に発表されたプラハラード教授とゲイリー・ハメル教授による記事「The Core Competence of the Corporation」の日本語訳が掲載されています。ソニーや本田技研の例を交えて「コアコンピタンス」について詳しく書かれています。

また第9章には、1992年にBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)のストーク氏による記事「Competing on Capabilities: The New Rules of Corporate Strategy」の日本語訳が掲載されています。アメリカ小売大手のウォルマートを例に、「ケイパビリティ」について詳しく書かれています。