自動販売機オペレーターのビジネスモデル図解:専業・兼業・オーナーの違い

自動販売機の設置ロケーションの開拓

まず重要なのが、自動販売機の設置場所(設置ローケーション)です。自販機の設置場所を確保できなければ、ビジネスになりません。

しかし近年では、自動販売機は普及しきっており、設置できそうな場所にはすでに埋まっているような状況。設置場所の新規開拓は非常に難しくなってきています。

 

自販機オペレーターは設置場所の奪い合い

上の図では、

  • 設置可能ロケーション」が増えるほど、新規開拓して自社の「設置済みロケーション」を増やすことができる
  • 設置済みロケーション」が増えると、「設置可能ロケーション」が減る
  • 競合のシェア」が増えても、「設置可能ロケーション」が減る

ということを表しています。

設置可能ロケーション」は、新しい商業施設がオープンしたり、新しい駐車場ができたりすると増加します。他にも、オフィスビルのテナント企業が入れ替わった時や、新しい工場が建設された時なども設置可能なロケーションは増加します。

しかし、どのロケーションでも自販機オペレーターが殺到するため、すぐに設置済みとなってしまいます。ちなみに昔は屋外に設置される自動販売機も多かったのですが、最近は新規で設置する自販機はほぼ屋内となっているようです。

その理由は、自販機利用者の減少にあります。

自動販売機の利用者は減り続けている

自動販売機で売り上げを伸ばすためには、当然ながら自動販売機の利用者が増加傾向である必要があります。

自動販売機の利用者は減少し続けている

上図では、

  • 設置済みロケーション」が増えて、且つ「自販機利用者」が増えれば「飲料販売数」が増える
  • 飲料販売数」が増えれば「利益・資金」が増える

というサイクルを表しています。

しかし現状は逆の状況

まず、前述のとおり「設置可能ロケーション」については奪い合いになっており、新規のロケーションはなかなか増えません。さらに「自販機利用者」は2000年代の初めから減り続けています。

その大きな要因は、

  • コンビニエンスストアの増加
  • ディスカウントストアやドラッグストアの台頭
  • ペットボトルの普及
  • ネットショップの普及

です。

コンビニエンスストアが屋外の自動販売機を駆逐する

まず最も影響が大きいのはコンビニの増加です。もしあなたが道を歩いていて喉が渇いた時に、目の前に飲料の自販機があったとしても、その数十メートル先にコンビニがあれば自販機を素通りしてしまう方も多いでしょう。

コンビニの方が飲料のバラエティも多く、飲料以外も買うことができます。しかも値段は変わらない。そうなると路上の自動販売機を利用する人は減ります。

実際、駐車場の隅や店舗の軒先などの屋外に設置されている自販機は赤字が多いと言われています。近年の自販機の設置のほとんどが屋内になっているのも、これが理由です。

ペットボトル飲料を大量に安く購入できる消費者

さらにディスカウントストアやドラッグストアなど、飲料を格安で大量に販売する業態が台頭し始め、飲料をまとめ買いする消費者も増加しました。さらに拍車をかけたのがペットボトル飲料の普及です。

昔の飲料は缶が主流で、一度開けると飲み終える必要がありました。しかしペットボトル飲料が主流の現在では、安く箱買いをして自宅に保管しておき、自宅から持ち出す事が可能です。さらに、外出先で喉が渇いたら、鞄からペットボトルを取り出して飲む事ができます。そのため、路上の自販機で飲料を買う消費者はさらに減りました。

近年ではネットショップの普及も追い打ちをかけています。ディスカウントストアほど安価ではないものの、箱買いした飲料を自宅まで届けてくれるという利便性を選ぶ消費者も増加しています。

自販機利用者の減少トレンドをどう乗り切るか

いずれにしても、自動販売機の利用者が減少している流れを止めることは難しいでしょう。

自販機が提供する「近くですぐに飲める」「温度管理がされている」という価値は、コンビニなどが代替しているため、自販機利用者を増やすためにはそれ以外の価値を提供する必要があります。

次のページからは、自動販売機オペレーターの業務を支える活動について説明します。

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