企業の購買中枢とは?組織購買の7つの役割と購買スタイル

購買中枢

だいぞう

購買中枢とは、

  • 組織の購買プロセスで意思決定を行う個人やグループ

のことです。

購買中枢に属するメンバーは、窓口担当者発案者使用者影響者決定責任者購買担当者承認者7つの役割に分類することができます。

また購買の意思決定を行う人ごとに、おまかせ型シンプリスト型最高級志向型アナリスト型専門家型競争促進型といったような購買スタイルの違いが存在します。

ここでは購買中枢とその役割について、わかりやすく説明します。

購買中枢とは?

購買中枢とは、企業で購買の意思決定に関わる個人やグループのことで、購買意思決定プロセスの中で互いに目的とリスクを共有している人たちを指します。

企業では「購買部」といった形で、主要な購買中枢メンバーが部署としてまとまっている場合もありますし、必要に応じて購買プロジェクトとしてメンバーが招集されることもあります。

この購買中枢に含まれるメンバーは、

  • 窓口担当者:外部からの接触をさばく販売中枢の門番
  • 発案者:購買を最初に要求する人
  • 使用者:購買する製品やサービスを使用する人
  • 影響者:購買の意思決定に対して発言力がある人
  • 決定責任者:要件を定義して供給業者を決める人
  • 購買担当者:供給業者と交渉して購買条件を決める人
  • 承認者:決定責任者や購買担当者の提案を承認する人

という7つの役割に分けることができます。(ウェブスター&ウィンド 著「Organizational Buying Behavior」p6、「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 」p267 参照)

これらの役割は、多くの企業では一人の人物が複数の役割を担っていますが、大きな企業や規模の大きなプロジェクトを進める場合では1つの役割に複数の専門家(士業、コンサルタント、技術者など)が担当することも少なくありません。

窓口担当者

窓口担当者は、

  • 外部からの購買中枢への接触をコントロールする門番

のような役割であり、企業の代表連絡先の対応担当者やコールセンターのオペレーター、各部署の連絡窓口などを担当している人が該当します。

製品やサービスを企業に売り込みたい外部の供給業者は、まずこの窓口担当者の壁をこえて購買中枢の主要メンバーにアクセスしなければなりません。

これを内部からの視点で見ると、購買中枢は窓口担当者を通して外部からの必要な情報や不要な情報をフィルタリング(選別)できるということです。

窓口担当者は日々大量の情報に晒されますが、購買中枢の他のメンバーと密にコミュニケーションをとっておくことで、優先度の低い情報を排除して有益な情報を購買中枢の内部へと提供することができます。

発案者

発案者とは、

  • 購買を最初に要求した人

のことであり、組織購買の発端となります。

発案者が購買を要求するキッカケは、

  • 窓口担当者から提供された外部の情報を受け取る
  • 個人が記事や広告で製品やサービスを認知する
  • 課題解決のための内部探索や外部探索

などが考えられます。

よくありがちなのが、窓口担当者から回ってきたチラシや営業資料の閲覧です。手に取った資料や広告の中にたまたま興味のあるものが紛れ込んでいれば、新しい製品やサービスを認知して購買を検討するかもしれません。

さらに日頃から窓口担当者に「〇〇に関連する情報が入ったら回して。」と頼んでおけば、必要とする情報が購買中枢に届きやすくなります。

また窓口担当者を経由しなくても、個人的に目にした広告などで製品や広告を認知することもあります。

これらは新規購買の採用プロセスである、

  1. 認知:新規の製品やサービスの存在に気づく
  2. 関心:認知した製品やサービスに関心を持つ
  3. 評価:関心を持った製品やサービスを評価する
  4. 試用:実際の使用環境に近い状態で評価する
  5. 採用:評価の結果をもとに意思決定を行う

の5つのステップの中の「認知」や「関心」に該当します。

他にも、上記のような受け身の情報収集ではなく、

  • 内部探索:自分自身の記憶や知識から情報を集めること
  • 外部探索:自分以外の情報源から情報を集めること

といった方法で、購買中枢のメンバー自らが情報を集めて購買を要求することもあります。

使用者

使用者とは、

  • 購買する製品やサービスを実際に利用する人

のことです。

使用者は、製品やサービスを実際に日常的に使用する立場にあるため、使用者の声を無視してしまうと勾配に失敗してしまうかもしれません。そのため、他の購買中枢のメンバーは使用者の声に耳を傾けて、製品やサービスの要件を十分に確認する必要があります。

