経営資源とヒト・モノ・カネ・情報の意味の違いとは:経営戦略遂行の源泉

ビジネス書を読んでいると出てくる「経営資源」という言葉。そして日常的な場面で使われる「ヒト・モノ・カネ・情報」という言葉。いずれも会社の内部資源を表している用語ですが、どのような違いがあるのでしょうか?

違いを一言で表すと

「経営資源」と「ヒト・モノ・カネ・情報」の違いを一言でいうと、

  • 経営資源:人材 + 在庫や設備 + 運営資金 + 組織力
  • ヒト・モノ・カネ・情報:人材 + 在庫や設備 + 運営資金 + ノウハウ

となります。

組織としての力に着目しているか、ノウハウなどの情報資源に着目しているかの違いがあります。しかし内容はほとんど同じです。

いずれも経営戦略を遂行するために重要な要素です。これらを有効に活用するためには、定期的な再配分と経営者による意思決定を必要とします。

ここからはそれぞれを、より詳しく見ていきましょう。

経営資源

経営資源とは、その企業の「財務資本」「物的資本」「人的資本」「組織資本」のことです。この定義は、内部資源の活用で著名なジェイ・B・バーニー教授の著書で広く知られました。

バーニー教授は著書で、

一般に企業の経営資源(firm resources)とは、すべての資産、ケイパビリティ(能力)、コンピタンス、組織内のプロセス、企業の特性、情報、ナレッジなど、企業のコントロール下にあって、企業の効率と効果を改善するような戦略を構想したり実行したりすることを可能にするものである。

企業戦略論(上)基本編 p243 ジェイ・B・バーニー著 岡田正大 訳 より

と定義しています。

つまり企業の内部にあって戦略に使えるものは、すべてひっくるめて「経営資源」と呼びます。

そしてその経営資源は「財務資本」「物的資本」「人的資本」「組織資本」の4つのカテゴリーに分類できるとされています。後述する「ヒト・モノ・カネ・情報」のうち、「ヒト・モノ・カネ」に相当します。

財務資本

財務資本(Financial Capital)は、企業が戦略を実行する時に使うことができる金銭的な資源のことです。株主から集めた資本金をはじめとして、銀行からの借入金や、これまでの儲けなど出どころは様々です。

物的資本

物的資本(Physical Capital)は、工場や設備の他に立地なども含まれます。立地が良ければ戦略を優位に運ぶことができます。物流に適している立地や、集客に適した立地、協業がしやすい立地などビジネスごとに優位になる要素は様々です。

人的資本

人的資本(Human Capital)は、「個々の」経営者や管理職、従業員がもつ経験・知識・ノウハウなどのことです。

組織資本

組織資本(Organization Capital)は「個人の集合体」として、組織構造や管理システム、外部との関係性などのことです。人的資本が集合したものが組織資本ですが、個々の人物だけでは実現できない特徴を含んだものが組織資本となります。

ヒト・モノ・カネ・情報

ヒトモノカネ情報とは、日本国内で定着している経営資源を構成する4つの要素のことです。「ヒト」は人材や組織、「モノ」は在庫や設備、「カネ」はお金、「情報」は技術やノウハウのことです。

ひと昔前は、経営資源といえば「ヒトモノカネ」でした。そこに「情報」が加わって、いまでは「ヒトモノカネ情報」の4つが経営資源を指すことが多くなっています。さらに別の要素を加えて5つとか6つにしている場合もありますが、内容が重複していることもあるので必要に応じて使い分けましょう。

ヒト

4つの中でも、最も重要な要素とされています。「ヒト」つまり人材は、残りの3つの要素を生み出したり消費したりする唯一の存在だからです。

「モノ」「カネ」「情報」を活かすも殺すも「ヒト」次第。だから採用・配置・教育・評価などの人事施策は、経営資源全体をうまく動かすために重要です。

また組織構造も「カネ」「モノ」「情報」の流れに大きな影響を与えます。人事だけでなく、組織そのものの構造も考えなければなりません。

モノ

主に在庫や設備などが「モノ」に該当します。「ヒト」が「モノ」に手を加えることによって、価値が生み出されます。その価値が「カネ」に変換され、ビジネスの循環が生まれます。

カネ

「カネ」は現金はもちろんのこと、どのように資金を調達してどう活かすのかを考える財務の視点も外すことはできません。企業を循環する血液のような「カネ」ですが、他の3つの要素「ヒト」「モノ」「情報」を動かすために「カネ」は必ず必要になります。

情報

情報は社内で生まれるものもあれば、社外から入ってきて蓄積されるものもあります。

研究結果やノウハウは社内で蓄積されます。顧客のデータ、取引先や競合の情報などは外から入ってきます。ビジネスを行えば様々な情報が生まれ得られますが、その情報を大切な経営資源として活用する必要があります。

経営資源 ≒ ケイパビリティ?

バーニー教授は著書の中で「経営資源という語とケイパビリティという語は同義語として扱う」と述べています。一方でケイパビリティと経営資源を区別する書籍や論文もあるため、誰が主張しているかによって異なることに気をつけましょう。

ケイパビリティについては、こちらをご覧ください。

ケイパビリティとは?コアコンピタンスとの違いと意味:図解で比較して理解しよう

経営資源の分析

経営資源の分析方法として、バーニー教授のVRIO分析があります。VRIO分析では、単純にどんな経営資源があるかだけではなく、その経営資源が競合と比べて優位なのか劣位なのか(強みなのか弱みなのか)判別することができます。

VRIO分析とは?事例と経済価値・希少性・模倣困難性・組織で強みと弱みを見分けるやり方

おすすめの書籍

このページで引用したバーニー教授の著書は、下記になります。