Amazonのビジネスモデルの基本メカニズム
Amazonのビジネスモデルの基礎はネットショップ(インターネット小売)です。
大多数のネットショップも同様ですが、
- 広告宣伝活動によって新規顧客を呼び込む
- 新規顧客がサイトを訪問して商品販売数が伸びる
- 商品販売数が伸びれば利益が出て、さらに広告宣伝活動を行う
といったサイクルが存在しています。
図解すると以下のとおり。
Amazonも例外なく同じで、現在でもネットやテレビなどで広告を打ち、新規顧客を取り込もうとしていますよね。
EC市場の持続的な拡大に乗じたAmazon
しかし、大多数のネットショップと違うのは、ネット小売に参入したタイミング。
Amazonの創業は1994年。そもそもインターネットの存在を知っている人なんて少数派の時代です。
しかしベゾス氏はインターネットの可能性に気づきました。
私は1994年春にウェブの利用が年間2300%のペースで拡大していることを示す驚愕の統計データを発見して、衝撃を受けた。物事はそんなに速く成長するものではない。これは極めて異例なことだ。それがきっかけとなって、私は『その成長率を背景として理にかないそうな事業計画は、どのようなものだろうか』と考え始めた。
こうして、インターネット小売事業への参入を決めたのです。
その後インターネットが爆発的に普及した結果、ネットショップ利用者もどんどんと増えていきました。
ちなみに1994年当時、インターネット利用者は全世界でわずか300万人(半数はアメリカ国内) でした。それが30年後の2024年では、なんと全世界で54億人 です。
つまり、インターネット利用者が1,800倍(180,000%)に増えたということ。言わずもがな、ネットショップの利用者はもっと増えているでしょう。
価格と品揃えで価値を生み出すAmazon
広告宣伝をして新規顧客を獲得するだけでは、事業はなかなか儲かりません。
なぜなら新規顧客を獲得するのはお金がかかるからです。知らない人に存在を知ってもらい、さらに実際に買ってもらうというのは難易度が高い。
だから既存顧客にリピート客になってもらう必要があります。
それを表したのが下図です。
このように、
- 営業活動を行なって取引先数を増やす
- 取引先数が増えれば在庫量が増える
- 在庫量が増えれば品揃えが増え、配送期間は短くなる
- 取引先数が増えれば仕入れの交渉力が上がる
- 仕入れの交渉力が上がれば商品価格を下げやすくなる
といった流れが生まれます。
その結果、ベゾス氏が重視している、
- 商品価格
- 品揃え
が改善し、顧客が喜んでくれる。そして喜んだ顧客はリピート客として戻ってくるのです。
…と、ここまでは(参入時期を除き)ほとんどのネットショップと大きな違いはありません。
取り扱う商品特性にもよりますが、インターネット小売業においては基礎的なメカニズムをご理解いただけたかと思います。しかしここから後の施策が、他のネットショップと一味も二味も違うところ。
次のページから、Amazonのビジネスモデルの真骨頂を徐々に明らかにしていきます。