先ほどの新規購買の採用プロセスでは、

  1. 認知:新規の製品やサービスの存在に気づく
  2. 関心:認知した製品やサービスに関心を持つ
  3. 評価:関心を持った製品やサービスを評価する
  4. 試用:実際の使用環境に近い状態で評価する
  5. 採用:評価の結果をもとに意思決定を行う

使用者が製品やサービスの「試用」を行うことで導入後の失敗を減らすことができます。

ちなみに先ほど説明した「発案者」と「使用者」が同じであることは多くあります。現場で使っていた製品が壊れたり使えなくなったりした場合には、新たな製品の購買を要求する人も、届いた製品を使う人も同じになります。

しかし「発案者」と「使用者」が別の場合も存在しています。例えば、経営者が従業員のために導入する福利厚生などが該当します。外部の給食業者と契約して、従業員が利用できるカフェテリアを社内に導入した場合は、使用者である従業員は日常的にカフェテリアを利用するかもしれませんが、発案者である経営者や経営陣は利用しないかもしれません。

もし前者のように発案者と使用者が同じであれば、製品やサービスを利用した結果を次の購買に活かしやすいかもしれません。しかし発案者と使用者が異なる場合は、発案者は使用者の声を汲み取る努力をしなければ、購買の効果を引き出せないかもしれません。

影響者

影響者とは、

  • 購買の意思決定に対して影響力がある人

のことです。

影響者は、購買の対象となる製品やサービスの機能や品質を評価し、仕様を決定し、候補を絞り込むことが主要な役割となります。

新規購買の採用プロセスでは、

  1. 認知:新規の製品やサービスの存在に気づく
  2. 関心:認知した製品やサービスに関心を持つ
  3. 評価:関心を持った製品やサービスを評価する
  4. 試用:実際の使用環境に近い状態で評価する
  5. 採用:評価の結果をもとに意思決定を行う

影響者は3つ目の「評価」を行います。

そのため、その道の専門家やベテラン従業員、コンサルタントや技術者など、購買の対象となる製品やサービスと、それに関連するオペレーションに深い知識を持っている人物が担当します。(ただし、知識がなくても発言力が大きいだけの人も中には存在しています。)

発案者によって購買が要求されると、製品やサービスを複数の候補の中から絞り込まなければなりません。安価なものや失敗しても損失が小さいものに関しては、影響者の評価はさほど必要になりませんが、購買する製品やサービスの価格が高く内容が複雑であるほど、影響者の重要性が高まります。

決定責任者

決定責任者とは、

  • 購買対象の製品やサービスの要件を定義して供給業者を決める人

のことです。

社内から購買の要求が上がり、使用者と影響者の意見から仕様が固まれば、その情報をベースに供給業者に提示する要件を定義します。

また製品やサービスを供給する業者そのものの決定も行います。たとえ製品やサービスが要件を満たしていたとしても、全ての業者が取引できるわけではありません。

どのような供給業者であれば安心して取引ができるのかを判断し取引対象となる供給業者を決める必要があります。決定責任者は、購買の規模や重要性、供給業者の実績などを考慮して判断します。

購買担当者

購買担当者とは、

  • 取引対象となる供給業者と交渉して購買条件を決める人

のことです。

購買担当者は決定責任者によって定義された要件をもとに、供給業者の担当者と交渉を行います。この交渉は購買の規模が大きくなるほど複雑なものになります。

購買では製品やサービスの機能だけでなく、導入コスト、ランニングコスト、納品条件、サポート体制、保証内容、支払い条件、契約内容など、数多くの項目を確認しなければいけません。

購買担当者は供給業者と交渉を行うことで、売買にまつわるありとあらゆる細かい部分をすり合わせ、購買条件を決定します。そして時間をかけて絞り込んだ供給業者とその売買条件に基づいて、決定責任者や次に紹介する承認者とともに購買の意思決定を行います。

承認者

承認者は、

  • 決定責任者や購買担当者の提案を承認する人

のことです。

承認者は一般的に経営に近い立場の人物が行います。規模の大きな購買ほど多くの承認者から承認を得る必要があり、社内での承認プロセスは煩雑になります。

これはいわゆる「稟義(ひんぎ、りんぎ)」による決裁です。

承認者による承認は、購買の最終決定時だけでなく、購買の起案や予算の承認、要件定義内容の確認、供給業者候補の承認など要所要所で何度も行われます。

多くの承認者の承認が得られれば購買後のトラブルは減ります。

しかし承認者が多く存在するということは、

  • 意思決定が遅くなる
  • 責任の所在が不明確になる

などの弊害があります。

そのため購買の規模や重要性に合わせて現場への権限委譲を行い、適切な数の承認者が迅速に意思決定する環境を作ることも重要です。

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