だいぞう
マーケティングの対象は、
- 形のあるもの(有形財):製品・品物・物品
- 形のないもの(無形財):サービス
- 上記のどちらにも分類しにくいもの
の3つに分けることができます。
形のあるマーケティング対象(有形財)は、食品や電気製品など店頭に並んでいるものや、機械部品や製造設備など企業から企業へ直接納品されるものなどがあります。
一方で、形のないマーケティング対象(無形財)は、航空路線や鉄道などの交通手段のように機能を提供するものや、医療や教育など専門性の高い知識や環境を提供するものなどがあります。
これらのマーケティング対象は、組み合わせて提供されることも多くあります。しかし形のあるものと無いものでは特性が異なるため、区別することが優れたマーケティング戦略を生み出すことに繋がります。
またいずれにも分類しにくい特徴的な8つのタイプが、
- 組織:企業、団体、チームなど
- 人物:アーティスト、スポーツ選手、著名人、個人など
- 地域:都道府県、観光地、産業集積地など
- イベント:スポーツイベント、祭りなど
- 権利:不動産の所有権、株式、債権など
- 情報:名簿、統計データなど
- 経験・体験:ワークショップ、農業・職業体験など
- アイデア:ノウハウ、考え方など
です。(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 」p9 を参考に筆者が加筆・編集)
例えば観光地などの「地域」は、形のあるものとして誰かに売るものでもなければ、地域そのものがサービスというわけではありません。しかし「観光地のイメージ」や「地域ブランド」は、マーケティングによって消費者に印象付けることができます。
このように、マーケティングは直接値段が付いて売ったり買ったりするもの以外のものも、対象として考えます。
このページでは、マーケティングの対象となる代表的な事柄についてわかりやすく解説します。
マーケティングの対象とは?
マーケティングの対象とは、マーケティング活動の中心になる物や事柄のことです。
対象は一般的に、
- 形のあるもの(有形財):製品・品物・物品
- 形のないもの(無形財):サービス
- 上記のどちらにも分類しにくいもの
に分類することができます。
マーケティング活動を行うためには、「何の」マーケティングをするのかを決めなければなりません。
同じ製品のマーケティングをする場合でも、ターゲット顧客を誰にするかによってマーケティングの対象は変化します。
例えば、ある工業製品のマーケティングを行うとします。
もし、その工業製品を現場で使う人たちをターゲットとするなら、製品そのものをマーケティングの対象として、機能や利便性を伝えるのが良いかもしれません。
しかし、その工業製品を管理メンテナンスする立場の人たちをターゲットとするなら、製品よりもその製品に付随するサービスや保証などをマーケティングの中心に据える方が望ましいはずです。
また、その工業製品を購入する会社の経営者が重要なターゲットになるなら、製品の機能やサービスよりも、それを販売する会社の取り組みや企業イメージをマーケティングの対象にする方が売れるかもしれません。
このように、同じ製品やサービスを売るとしても、ターゲットによってマーケティングの対象が大きく違います。マーケティングを通して売りたいものと、マーケティングの対象となるものは区別して考える必要があります。
有形財
マーケティングの対象として、典型的なものが「有形財(ゆうけいざい)」と呼ばれる形のあるものです。
有形財は、
- 製品
- 品物
- 物品…など
と様々な形で呼ばれますが、「顧客に手渡す物品そのもの」をイメージするとわかりやすいと思います。
有形財は挙げるとキリがありませんが、小売店の棚に並んでいる食品や日用雑貨、量販店で展示されている家電製品、薬局で処方される薬、カタログに載っている医療機器や工業製品、自動車、家、高層ビルまで多岐に渡ります。
有形財は実体として手に取れる形で存在しているので、売る側としてマーケティング活動を考えやすい対象になります。
無形財
「無形財(むけいざい)」は、サービスなどの形を持たないもののことです。
無形財は、バス・鉄道・航空機などを使って「移動する」という機能を提供したり、国家資格や専門性を持った人が特定の仕事を請け負ったり代行したりするものを指します。
「誰かの代わりにやてくれる」ものを想像すれば、イメージしやすいかもしれません。
サービス産業は、ここ数十年でマーケティングの対象として拡大してきた分野です。先進国ではサービス産業がその他の産業を上回り、マーケティング活動が経済に大きく影響します。
下記の図は、日本のサービス産業のGDP(国内総生産)割合を「1970年」と「2010年」で比較したものになります。
ざっくりとした分け方ですが、
- 赤色:有形財
- 青色:無形財(サービスなど)
です。
日本は、高度経済成長期の後半にあたる1970年には、有形財を造り出す「製造業」がGDPの38%を占めていました。
しかし近年(2010年)では、サービス産業(青色)が全体の71%を占めるまで拡大しています。サービス産業ではこの数十年で、新たに情報通信業(緑色)という区分も登場し、ますます拡大しています。
このサービス産業が拡大するという傾向は、世界中の先進国で見られるものです。
例えばアメリカは、1970年時点ですでにサービス産業が63%を占めていました。そして2010年には、サービス産業が79%にまで割合が増えています。(ただし、日本とは区分が異なるので、厳密な比較はできません。)
参考
PDF – サービス産業の生産性 2014年4月18日内閣府
このように、無形財をマーケティング対象とする機会は年々増加しており、このあと説明する「どちらにも分類しにくい」マーケティング対象と併せて、マーケティングの重要性が増しています。
どちらにも分類しにくいもの
先ほどご紹介した統計では、
- サービス産業とそれ以外
などとハッキリと区分されていますが、「マーケティング対象」という視点から考えるとまだ大きすぎるかもしれません。
なぜならマーケティングの対象には、
- 有形財と無形財が一体になっているもの
- 有形財とも無形財のどちらでもないもの
が存在しているからです。
まず「有形財と無形財が一体になっているもの」については、どちらかが欠けると不完全になってしまうものです。
例えば「高級レストラン」を考えると、
- 美味しい料理(有形財)
- 高品質な接客サービス(無形財)
の2つの要素は、切っても切り離せません。つまり顧客に提供する価値として、有形財と無形財が一体となっているのです。
このような場合には、有形財・無形財のどちらかに無理やり分類することに意味がありません。2つを合わせて1つのものとして考えます。
そして「有形財とも無形財のどちらでもないもの」については、マーケティングの結果として物を売ったりサービスを提供したりする必要がない場合が該当します。
例えば、「企業」そのものをマーケティングする場合には、顧客に対して有形財も無形財も提供されません。その代わりに、顧客の持っている印象を変化させることができます。
これらの「どちらにも分類しにくい」マーケティング対象の中でも特徴的なものが、
- 組織:企業、団体、チームなど
- 人物:アーティスト、スポーツ選手、著名人、個人など
- 地域:都道府県、観光地、産業集積地など
- イベント:スポーツイベント、祭りなど
- 権利:不動産の所有権、株式、債権など
- 情報:名簿、統計データなど
- 経験・体験:ワークショップ、農業・職業体験など
- アイデア:ノウハウ、考え方など
の8つのタイプです。
次のページで、さらに詳しく見ていきましょう。