タイミーが上場までに行った資金調達
タイミーは、上場までに数々の資金調達に成功しています。
まず正式リリースの翌週の2018年8月10日に、5600万円を調達。
そして半年も待たずして2019年1月10日に、シリーズAラウンドとして3億円を調達。
さらに同年10月31日に、シリーズBラウンドとして20億円を調達します。
その後、コロナ禍で大きく落ち込むものの、2020年9月14日にシリーズCラウンドとして13.4億円を調達。
さらにコロナ禍を乗り越えて、2021年9月15日にシリーズDラウンドとして53億円を調達します。
この結果、シリーズDラウンドを終えた時点でのタイミーの推定評価額は290億円あまりとなっています。
タイミーの強さは完成されたビジネスモデル
ここまでタイミーが、コロナ禍に見舞われながらも大きな事業成長を成し遂げられた要因は、リリース当初からほぼ完成されていたビジネスモデルによるところが大きいように思います。
ここで改めて、タイミーのビジネスモデル図解を見てみましょう。
ご覧の通り「相互評価データ」と「特許」の存在が、競争優位を生み出す源泉となっています。とくに特許は模倣困難性が高く、ビジネスモデルの持続性を高める盾のような存在です。
また今後起こりうる環境変化に対しても、コロナ禍で飲食店から軽作業にターゲットをシフトさせたように、時勢に合わせてスキマバイトが求められる分野に柔軟にシフト・拡大していくことが基本戦略となるでしょう。
鍵はスキマバイトの普及と相互評価データの活用
タイミーが今後の事業成長を目指す鍵は、
- スキマバイトという考え方の浸透
- 日々更新される求人情報と相互評価データの活用
にあるように感じます。
スキマバイトという考え方の浸透
まず「スキマバイト」という概念ですが、まだまだ世間一般には浸透していないように感じます。しかし、タイミーが同じ市場で継続的な成長を目指すのであれば、スキマバイト市場そのものが拡大する必要があります。
そのためには、雇用する側である事業者が業務プロセスを見直し、スキマバイトの枠を用意することが求められます。他方、求職者側も暇つぶし感覚で、気軽に2〜3時間働くということが選択肢として思いつく状態にならなければいけません。
これに対しタイミーは、スキマバイトを普及させるために、2021年2月より「ギグワーク研究所」を立ち上げました。(後に「スポットワーク研究所」に名称変更)
加えて、スキマバイトに関する情報発信をするため「ギグラボ」というスキマバイトに関する自社メディアの運営も始めています。(後に「タイミーラボ」に名称変更)
このような地道な取り組みをベースにしながら、様々な業界、業種、職種のスキマバイトを発見・開発することで、スキマバイトが一般的になる領域を広げていくことが必要だと思います。
日々更新される求人情報と相互評価データの活用
毎日膨大な量が蓄積されていく求人情報と相互評価データは、タイミーにとって宝の山になるはずです。
特定の求人情報の増減は、その業界の最終顧客のニーズの増減を反映している可能性があります。また相互評価データの変化は、実務上の問題点が示唆されているのかもしれません。
つまり、膨大な量の情報の変化を分析すれば、その先に別の大きなビジネスの可能性が隠れているかもしれないということ。
例えば、ある業界で特定の単純作業の求人広告が増加傾向にあり、マッチング後のワーカー(労働者)からの評価が低かった場合には、その単純作業を設備導入で自動化したり、ロボットで代替できるかもしれません。もしそうであれば、機械設備メーカーと事業提携することで、その業界に新たなソリューションを提供できる可能性があります。
このように求人情報や相互評価データの活用は、必ずしも現在のビジネスモデルを強化するわけではないかもしれませんが、中長期的なタイミーの事業成長の鍵となるはずです。