戦略その1:ターゲットを法人に絞りこむ
「社長のおごり自販機」という名前の通り、社長が従業員にドリンクをおごるというコンセプトのこのサービス。
オフィス内に自販機を設置する「法人」がメインターゲットとなります。
だいぞう
新しいビジネスモデルでは、近年増加傾向にあるオフィス内設置に的を絞ったということですね!
しかし市場は飽和状態ですし、新規の取引先に提案している感じでしょうか?
新規の取引先だけではないですよ。
自販機の役割が違うので、既存の取引先の追加設置や置き換えなども提案しています。
サントリー 森さん
だいぞう
なるほど!
「社内コミュニケーションを活性化する」という新しい機能を持っているので、追加の設置を提案できますね。もし増設できなくても、既に設置されている自販機と置き換えることで、売上の向上を図れる…。
もっと言えば、他社には無いサービスなので、他社の自販機のシェアを奪うことも可能ですね!
先ほどの一般的な自販機オペレーターの例では「設置ロケーション」ということで、市場をセグメンテーション(細分化)せずにざっくりと解説しました。
しかし「社長のおごり自販機」はオフィス内に設置するため、「法人」という形でセグメンテーションを行なっています。
こちらを図で表すと以下の通り。
すでに通常の自販機を設置しているかどうかは重要ではないため、「営業可能法人数」と「(社長のおごり自販機の)設置済み法人数」という形でループの要素が変化しています。
社内コミュニケーションを活性化する機能を持つ「社長のおごり自販機」という新たなサービスなので、「競合のシェア」も気にする必要はありません(※図の右上から削除しています)。
このように顧客のセグメントを絞り込んだことによって、飽和している「設置可能ロケーション」から、競合が存在しない「営業可能法人数」へと営業活動の対象が変わりました。
もっと厳密に表現すれば「社内コミュニケーションの活性化が経営課題となっている法人」が営業の対象となったということ。
通常の「オフィス内に空きスペースがある法人」や「オフィスの近くにコンビニなどが無い法人」に対する営業とは、訴求点が全く異なることがわかります。