目的と目標の違いとは?具体例と方針・手段・戦略・戦術との関係性

「手段が目的になってるぞ!」なんて言葉、ビジネスでよく耳にしますよね。逆に「手段が目標になる」なんて言葉は聞いたことがありません。それには理由があります。

ざっくりと「目的」と「目標」の違いをまとめると、下記のようになります。

目的目標
ゴールへの到達地点の経由
方針を決める 手段で決まる
戦略に関係戦術に関係
数値化しにくい数値化しやすい
1つの戦略に複数1つの目的に複数

ここからは定義も含めて、詳しく関係性を見ていきましょう。

目的・目標の違いをイメージ

まずは言葉の意味を知って、目的と目標の違いをイメージしてみましょう。

目的(=ゴール)

目的とは、

  • 到達すべき「領域」や「範囲

のことです。

補足

ここでは目的=ゴールとして説明します。

というのも、海外で書かれたビジネス書や論文では「Goal」という単語が頻繁に出てきますが、日本語に翻訳する時に「Goal」は「目的」と置き換えられることが多いのです。

ということで、このサイトでは海外の経営戦略の理論を多く扱うため、「目的 = Goal」として説明します。

目的(ゴール)は、登山における登頂、マラソンやサッカーのゴールなどをイメージするとわかりやすいです。

例えば、登頂。山の山頂にまで到達すれば「登頂成功!」になりますよね。山頂で一番高い点を探して、絶対にその真上に立たなければ登頂にならない…なんてことはありません。

頂上付近にたどり着けば登頂は成功になります。これは山頂という領域に足を踏み入れたから、目的が達成となったわけです。

目的を示す山頂のゴール

他にも、マラソンのゴール。ゴール地点に引かれてあるラインを越えて、その先の領域に到達すればゴールになります。

サッカーのゴールは、ゴールポストとクロスバー、ゴールラインで囲まれた領域の向こう側にボールが到達すればゴールです。

いずれも、領域に入ればゴール達成。これは「Goal」の語源が、中世英語の「gol(境界、限界、領域)」に由来するためです。

例え話ではなく具体的な例を挙げると、

  • 自社製品Aの認知度を他社製品Bよりも高める

ことが事業戦略の「目的」である場合は、

  • 認知度:自社製品A > 他社製品B

という状態を目指しているわけです。

つまり「目的の達成」は、

  • 認知度が他社製品Bを上回る領域に入る

という状態であり、上回っていれば認知度がどんな数値でも問題ないと言えます。

目標

目標とは、目的(ゴール)に到るまでの様々な中継地点のことです。

目標は、登山道の途中にある「〇合目」「標高〇〇メートル」のような標識をイメージするとわかりやすいと思います。また複数のルートがある場合は、様々な「経由地」が目標になります。

登山で例えると、山頂というゴールを目指す場合、ルートの途中で経由する「経由地A」「経由地B」「経由地C」が目標となります。

目標を示す経由地

もし「経由地B」への道のりが崖崩れなどで通れない場合は、新たに「経由地D」という目標を定めることもできますし、別のルートで直接「経由地C」に向かうこともできるかもしれません。

また複数のチームで一つの目的(ゴール)を目指している場合は、それぞれ違うルートで違う目標を達成しながら進むこともあります。

具体的な例を挙げると、

  • 自社製品Aの認知度を70%まで高める

ことが事業戦略の「目標」である場合は、

  • 自社製品Aの認知度 = 70%

という状態を目指しているわけです。

つまり「目標の達成」は、

  • 認知度 70%という地点を経由する

ことがゴールまでの進捗状況を知る目安であり、70%を通過すればまた別の目標が現れます。

方針と手段との関係

「目的」や「目標」と関係する言葉として、「方針」と「手段」があります。

これらには、

  • 目的によって方針が決まる
  • 方針手段を選ぶ
  • 手段によって目標が違う

という関係があります。

分かりやすく登山に例えると、

  • 目的:〇〇山の登頂を果たす
  • 方針:自分の足で登る、安全を最優先する
  • 手段:山岳ガイドと一緒に登る
  • 目標:山岳ガイドが決めた経由地を通る

となります。

しかし方針が変われば、

  • 目的:〇〇山の登頂を果たす
  • 方針:どんな方法でもいい、短時間で登頂する
  • 手段:ヘリコプターを使う
  • 目標:パイロットが定める飛行ルートに従う

となって、全てが大きく変わります。

例えばビジネスでも「ブランド認知度の向上」という目的を達成するために、方針が「予算1億円で収める」のか「予算100万円で収める」のかで、手段も目標も全然違うものになります。

