消費者が頼る情報源とは?内部探索と4つの外部探索

情報源

消費者は、商品やサービスを利用する際に情報の収集を行います。

消費者の情報収集の方法は、

  • 内部探索:自分自身の記憶や知識から情報を集めること
  • 外部探索:自分以外の情報源から情報を集めること

2つのタイプに分けることができます。

さらに外部探索の情報源は、

  • 個人的情報源:家族、友人、知人、同僚、SNSの書き込みなど
  • 商業的情報源:広告、ホームページ、販売員、パッケージなど
  • 公共的情報源:マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)など
  • 経験的情報源:試供品、試乗、試用、体験、デモンストレーションなど

4つのグループに分類することができます。

ここでは様々な消費者の情報源について、わかりやすく説明します。

消費者の情報収集

消費者は製品やサービスを利用する前に、それを利用すべきかどうか判断するために情報を収集します。

この情報収集の段階では、消費者はすでに「ウォンツ(課題や目的を解決するための具体的な手段に対する欲求)」が明確になっており、

  • 具体的な問題を解決するための機能
  • その機能を比較するための条件
  • その他に期待している事柄

などの情報を探します。

情報収集の方法は、

  • 内部探索:自分自身の記憶や知識から情報を集めること
  • 外部探索:自分以外の情報源から情報を集めること

の2つのタイプに分けることができますが、先に内部探索を行って、情報が不十分だと判断したら追加で外部探索も行います。

つまり、

  • 内部探索 → 外部探索

という順番で情報を収集します。

内部探索

皆さんも経験があると思いますが、お店で商品を手に取った時は、多くの人がまず自分の記憶などをたどるはずです。

例えばコンビニで新しい炭酸飲料を見つけた時に、

  • 「お!期間限定で新しい味が発売されてるぞ!」
  • 「でも、このシリーズは期間限定のフレーバーはハズレが多いんだよな…」
  • 「しかも、いつもの商品より値段が高い!…今日はやめておこう。」

というように、消費者は過去の記憶や経験から判断しようとします。これが「内部探索」です。

内部探索だけで消費者が買ってくれる製品やサービスは、

  • 価格が安い
  • 品質にバラツキがない

という特徴を持っています。

例えばゴミ袋などの日用品が代表的な例です。

ゴミ袋は比較的安い価格帯であり、もし失敗したり間違って買ったりしても損失は少なくて済みます。またどのゴミ袋を買ったとしても「全く使い物にならない」なんてことはほとんどありません。

そのため、多くの消費者はお店でゴミ袋を買おうとする時に、

  • 「あれ?いま家で使っているゴミ袋ってこれだっけ?」
  • 「大きさは確か…30リットルだったはず。」

と少し不安でも、記憶を辿って内部探索だけで適当に購入します。逆に、それだけのために自宅まで確認に戻ったり、家族に電話してわざわざゴミ袋のブランドを確認する人は多くないはずです。

これは、

  • 間違った場合の損失 < 外部探索にかかるコスト

だからです。

しかし逆に追加の情報収集をすることで大きな損失を避けることができる場合は、「外部探索」を行います。

外部探索

外部探索は、内部探索では情報が不十分な上に、

  • 価格が高い
  • 品質にバラツキがある

という特徴をもつ製品やサービスを利用する時に行います。

高い買い物をする場合には、失敗すると損失が大きくなります。また品質にバラツキがあれば、失敗する確率が高くなります。

そのため、消費者は内部探索で「自分自身」という情報源だけでなく、外部探索を行って複数の情報源から意思決定を行います。

外部探索での情報源は、

  • 個人的情報源:家族、友人、知人、同僚、SNSの書き込みなど
  • 商業的情報源:広告、ホームページ、販売員、パッケージなど
  • 公共的情報源:マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)など
  • 経験的情報源:試供品、試乗、試用、体験、デモンストレーションなど

という4つのグループに分けることができます。

個人的情報源

個人的情報源とは、

  • 家族
  • 友人
  • 知人
  • 同僚
  • 隣人
  • SNSの書き込み

などの、消費者と個人的なつながりがある人物からの情報のことです。

これは消費者の行動や価値観に影響を及ぼす「第一準拠集団」とも一致します。

個人的情報源は、

  • 情報の信頼性が高い

というメリットがあるため、消費者は情報を製品やサービスを評価するのために使います。

消費者にとって最も簡単な情報収集の方法は、周りの人に意見を求めることです。個人を取り巻く家族・友人・同僚などは、その個人と同じコミュニティ(同じ会社、同じ地域)に属しているため、ライフスタイルや価値観が近くなります。そういった身近な人たちの製品やサービスに対する評価は、消費者個人の評価にも近くなるので、情報の信頼性は高いと言えます。

一方で、

  • 情報量が少ない

というデメリットもあります。

身の回りの人たちが必ずしも目的の製品やサービスを知っているとは限りらないことです。そのため、マイナーな製品やサービスについては十分な情報が得られないことがあります。

しかし近年では、インターネットが発展して以降、オンライン上での個人的情報源も豊富になりました。ソーシャルネットワーク(SNS)では、オフラインでの知り合いとのつながりに加えて、インターネット上だけのつながりも形成されます。

消費者はそれらのオンライン上の情報も取り入れることで、情報量の少なさというデメリットも補うようになっています。

商業的情報源

商業的情報源とは、

  • 広告
  • ホームページ
  • 販売員
  • パッケージ
  • 店頭ディスプレイ

などの売り手が用意した情報のことです。

商業的情報源は、

  • 情報量が多い

ので、消費者は主に比較するために情報を利用します。

目の前に勝手に流れてくるCM、ネットで検索して表示されたホームページ、店頭で接客するスタッフなど、情報の渡し方は様々です。しかしこれらの全てはマーケティング戦略において意図されたものであるはずです。

