経営理念とは?ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の意味の違い

経営理念

だいぞう

経営理念とは、「企業理念」「経営哲学」「社是」「クレド」などとも呼ばれ、

  • ミッション:社会的使命
  • ビジョン:組織の将来像
  • バリュー:価値観・行動指針

という3つの要素を明文化したものです。英語では「Corporate philosophy」と表現されます。

ここでは「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の違いと、企業理念の意味を解説します。

企業理念=ミッション+ビジョン+バリュー

経営理念とは、企業の理想とするあり方や進むべき方向性を定めたものです。

呼び方としては、「企業理念」「経営哲学」「経営方針」「経営思想」「社是」「クレド」「フィロソフィー」…などなど様々です。

経営理念は明文化され、その企業の社員やステークホルダー(利害関係者)に共有されるのが一般的です。しかし全く明文化されなくても、経営者の行動や言動によって社員に浸透している場合もあります。

経営理念は2つの軸で説明することができます。

1つ目の軸は「行動」と「目的」、もう一つの軸は「社会的」と「組織的」です。この2つの軸で構成されたフレームワークを「MVVBマトリクス」と呼びます。

このマトリクスからは4つの要素が生み出されます。

  • 社会的 × 目的 = ミッション(使命)
  • 組織的 × 目的 = ビジョン(将来像)
  • 組織的 × 行動 = バリュー(価値観)
  • 社会的 × 行動 = ビジネス(事業)

この4つのうち「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を合わせて経営理念と呼びます(上図の黄色い部分)。なお「ビジネス」は、実際に行なっている様々な事業のことです。

  • ミッション:社会に対してどのように貢献したいか
  • ビジョン:組織が理想とするのはどんな姿か
  • バリュー:組織はどのような価値観に基づいて行動すべきか

ここでは、この3つの要素を合わせて経営理念と呼んでいますが、どの企業も全て揃っているわけではありません。

この3つの要素のうち、1つ以上が存在していれば一般的に「経営理念(=企業理念)」と呼ばれます。

これらの3つの要素以外にも、「スローガン」や「ポリシー」などと呼ばれるものも、経営理念に含まれることがあります。

補足

一般的には、経営理念=企業理念として扱われます。厳密に言えば、経営理念の企業版が企業理念です。経営理念は企業だけでなく、非営利組織・チーム・団体などでも共有されます。

MVVBサイクル

「ミッション」「ビジョン」「バリュー」「ビジネス」は、お互いに影響しあいます。その影響の循環する様子を「MVVBサイクル」と呼びます。そのためピラミッドのような構造ではなく、環状になっています。

経営理念のMVVBサイクル

ミッションをピラミッドの頂点にして説明されることが多いですが、何もないところからミッション(社会的使命)が生まれることはなかなかありません。

多くの企業は、一番初めに「ビジネス」が存在しています。社会の中でビジネスを行なって、社会とのコミュニケーションを取ることで、経営者や従業員は自分たちの社会的使命を感じ始めます。そのようにして徐々にミッションが形成されます。これが「ビジネス → ミッション」の流れです。

またある経営者は、別の経営者が作り上げた組織を理想としたり、行動指針をそっくりそのままコピーして自社のビジネスに適用したりします。これは「ミッション→ バリュー」「バリュー → ビジネス」の流れになります。

もちろん初めからミッションである社会的使命に駆られて、起業する人だっています。

つまり「ミッション」「ビジョン」「バリュー」「ビジネス」は、どこからスタートしても大丈夫ですし、スタート地点は企業によって様々です。そこからMVVBのサイクルが回り始め、お互いに影響を与え合うことで最終的には明確な経営理念が生まれます。

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