ミッション・ビジョン・バリュー・ビジネスの対比
今度は「ビジネス」を含めて、4つの要素を対比してみましょう。
- 将来的に実現させたいのが「ミッション」と「ビジョン」
- 今の状態を説明するのが「バリュー」と「ビジネス」
ミッションやビジョンは、経営にとっての目的(ゴール)となります。ミッションは実現することが難しい内容だったり、取り組み続けなければならない内容であることがほとんどです。ビジョンはその組織の理想的な状態を表しますが、近づくにつれて新しいビジョンが発表されるためなかなか到達しません。
一方でバリューとビジネスは、現在の状態を表しています。バリューはビジネスを進めるにあたって、価値観に基づいた行動を促すものになります。例えば同じビジネスをしていても、バリューを顧客第一にするのか従業員第一にするのかで、行動が大きく違ってきます。
- 社会的な役割を説明するのが「ミッション」と「ビジネス」
- 組織そのものを定義するのが「ビジョン」と「バリュー」
ミッションとビジネスは、社会に対する役割です。ミッションは社会的にどのような役割を果たす目的を持っているのか、ビジネスは現在の行動としてどのような役割なのかを表します。ビジョンとバリューは組織の理想像と、全体の行動を決める価値観です。
有名企業の経営理念
有名な企業の経営理念(=企業理念)を、別の記事で一覧にまとめてみました。
上記のミッション・ビジョン・バリューの考え方と比較しながらご覧ください。
経営理念と経営戦略の関係性
MVVBマトリクスで定義する経営理念とビジネスは、経営戦略の役割を説明することができます。
ビジョンは社会的使命であるミッションを果たすための、理想的な姿の一つです。現在行なっているビジネス(事業)はビジョンを実現することが目的です。そのビジネスの一連の行動は、バリューと呼ばれる価値観や行動指針によって決まります。
ビジネスはビジョンを臨みながら進んでいきます。しかし外部環境の変化や経営資源の変化で、意図していた方向からズレてきます。
そのズレを把握するのが、経営分析です。経営分析の結果、どのような軌道修正が必要なのか決めます。それが経営戦略です。
経営戦略とは?企業戦略・事業戦略・機能戦略の違いと意味:階層構造を図解
経営理念を定めるメリット
経営理念を定めるメリットとしては、
- 経営者の意思決定のスピードが上がる
- 経営判断の質が改善し経営資源が効率的に使える
- 現場で自律的な判断がしやすくなる
などがあります。経営者にとっては、将来像や進むべき方法が定まれば、日々の意思決定への迷いが減ります。また、今やるべきこととそうでないことが明確になり、無駄なことに限られた経営資源を使わなくなります。
行動指針が明確に定まって浸透していれば、現場での想定外の出来事も上長の判断を仰ぐことなく、スピーディに対応することができます。
経営理念を浸透させる重要性
これらのメリットが得られるのは、経営理念が社内で浸透してることが前提になります。経営理念が浸透しているというのは、単に社員が経営理念を知っているということではありません。
- 常に経営者が経営理念に基づいた一貫した行動を取っている
- 事業活動が経営理念に繋がっていることを誰もが認識している
- 目標管理制度(MBO)の目標が経営理念と関連している
- 社員の評価項目に経営理念に基づく行動が含まれている
などのことが、日頃から実践されていることが必要です。
特に「目標管理」や「人事評価」に経営理念を組み込むことで、常に組織が向かってる方向と良しとされる行動を意識させることができます。業務の中で実践させることの方が、朝礼などで理念を朗読するよりも有効です。
経営理念の作り方
経営理念は誰でも簡単に作ることができます。
経営理念の作り方の流れは、
- 事前調査を行う
- 分析メンバーを集める
- 「ビジネス」の欄を埋める
- 「ミッション」の欄を埋める
- 「ビジョン」の欄を埋める
- 「バリュー」の欄を埋める
- 一貫性のある組み合わせを見つける
- 選んだMVVBを整理する
- 経営理念をまとめる
です。下記の記事では、上記手順をわかりやすく説明しています。MVVB分析用テンプレート(パワーポイント形式、登録不要)も無料でダウンロード可能です。
ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)策定フレームワーク:MVVB分析