だいぞう
SmartHR(スマートHR)は、人事や労務を効率化するクラウド上のサービスです。
2021年6月に156億円の資金調達に成功し、推定評価額1731億円のユニコーン企業となりました。ここでは事業立ち上げからユニコーン企業になるまでのビジネスモデルと戦略の変遷を解説します。
SmartHR(スマートHR)は、IT系ベンチャー企業の株式会社SmartHRが開発・サービス提供を行うクラウド人事労務ソフトのことです。
この記事の執筆時点で、採用企業が4万社を超えているので、人事や採用に関わる読者の皆さんの中には実際に会社で使われている方もいるかもしれませんね。
今回は、2015年にたった3人で立ち上げたSmartHRが、わずか6年で累計238億円を投資家などから調達し、評価額1731億円の日本有数のユニコーン企業に成長するまでのビジネスモデルの変化をわかりやすく図解します。
なお、下記のnoteにはサクッと読めるダイジェスト版も公開しています。
SmartHRのビジネスモデルとは?
SmartHRを一言で表現するなら、労務関係の面倒でわかりづらい書類手続きがとっても楽になるソフトウェア。
会社の人事労務担当者は、雇用契約、社会保険、年末調整などなど、年がら年中、面倒な労務関係の書類の書類に追われています。それをITの力で効率化して、人事労務担当者を助けるのがSmartHRです。
こちらの動画を見ると、どんなサービスなのかイメージをつかめるかもしれません。
このSmartHRですが、冒頭でもご紹介したように2021年6月に投資家などから156億円を調達し、推定評価額1731億円のユニコーン企業となりました。ちなみにユニコーン企業とは、創業10年以内で評価額1000億円を超える未上場のIT企業のこと(ウィキペディア:ユニコーン企業 )です。
SmartHRを開発運営する株式会社SmartHR(株式会社KUFUから社名変更)は、2013年1月設立なので、創業から約8年でユニコーン化。SmartHRのリリースは2015年11月ということで、サービス開始から数えれば約6年でユニコーン化したことになります。
今回は、このSmartHRのリリースからユニコーンになるまでのビジネスモデルと事業戦略の変遷とそのビジネスモデルを追っていきたいと思います。
たった3人で始まったSmartHR
SmartHRの開発は、2015年ごろまで遡ります。こちらの記事 によるとリリース前の2015年7月時点では、社長+エンジニア2名という状態で、労務関係の課題を手探りで把握していた状態だったとのこと。
その後、クローズドβ版を200社ほどに提供 しながらサービスの改善を重ね、2015年11月に「TechCrunch Tokyo 2015」というイベントで最優秀賞に輝くと同時に正式リリースを果たしました。
この正式リリース時のSmartHRのビジネスモデルを図解すると以下の通り。
ちなみにビジネスモデルの図解は、システム思考におけるループ図という手法をベースに、独自にアレンジした形式で表現しています。
以下の記事でループ図について詳しく解説していますが、このまま読み進めてもまったく問題ありません。
それでは順を追って、戦略とビジネスモデルを読み解いていきましょう。