ソリューション志向顧客
ソリューション志向(Solution-Oriented)顧客とは、
- 製品やサービスの効果や信頼性を重視する顧客
のことです。
ソリューション志向の顧客は、価格志向顧客のように低価格であることを望みます。しかしそれ以上に、製品やサービスがもたらす効果や信頼性も重視する傾向にあります。
別の分類では調達志向(Procurement-Oriented)とも呼ばれ、購買担当者は製品やサービスの継続的な品質改良やコスト削減を求める傾向にあります。
顧客がソリューション志向顧客になる理由としては、
- 価格と品質が必ずしも比例しないものを調達しようとしている
- 調達のための費用よりもそれ以外の費用の影響が大きい
といったことが考えられます。
どの供給業者で購買しても結果が同じなら顧客は価格に敏感になり、先ほど紹介したような価格志向顧客になってしまいます。しかし同じ価格だったとしても事業への影響にばらつきがあれば、価格だけでなくその製品やサービスがもたらす効果や信頼性も重視するようになります。
また、製品やサービスはそれだけで完結しないものもたくさんあります。
例えば、大量の製品を工場に導入するとしても、その製品の価格だけでなく、運搬費用・設置費用・トレーニング費用・メンテナンス費用などなど、その製品を導入することに伴う様々な費用が長期に渡って必要になります。このような場合には、いくら製品を低価格で購買できたとしても、その他のコストが嵩むことで割安感がなくなってしまいます。
そのためソリューション志向顧客は、製品やサービスがもたらす効果と、付随する様々なコストをトータル的に考慮して、価格が安いか高いかを判断します。
コンサルティング販売での対応
このようなソリューション志向顧客への対応は、
- コンサルティングで顧客の課題を解決することで価値を高める
ようなコンサルティング販売(Consultative selling)が適しています。
これは、価格志向顧客への対応のような「省いて安くする」といった方法の真逆で、「別の価値を加えて相対的に安く感じさせる」という方法になります。
例えば、製品やサービスの導入に必要な移行作業や、導入に伴う従業員のトレーニングなどもトータルに請け負うことで、顧客の心配事が減って価格の割安感が高まります。
また在庫管理や受発注作業が煩雑になるような製品であれば、供給業者が在庫管理システムや自動受発注システムを提供することもあります。
このように顧客が持つ課題をコンサルティングによって把握し、課題を解決するソリューションを提供することで、取引全体での割安感や価格への納得感を与えることができます。
ゴールド・スタンダード顧客
ゴールドスタンダード顧客とは、
- 製品やサービスの品質やパフォーマンスに高い水準を持つ顧客
のことです。
「ゴールド・スタンダード(Gold standard)」を日本語に訳すと、
- 金本位制:金を通貨価値の基準とする貨幣制度
- 至適基準:比較の基準になる方法や手段のこと
といった意味がありますが、ここでのゴールドスタンダードは後者の「至適基準」に近い意味になります。
つまり、顧客自身が製品やサービスの品質やパフォーマンスに関する「ゴールドスタンダード(適切さの判断基準)」を持っているので、その基準を満たすものであれば購買を検討するし、基準を満たすことができなければ購買に至らないような顧客を指します。
このような顧客は、
- 精密機器を取り扱う業界
- 厳しい安全基準を満たさなければならない業界
などで戦っている顧客に多く見られます。
ゴールドスタンダードを重視する顧客は、顧客自身が生み出す製品やサービスに供給業者の製品やサービスの品質が大きな影響を与えることを理解しています。そのため、購買に対して非常に厳しい評価基準を設けて、自分たちの製品やサービスの質が下がるリスクを抑えようとします。
品質販売での対応
このようなゴールドスタンダード顧客に対しては、
- 顧客の評価基準を理解して顧客の期待を上回る品質を提供しつづける
といった品質販売(Quality selling)での対応が要求されます。
まず最も重要なのは、製品やサービスそのものの品質です。供給業者は日々のたゆまぬ改善によって、常に品質を最高のものに高めておく必要があります。そうすることでゴールドスタンダード顧客の高い要求にも答えることができつようになります。
しかしそれだけでなく、販売前後のサポートや納品の信頼性も重要です。ゴールドスタンダード顧客は製品やサービスそのものだけでなく、それに付随する事柄に対しても厳しい目を向けます。そのため全てにおいて高い品質を維持し、抜かりなく顧客の期待に応えることが重要です。