手段の目的化という状態

もし複数の手段が選べる状況でも、特定の手段で成果を出すために方針の変更を行おうとすれば手段が目的化している状態だと考えられます。

例えば予算100万円でブランド認知度を向上させる場合の方法は、広告以外にも広報・店頭接客・アフターサービス・口コミなどたくさんの他の手段から選べるはずです。

しかし「広告」という手段に固執して、他の手段を深く検討せずに予算の増額を要求するようなことがあれば、それは「手段の目的化」になります。

もちろん「目的」や「方針」を変更すること自体は、悪いことではありません。そもそもの目的や戦略が間違っている可能性があるからです。

戦略と戦術との関係

このサイトでは基本的に「戦略と戦術の区別は不要」ということでお伝えしていますが、ここでは便宜上区別することにします。

まず「戦略」ですが「広範囲で長期的な目的の達成」のために「方針の決定」や「経営資源の再分配」が行われることが特徴です。

一方で「戦術」は「限定的で短期的な目標の達成」のための「手段」として定義されることがほとんどです。

つまりそれぞれの定義において、

  • 戦略:目的・方針
  • 戦術:目標・手段

と関係が深いと言えます。

例えば「メーカーAから製品Aを使う顧客を奪う」という場合、

戦略は、

  • 目的:製品Aを使う顧客をA社から奪うこと
  • 方針:予算1000万円、大口顧客を中心に、営業部のみで完結、半年以内の目的達成

戦術は、

  • 手段:直接営業、セミナー開催、展示会への出店
  • 目標:製品A利用顧客と月10件の打ち合わせ、セミナー参加者累計200人、展示会での名刺交換によるアポどり100件

というようなイメージになります。

ちなみに「目標」と深く関連した分析フレームワークとして、

  • SWOT分析
  • クロスSWOT分析

というものがあります。

SWOT分析&クロスSWOT分析関連記事まとめ

SWOT分析やクロスSWOT分析は、

  • 目標達成の進捗状況を判断 → 戦略の修正

ということを行います。

つまり、

  • 目標戦術レベルで解決可能かどうかを判断する
  • 戦術で解決するのが難しい場合は戦略を修正する

というように、目標達成の解決を戦術より上の戦略レベルで行うことを目的としています。

これは戦略の問題は戦術では解決できない、という構造上の理由があるからです。

数値化のしやすさ

目的や目標が達成されたかどうかは、評価してみないとわかりません。

その評価においては、「数値」がいちばん分かりやすい評価指標になります。しかし「目的」と「目標」では数値化のしやすさが違います。

  • 目的:数値化しにくい
  • 目標:数値化しやすい

数値化しにくい目的

まず「目的」ですが、必ずしも測りやすいものだとは限りません。先ほどの例では、「目的」は「領域」だという話をしました。

しかしその領域は、マラソンのゴールのようにクッキリと線引きされているものもあれば、登山の山頂のように境界が曖昧なものもあります。

ビジネスでも同様に、

  • 特定カテゴリでシェアで1位になる
  • ターゲット層の認知度を5割以上に高める

など数値化しやすい目的もあれば、

  • 競合が商圏に進出するのを防ぐ
  • ブランドに良い印象を持ってもらう

などの数値化しにくい目的もあります。

数値化しやすい目標

一方で「目標」は、数値化できることがほとんどです。先ほどの例では、「目標」は「経由地」だという話をしました。

「目的」に向かう途中に経由する「目標」は、それを経由できたかどうか判断する必要があります。つまり、何か基準になるものを設定しておかなければいけません。

その基準となるのが「数値」です。

登山で例えると、予定ルートの経由地は「緯度」「経度」「標高」などで明確に表すことができます。マラソンの折り返し地点や中継ポイントも距離で測れます。

ビジネスでも「売上高」「客数」「客単価」「来店頻度」「定着率」など、成果を数値化して測れるものがたくさんあります。

逆を言えば、数値化できないものは「目標」として役に立ちません。なぜなら経由したかどうかを評価することができないからです。経由したかどうかがわからなければ、目的に近づいているかどうかも判断できません。

目的も目標も複数存在する

「目的」も「目標」も一つだけではありません。いずれも複数存在するものです。

  • 1つの戦略に対して複数の目的が存在する
  • 1つの目的に対して複数の目標が存在する

まず1つの戦略に対して、複数の目的が存在できます。むしろ複数の目的を同じタイミングで達成できないと、戦略が失敗することもあります。

例えば製品の量産体制を構築して、コスト・リーダーシップ戦略を取りたい場合には、

  • 新工場の稼働
  • 供給業者と原料の安定供給に関する業務提携
  • 海外の販売パートナーとの連携強化

などの複数の目的(ゴール)を同時期に達成しなければならないかもしれません。

そしてそれぞれの目的に対して複数の目標が設定されて、様々な手段や方法で達成しようとします。目標は計画の進む段階や場面によって異なり、評価することで正常に目的に向かっているか判断します。

目的と目標のまとめ

ここまで「目的」と「目標」の違いを学んできました。

繰り返しになりますが、目標はあくまで経由ポイントであり、目的(ゴール)にちゃんと向かっているかどうかを知るための目安なのです。

目的と目標

目標達成に気を取られすぎて、目的(ゴール)を達成できなくなってしまうと本末転倒です。目標の達成を目指しながらも、目的(ゴール)から離れていっていないか時々確認する必要があります。

もっとも、目的(ゴール)自体が間違っていることだってあります。あるいは、状況が変化して、最初の目的(ゴール)が無意味なものになることだってあります。その時は目標も、新しい目的(ゴール)に合わせてすべて設定し直しましょう。