商業的情報源は、マーケターがコントロールできる代表的な情報源であり、消費者が競合他社の製品やサービスとの違いを認識したり、ブランドイメージを形成したりするなど、多くの役割を持っています。

この商業的情報源は、デジタルマーケティングのトリプルメディアでは、

  • オウンドメディア(Owned Media)自社で管理ができる媒体
  • ペイドメディア(Paid Media)お金を払うことで情報を管理できる媒体

などに該当します。

一方で、商業的情報源のデメリットは、

  • 世の中にあふれすぎていること

です。

情報を発信するのはあなたの会社だけでなく、競合他社も同様です。その製品やサービスの市場が大きければ大きいほど、そして競合他社が多ければ多いほど、消費者の周りは情報であふれ返ります。

そのため売り手が発信した情報が、必ずしも意図した消費者に届くとは限りません。

また、消費者自身もあふれる情報に対して取捨選択を行なっています。

消費者は情報に触れた時に、

  • 選択的注意:人は特定の刺激にだけ選択的に注意を向ける
  • 選択的歪曲:人は先入観に合うように情報を解釈する
  • 選択的記憶:人は自分の態度や信念を裏付ける情報を記憶する傾向がある

という3つのタイプの情報処理を行います。

そのため、売り手は情報を届けるだけでは不十分であり、それがどのように解釈され記憶に留まるかまでもマーケティング活動で考慮する必要があります。

公共的情報源

公共的情報源は、

  • テレビ
  • ラジオ
  • 新聞
  • 雑誌
  • 公共団体
  • 業界団体

などの売り手ではない第三者が発信する情報のことです。

公共的情報源は、

  • 比較的中立性が高い

ため、発信されることで消費者に信用が生まれます。

よくありがちな例としては、それまでは見向きもされなかった製品やサービスでも、テレビで取材されたり新聞で紹介されたりすることで、爆発的に売れるようになることです。

これは消費者が公共性の高い情報に触れることで、

  • 「テレビで取り上げられるくらいだから人気があるに違いない」
  • 「新聞で取り上げられるくらいだから情報は正しいに違いない」

といった、製品やサービスへの「信用」が生まれるからです。

しかし一方で、公共的情報源をあまり信用しない消費者も存在します。

  • 「テレビで取り上げられたのは企業が広告費を払ったからだ」
  • 「新聞は偏った情報しか取り上げないから信用できない」

などと考える消費者も増加しています。

それはインターネットの普及によって、テレビ番組の裏側が暴露されたり、新聞の報道とは異なる事実などが情報共有されて、かつて「公共性が高い」と言われていたメディアの信頼や中立性そのものが低下しているためです。

実際にテレビ以外のマスメディアは利用者が年々減少しており、旧来のような信用を形成しにくくなりつつあります。

そうは言っても、まだまだニュース番組や記事などの影響力は大きく、消費者の信用を形成するために影響力の強い情報源だと言えます。

経験的情報源

経験的情報源とは、

  • 試供品
  • 試乗
  • 試用
  • 体験
  • デモンストレーション

などの、消費者本人の経験による情報のことです。

経験的情報源は、売り手側が意図的に提供できるもう一つの情報源であり、

  • 消費者に実際に製品やサービスを経験させる

という、他の情報源にはない特性を持っています。

消費者は、実際に利用するまで効果を判断できない製品やサービスは、非常にリスクが高いものとして判断します。

そのような場合には、経験的情報源を使って消費者自身に経験してもらうことで、購買を促すことができます。

例えば、化粧品などは実際に肌に塗ってみなければ効果が確認できないため、店頭には試供品やサンプルなどが多く置かれています。またスポーツジムなども、実際に利用してみなければ雰囲気やトレーニング機材の使い勝手などを判断できないため、体験利用をすることができます。

情報収集と緊急性

一刻を争うような緊急時には「価格が高い」「品質がバラつく」製品やサービスであったとしても、外部探索をしない場合があります。

これは外部探索に時間がかかるためです。

これを逆手にとって顧客との接点で「緊急時を作り出す」ことで外部探索をさせない営業手法があります。

例えば、

  • いまここで契約したら値引きしますよ!」
  • 今月中に契約すれば初月を無料にしますよ!」

などの売り文句です。

「いまここで!」「今月中なら!」と売り手側から緊急性を作り出すことで、消費者に内部探索だけで意思決定を迫ります。このようなやり方は、エステ、旅行会社、引っ越し業者などの営業でよく使われる手法です。

しかしこれは売り手にとって諸刃の剣であり、消費者に申し出を断られた途端に価格競争で不利になります。

例えばあなたが、ある引っ越し業者に見積もりをお願いして、

  • 「見積もり金額は10万円ですが、いまここで契約したら2万円値引きしますよ!」

と提案されたとします。

しかし、あなたは他の業者と相見積もりしたいので提案を断りました。そのため、最初の業者の見積価格は10万円で確定します。

そして、もし別の業者で10万円を下回る見積もりが出てしまえば、最初の10万円の引っ越し業者が選ばれることはありません。

例えば、別の業者が9万円の見積もり額を提示すれば、あなたはそこに決めるでしょう。そのため、最初の業者は8万円でも価格提示ができたのにも関わらず、客を逃すことになってしまいます。

つまりこの手法は、最初の提案で契約が取れなかった場合には、客を逃す可能性が大幅に高まるバクチのような性質を持っているのです。

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