サントリー「社長のおごり自販機」のビジネスモデル図解:仕組みはサービスを商品で課金する収益モデル

戦略その3:収益モデルがB2B2EからB2Bに変化

実はこの「社長のおごり自販機」、お金や流れ方も通常の自販機とは違います。

通常のオフィス内設置の自販機は、

  • サントリーが企業に自販機を設置する(Business to Business)
  • 企業が設置した自販機に従業員がお金を払う(Business to Employee)

ということで「B2B2E」の収益モデルとなります。

つまり、旧来の自販機の設置報酬として売上の一部を企業が受け取る場合には、企業が自販機オペレーターから自販機と商品を提供してもらい、従業員に対して飲料小売のビジネスを行うのと同義です。

他方、「社長のおごり自販機」の収益モデルはどのようになっているのでしょうか?

だいぞう

「社長のおごり自販機」では、従業員の皆さんはお金を払わずに飲料が飲めるわけですが、名前の通り「社長のおごり」となるわけですよね?

そのとおりです。

正確にいえば、ご利用いただいた分の費用が法人に対して請求されます。

サントリー 森さん

だいぞう

つまり従来の「B2B2E」の収益モデルから、法人が法人にサービスを提供する「B2B」に変わったということですね。

オフィスにある複合機(コピー機)と同じビジネスモデルと言えば、イメージしやすいかもしれません。

サントリー 森さん

複合コピー機は、印刷した量に応じて費用を請求するという従量課金制の収益モデルを採用しています。

そして「社長のおごり自販機」も同じ。コミュニケーションが発生した量に応じて費用を請求する、従量課金制の収益モデルなのです。

社長のおごり自販機の戦略その3:B2B2EからB2Bへの収益モデルの変化

上の図では、「社内交流」が生まれると同時に「飲料販売数」が増加し、それがそのまま「利用コスト」となることを表しています。

これは、

  • 飲料は商品ではなくコミュニケーション媒体

であり、

  • 自販機は飲料小売機ではなく従量課金システム

ということ。

この利益モデルの発想には感動すら覚えます。私自身、自販機が従量課金システムになるなんて考えもしませんでした。

ちなみに、社内コミュニケーションを活性化させるには、フリークエンシー(利用頻度)が高い消費財媒体とする必要があります。

飲み物を飲むという行為は、職場で交流を図る頻度としてはちょうど良いんですよ。

サントリー 森さん

だいぞう

たしかに!

1日に何度か「ちょっと息抜きに」というタイミングで飲み物が欲しくなりますよね。

しかも飲料2本分の金額も、1回のコミュニケーション発生コストとしても高くなくて絶妙です。

300円前後で、

  • 飲料2本
  • 社内コミュニケーション

の両方が得られるわけですから、社内交流の活性化に悩む経営者としては嬉しいですよね。

しかも「社長のおごり」ですから、経営者は従業員から感謝されるという状況にもなります。一石二鳥どころか三鳥です!(サントリーだけに、さんとり…?)

ちなみに看板部分は様々なバリエーションが存在しています。

これだけバリエーションがあると、経営者だけでなく管理職層全般に訴求できますね。

1 2 3 4 5 6 7 8