準拠集団とは?第一次・第二次・願望集団・分離集団をわかりやすく解説

準拠集団

間接的な準拠集団

消費者が属しておらず間接的な影響を与える集団は、

  • 願望集団:そこに属したいと思っているグループ
  • 分離集団:価値観や態度を受け入れられないグループ

の2つに分けることができます。

これらの準拠集団の動向は、先ほどのメンバーシップグループほどではないにしろ、間接的に消費者の行動に影響を与えます。

願望集団

願望集団は、消費者がそこに属したいという願望を持っているグループのことです。

例えば、サッカー少年は憧れのサッカーチームが願望集団かもしれません。憧れの選手が使っているシューズがあれば、サッカー少年はそのシューズを手に入れたいと思うかもしれません。またそのサッカーチームが選手と同じユニフォームを売り出せば、その少年はそのユニフォームを着て試合の応援に行き、願望集団の一部を担うことに喜びを感じるかもしれません。

逆に、憧れの選手が「薬物はやってはいけない」「いじめはダメなことだ」と言えば、その価値観に影響を受けてサッカー少年の態度や行動が変わる可能性があります。

このように間接的な影響だったとしても、願望集団の影響力が弱いわけではありません。

多くのスポーツ用品メーカーは、この願望集団に対して多額の広告費を払うことによって、ターゲット層の消費者行動に影響を与え、マーケティング活動を行なっています。

分離集団

分離集団とは、願望集団の真逆であり消費者がその価値観や態度を拒絶しているグループのことです。

わかりやすく言えば、

  • 「お隣さん一家はちょっと非常識だよね…。」
  • 「ライバル企業のやり方は姑息だ!顧客のことを考えていない!」
  • 「あの宗教団体の考え方は間違っている!自分たちが正しい!」

などという意見が挙がるようなグループのことです。

分離集団の行動や価値観は、その消費者にとって受け入れることができず、

  • 分離集団と自分たちが同じではないこと

に対して、安心感肯定感を抱きます。

そのため、ターゲットの分離集団が何なのかわかっていれば、その分離集団を否定することで消費者に共感を抱かせることができます。

オピニオン・リーダー

オピニオンリーダーとは、準拠集団の中で製品やサービスの情報を共有し、メンバーの消費者行動に影響を与える人物のことです。

ここまでご紹介した4つの準拠集団を利用するマーケティングでは、それぞれの準拠集団の特性を把握することも重要ですが、このオピニオンリーダーの動向を理解することも欠かせません。

なぜなら消費者は、準拠集団の中でもオピニオンリーダーからの影響を強く受けるからです。

例えば、「従業員のワークライフバランスが大切だ」と考えて実践する経営者が旗振り役の企業では、従業員の多くがワークライフバランスに対して考えます。そして、ブラックな働き方の企業は受け入れられないと考える従業員が増えるはずです。そのため、そういったオピニオンリーダーを持つ企業では、業務の効率化を実現する製品や、福利厚生を充実させるサービスが採用されやすくなります。

他にも、仲良しグループのファッションリーダー的人物の服装にメンバーが影響されたり、職場の新し物好きが買う電気製品に周りの同僚が影響されるなども、オピニオンリーダーの影響と言えます。

近年ではインフルエンサーと呼ばれる発言力が強い個人が、準拠集団のオピニオンリーダーとなってプロモーションに利用されることもあります。

このように、オピニオンリーダーを把握することは、準拠集団の中で情報を効率的に拡散させるために非常に重要です。

マーケティング活動では、ターゲットの準拠集団を把握するだけでなく、その準拠集団のオピニオンリーダーは誰なのか?そして、オピニオンリーダーに情報を届けるためには、どのようなマーケティング施策を行うことが必要なのか考える必要があります。

関連書籍

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

Philip Kotler, Kevin Lane Keller
Amazonの情報を掲載しています
1 2