企業戦略とは?会社全体に影響を与える戦略の意味と例

だいぞう

企業戦略とは、

  • 会社全体に影響する経営戦略

のことです。

全社戦略」とも呼ばれ、財務戦略・M&A戦略・多角化戦略など、経営者の意思決定が必要な戦略を指します。

企業戦略とは?

全社戦略(企業戦略)は、経営戦略の階層で最上位の戦略として位置付けられています。

  • 全社戦略 = 企業戦略(企業全体の戦略)

この戦略の影響は会社全体におよぶので、経営者が最終的な意思決定を行います。

企業戦略(全社戦略)と経営理念のピラミッド

事業戦略や機能戦略も含めた経営戦略の全体像については、こちらの記事もご覧ください。

経営戦略とは?企業戦略・事業戦略・機能戦略の違いと意味:階層構造を図解

企業戦略の具体例

具体的な全社戦略の例としては、

  • 財務戦略
  • M&A戦略
  • 多角化戦略

などがあります。これらの他にも、事業を飛び越えて会社全体に影響する戦略は、全社戦略(企業戦略)と呼びます。

財務戦略

財務戦略は、どこからお金を調達するのかを考えたり、どの事業にどれくらいの予算を割り振るかなどを考えます。

例えば、会社が事業拡大を行いたいときには、まとまった資金が必要となります。

そのための資金の調達方法としては、

  • 手元にある現金を使う
  • 持っている有価証券を売却して現金を手に入れる
  • 銀行から借り入れを行う
  • 社債を発行してお金を借りる
  • 株式を発行して市場からお金を調達する
  • 創業者が私財を投げ打つ
  • 親会社にお金を入れてもらう

などなど、資金を調達する方法は様々です。

これらの中から、事業リスクを考慮しながらどのような配分で調達するかなどの戦略を立てます。

M&A戦略

M&A戦略では、どの会社を買収するか、あるいはどこと合併するか、業務提携を行うかなどを考えます。

例えば、技術開発が間に合わなければライバルにシェアを奪われてしまう局面では、会社はどうすべきでしょうか?

その対応策の1つとして、M&Aがあります。

すでに技術を持っている会社があれば、その会社を買収することですぐに技術を手に入れることができます。もちろん買収や合併は簡単なことではなく、様々なリスクがついて回ります。しかしそのリスクを上回るメリットを手に入れることが出来るかもしれません。

このようにM&Aを中長期的に戦略として実行する会社もたくさん存在しています。

多角化戦略

多角化戦略では、新たな事業分野として何に投資するか、あるいはどの事業から撤退するかなどを考えます。

多角化戦略で代表的な考え方として「アンゾフ・マトリックス」と呼ばれるフレームワークがあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

アンゾフのマトリクスとは?市場浸透・市場開拓・製品開発・多角化戦略

例えば、1つの事業が順調に成長した場合、さらに経営を安定させるために別の新しい事業に多角化することを考えるかもしれません。

その別の新しい事業を始めるには、

  • 新たに人を雇って事業を立ち上げる
  • 既存事業から少数精鋭を集めて立ち上げる
  • 別の事業者からノウハウを取得てして立ち上げる

などなど、様々な選択肢があります。

さらにそれはどのような分野に参入するのか、既存事業との相乗効果は期待するのか、どのような撤退条件を設定するのかなど、戦略として様々な事柄を組み上げなければなりません。

また多角化戦略で必要な考え方として「範囲の経済性」というものがあります。

範囲の経済とは?具体例と多角化戦略によるシナジー効果との違い

こちらの記事も併せてご覧ください。

企業戦略の立案

全社戦略は会社の行く末を決定づけます。そのため全社戦略の立案には、経営者の戦略的意図、経営者の価値観、経営理念など、戦略のさらに上にある概念がベースになります。

それらの上位概念に基づいて、経営者は全社戦略の意思決定を行います。全社戦略は会社全体の経営資源のトレードオフを決定付けます。

ある事業により大きな投資を行えば、別の事業の予算は削減されます。あることを成し遂げようとすれば、別の何かを諦めなければならないかもしれません。

トレードオフによって社内では既得権益によって特をする人もいれば、仕事がなくなったり会社を去る人も現れます。

そのような状況で社員の心をつなぎとめるのは、経営理念であったりビジョンであったりします。大胆な全社戦略を実施する場合には、戦略の上位概念にあたる経営理念の浸透が必ず必要になります。

経営理念 経営理念とは?ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の意味の違い

また経営理念などはあまり変化しない一方で、外部環境は刻一刻と変化していきます。全社戦略は外部環境の影響を無視することはできません。そのため外部環境の分析も必要になります。

経営資源の分析についてはVRIO分析がおすすめです。

VRIO分析とは?やり方と具体例をフレームワークでわかりやすく図解

外部環境の分析にはPEST分析がおすすめです。

PEST分析とは?外部環境分析のやり方:無料テンプレートあり

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